昔、「明治大正文学全集」という素晴らしい全集本があった。 ネットで調べたら
60卷まで出版された(あった)らしい。
若いころ手あたり次第に読みふけった時代があり。 樋口一葉集も読みかけたが
「文語調」の文章で、すぐ嫌になり投げ出した記憶がある。
昭和28年に、今井正監督が彼女の代表作3篇をピックアップして(樋口一葉は短
篇が多い)オムニパス風に映画化した。 映画館で見た記憶がかすかにある。
その映画が久しぶりにBSで再映された。
名監督今井但しと、何と言っても当時の劇団を代表する「文学座」総出演の、素晴
らしい名優だらけの作品で、当時の代表的 な映画雑誌の「キネマ旬報」で大賞を
取り、激賞された。
明治から大正の時代だから、貧富の差が大きく、下層階級の中でも、どうしょうも< /span>
ない“貧乏”ががあり・・・男尊女卑は当たり前で、肩で風切る官員(役人)から その
日の一食にありつくだけが精一杯の・・・少しオーバーに言うと、天から地ま での生
活格差があった。
だからというか?義理や人情味もある、助け合い心もあり、辛抱も努力もあった。
徒に過去を賛美するつもりはさらさらないが!戦後、勤勉な努力により、奇蹟の
の繁栄で、国民すべてが経験したことの無い一億総中流化で豊かになり、個人
の人権と権利主張・・・で・・・代償として多くの良い面を失った事も又事実・・・
この映画の味というか気微が70年代以降の人達にわかるのかな?などと思い
ながら見た。
良縁(高等文官の試験に合格した高級官僚)に美人であるが故に乞われて結婚 (玉の輿)した娘が、夫の仕打ちに耐えかねて逃げ帰ってくる。
辛抱して、可愛い子供の為にも一切を耐え抜き通せ・・・お前の帰る家は無いと諭され・・・
帰る決心をする。
帰りに乗った人力車夫が子供時代の懐かしい友達だと知る ・・・ この車夫の男は、彼女
が嫁いだ事を知ってぐれ出し、今は落ちぶれ果てて車夫に身を落としている ・・・
文学座の丹阿弥谷津子(タンアミヤツコ)綺麗な若い頃のすがた・・・ 今は「釣馬鹿日誌」
のスーサン社長夫人(夫は亡き金子信夫)
失恋(片思い)の失意で自棄になり身を狂わせた男「芥川比呂志」この人は、「文豪芥川龍
之介」の長男で、三男の弟は有名な作曲家の芥川也寸志。“芥川龍之介の写真にそっくり”
貧乏で叔父夫婦に育てられた娘(久我美子)が大店(オオダナ)の女中になる。
年末ぎりぎり(大つごもり)借金返済のため叔父に2円の工面を頼まれる。奥さまに
給料の前借をお願い・・一端は承知して置きながら、いよいよとなったらそんなこと
聞いてないと無碍に断られる。
困り果てて、つい銭箱n中の20円の中から2円だけ盗む ・・・
ぶらり帰って来た長男の放蕩息子「中谷昇」がそれを察知して ・・・ のこりの18円
を懐に、「20えん借用します」と銭箱のなかに書き残し立去る・・・ 娘は難を逃れる
・・・