自燈明

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四十八番 源重之

2014年05月23日 | 百人一首

風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ 砕けて物を 思ふころかな

風が激しいせいで岩を打つ波が、自分だけで砕け散るように、私だけが砕け散るような片思いにふけるこのごろだなあ。
風をいたみ 「AをBみ」で原因・理由を表す。「AがBなので」の意。Aは名詞、Bは形容詞の語幹。「いたし」は、程度がはなはだしいことを表す形容詞。「風をいたみ」で、「風が激しいので」の意。
岩うつ波の 「の」は、比喩を表す格助詞。「岩をうつ波が…するように」の意。作者の思いを全く意に介さない女性の心を不動の岩にたとえている。ここまでが序詞。
おのれのみくだけて物を思ふころかな 「のみ」は、限定の副助詞。波が岩に当たって砕けるという力強い風景描写に、自分の気持ちだけが粉々に打ち砕かれ、悩み苦しむ心理描写を重ねることで、一人ではどうすることもできない絶望的状況を表現している。

みなもとのしげゆき (?~1000?)
平安中期の歌人。三十六歌仙の一人。清和天皇の曾孫。地方官を歴任。陸奥守に左遷された藤原実方とともに陸奥に下って没した。
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