新勝庵

元サラリーマン、映画・読書・芸術好き。
おんとし 92歳 です。

にごりえ

2011-07-28 21:19:39 | 映画

昔、「明治大正文学全集」という素晴らしい全集本があった。 ネットで調べたら

60卷まで出版された(あった)らしい。

若いころ手あたり次第に読みふけった時代があり。 樋口一葉集も読みかけたが

「文語調」の文章で、すぐ嫌になり投げ出した記憶がある。

昭和28年に、今井正監督が彼女の代表作3篇をピックアップして(樋口一葉は短

篇が多い)オムニパス風に映画化した。  映画館で見た記憶がかすかにある。

その映画が久しぶりにBSで再映された。

名監督今井但しと、何と言っても当時の劇団を代表する「文学座」総出演の、素晴

らしい名優だらけの作品で、当時の代表的 な映画雑誌の「キネマ旬報」で大賞を

取り、激賞された。 

明治から大正の時代だから、貧富の差が大きく、下層階級の中でも、どうしょうも< /span>

ない“貧乏”ががあり・・・男尊女卑は当たり前で、肩で風切る官員(役人)から その

日の一食にありつくだけが精一杯の・・・少しオーバーに言うと、天から地ま での生

活格差があった。

だからというか?義理や人情味もある、助け合い心もあり、辛抱も努力もあった。

徒に過去を賛美するつもりはさらさらないが!戦後、勤勉な努力により、奇蹟の

の繁栄で、国民すべてが経験したことの無い一億総中流化で豊かになり、個人

の人権と権利主張・・・で・・・代償として多くの良い面を失った事も又事実・・・

この映画の味というか気微が70年代以降の人達にわかるのかな?などと思い

ながら見た。

0

1_2

良縁(高等文官の試験に合格した高級官僚)に美人であるが故に乞われて結婚

(玉の輿)した娘が、夫の仕打ちに耐えかねて逃げ帰ってくる。

4

辛抱して、可愛い子供の為にも一切を耐え抜き通せ・・・お前の帰る家は無いと諭され・・・

帰る決心をする。

5

帰りに乗った人力車夫が子供時代の懐かしい友達だと知る ・・・ この車夫の男は、彼女

が嫁いだ事を知ってぐれ出し、今は落ちぶれ果てて車夫に身を落としている ・・・

6

文学座の丹阿弥谷津子(タンアミヤツコ)綺麗な若い頃のすがた・・・ 今は「釣馬鹿日誌」

のスーサン社長夫人(夫は亡き金子信夫)

7

失恋(片思い)の失意で自棄になり身を狂わせた男「芥川比呂志」この人は、「文豪芥川龍

之介」の長男で、三男の弟は有名な作曲家の芥川也寸志。“芥川龍之介の写真にそっくり”

2

9

貧乏で叔父夫婦に育てられた娘(久我美子)が大店(オオダナ)の女中になる。

年末ぎりぎり(大つごもり)借金返済のため叔父に2円の工面を頼まれる。奥さまに

給料の前借をお願い・・一端は承知して置きながら、いよいよとなったらそんなこと

聞いてないと無碍に断られる。

困り果てて、つい銭箱n中の20円の中から2円だけ盗む ・・・

8

ぶらり帰って来た長男の放蕩息子「中谷昇」がそれを察知して ・・・ のこりの18

を懐に、「20えん借用します」と銭箱のなかに書き残し立去る・・・ 娘は難を逃れる

・・・