随分昔、山崎豊子の大長編を一気に読んで感激したが。主なストーリーは殆ど
忘れていた・・・が、昨年10月からフジテレビ系列でドラマ化され、今は毎木曜日
が待ちどうしい位このドラマに魅せられている。
でも、果たして現代っ子達にはどうか? 私が胸を揺すぶられるこの「共鳴感」
は何か?おそらく、戦争末期から戦後の高度成長期にかけての話「私が生きて
きた時代」だから・・だろうと思う!
毎回このドラマの始めに「 これは架空の物語である。 過去或いは現在に於いて
たまたま実在する人物、団体、出来事と類似していても、それは偶然に過ぎない」
というフレーズではじまる。
だが、これは実在した人物「瀬島龍三」の物語である事は紛れもない事実である。
主役の壱岐 正 (瀬島龍三役)を演じる 唐沢寿明 は真に迫って、なかなか上手い
瀬島龍三は陸軍幼年学校(当時入学は超難関)から陸軍士官学校を次席で卒
業、天皇陛下から恩賜の銀時計を拝受。 富山師団に配属後、中尉で陸軍大学
に進む(合格率32倍)陸軍大学を主席で卒業、陛下から恩賜の軍刀を賜る。
超エリートとして、大本営作戦参謀の中枢で太平洋戦争の作戦計画に参画する
中佐当時の写真(INより借用)
終戦当時は陸軍中佐で関東軍作戦参謀として満州に赴任していた為、ソ連軍に
捕まり、11年間(ドラマでは7年)シベリアに抑留され、大変な極寒のなか辛酸を
なめる・・・
帰国後、自衛隊からの勧誘を拒み「伊藤忠商事」に入社。 当時の越後社長が
瀬島の素質を見抜き抜擢する
大門(越後)社長を演じる“原田芳雄”がこれも重厚な演技で見応えがある。
陸士後輩の部下の石油部長を演じる竹ノ内豊の演技もなかなかいい!
壱岐(瀬島)は辣腕を振るい、次々難問を解決・・・部長‐専務‐副社長‐会長
と昇進、関西の一繊維商社から大商事会社に育て上げるが、それだけに
社内の敵も多かった。
江森徹演じる政治家田淵幹事長「これはもう間違いなく中曽根康弘のこと」
後年、中曽根首相の影のブレーンとして政財界で辣腕を振るう瀬島龍三の
前身の姿が克明に描かれている。
権謀術数・・・社内抗争・・企業間の戦い・・・政界との結びつき etc ますます面白
くなる。
※ 因みに、私の友人(旧制中学の同窓生)のなかに3~4年間シベリアに抑留
されていたのが二人いる。 苦しかった極寒のシベリアの話は随分聞かされた
が、中でも(尾籠な話だが)栄養失調で痩せに痩せて、極限には尻の肛門が前
に飛び出てくるそうです・・・。
飽食の今の人達には想像できない話。