台風が過ぎて、九月になって、 いよいよ本格的な秋だ!
何時も買い物に行く サニー に真新しい 秋刀魚が沢山並んだ。
秋刀魚は秋のシンボル、 酒の肴にはあの “ はらわた” のほろ
苦みがなんともたまらない。 家内が居た時は 毎年秋になれば
焼いてくれた。 家内は居なくなったが、自分で焼くことはしない
し、以前ほど食べたいと も思わない、 老化の証し (味覚欲の
衰え)かな?
それよりも、さんまを見ると、 毎年、あの侘しい 詩 を思い出す。
佐藤春夫 ・・・・・ 「秋刀魚の歌」
あわれ 秋風よ 情 (こころ) あれば伝えてよ
_____ 男ありて
今日の夕餉に 一人さんまを食(クラ)いて 思いにふけると。
さんま さんま
そが上に青きみかんの酢(す)をしたたらせてさんまを食 う は
その男がふる里のならいなり。
そのならいを あやしみて なつかしみて 女はいくたびか 青き
蜜柑を もぎて 夕餉にむかいけむ。
あわれ、 人に捨てられんとする人妻と、 妻にそむかれた男
と 食卓に向かえば、 愛 うすき父をもちし 女の児(こ)は、小さ
き箸をあやつり なやみ つつ 父ならぬ男に さんまの腸(はら)
をくれむ というにあらずや ・・・・・・
― 中 略 ―
さんま さんま
さんま 苦いか 塩っぱいか。 そが 上に熱き涙をしたたらせて
さんまを食うはいずこの里の習いぞや ・・・ 以下略
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むかし在京(60~70年)時代、 先輩が 飲み屋で この頃のさんま
は大量網獲するので 秋刀魚が暴れて 皆ウロコを呑み込んでいるの
でワタが もぞもぞして 美味しくない! ・・・ と言っていたのを思い出
す。
九州は秋刀魚は食べず、鰯が主流だった ので、先輩の話と、秋刀魚
は内蔵が美味しいんだとい言う事を初めて知った。