返済期限無しでお貸ししますよ 。
90歳の元軍人「海軍航空中尉、特攻隊の生き残り」のM先輩から借りた本。
本心、もうそんな “ 過ぎし昔の事 ” いいですよ、と断りたかったが断りきれずつい
借りてしまう人のいい私!
ところが!読みだすと緻密な調査に基ずく内容の深さと重厚さに圧倒された。
世界不況のあおりを受けた狭隘で資源不足(特に石油)の帝国主義日本がその
活路を大陸に求め膨張して行き、まずソ連とモンゴルのノモハンでふとしたことから
激突。戦闘状態に入り日本軍が惨敗した所謂 「ノモハン事変」だが。
当時は極秘とされていて、なんとなくうわさ程度でしか知らなかったが ・・・ 戦後
はその全てがオープンになり、私もその時代を生きて来たから殆ど認識している
つもりだったが ・・・・
この本を読んで、更に改めて不思議に思い且つ腹が立つと言うか、「心が煮える
思い」を感じたのは、 日本を動かしてきた、帝国陸軍上層部「陸軍省・参謀本部」
の陸軍大学を出た一握りの超エリート族の頭の中身と言うか?構造というか?・・
である。単にノモハンの敗因の問題ではない!
満州事変から太平洋戦争まで何百万人の兵隊と一般人を死なせたか、その責任
の一端ではなく大半はこの上層部の思い上がりによる誤算と、その誤算を糊塗し
ようとして更に重ねた誤算の結果にあると言っても過言ではない。
[註] 陸軍大学を出ると、上衣の胸に(俗に天保銭と言われる)大きなバッジを付
ける。 帝国陸軍の中のエリート中のエリートであるあかしを常時身に付けてい
るわけである。
旧制中学の1年か2年(13~15)で「陸軍幼年学校」を受験する事ができる。超
超難しい。 合格すると3年間の、ドイツ プロイセン を範とした幼少から徹底した
エリート軍人教育を受ける。 その幼年学校を卒業すればそのまま「陸軍士官学校」
に進級し、二年間の士官の実技教育を経て、各連隊に陸軍少尉となって配属され
る。 軍人になって中尉か大尉に進級したころ(30歳位)陸大を受験することが
出来る。但し受験するには配属連隊長の推薦が必要とされた 。
かくして合格すれば3年間の最高教育を受け、卒業時には天皇陛下(大元帥陛下)
から直接恩師の軍刀を拝受し、陸軍中佐となって任務に就くわけである。
この一握りの陸大出の超エリートが大日本帝国の陸軍を ・・・ いや国政をも牛耳
る事になる ・・・ その結果が今度の完膚なきまでやられた敗戦!
彼等は頭が良過ぎて、一般国民なんて「愚の集団というか馬鹿の集団にしか
見えない」のではなかろうか?
・・・・・ 東大法卒の官僚にもこの種の ・・ 「一般国民を愚の集団」とみている
潜在意識はないか? ・・・ まず公僕なんて意識があろうはずがないだろう ・
・・・・・!?