外国での集客担当「第一次アレンジ事業者」を誰にするか?

2011-02-11 17:20:01 | Weblog
「第一次アレンジ事業者選定」の問題

皆様のご清栄をお慶び致します。
さて、著名な大手旅行業者さんによる「医療法第一条の規定により、メディカルツーリズム関与の旅行業者もまた医師や看護師同様のインフォームドコンセントの責任を負う。」という趣旨の主張は、昨年暮れごろまで大きな重荷となってメディカルツーリズム業界の肩にのしかかってきました。
実際、その大手旅行業者自身、自ら唱えるその主張に手足を縛られたのか、実際に病院への送客実績を上げられなかったため、某大手病院より外国人顧客紹介の排他的独占契約を破棄されたという風の便りさえもあります。
しかし、私は、法律的にも社会的にも、上記のような主張は行き過ぎであると考えています。なぜなら、インフォームドコンセントの責任は、医師が患者に対して義務として負うものであり、医師と共に働く薬剤師や看護師が中核的な医療従事者であり、病院に患者などを紹介・案内するだけアレンジ業者は、日頃も医療の現場に於いて業務を行うものでは全くないため、医療従事者ではなくて、単なる医療第三者でしかないと言えるからです。
即ち、外国現地に於いて第一次アレンジ事業者が顧客から医療旅行に関する相談を受けて、ツアープランを立てる段階では、まだ医師による診断のための検査なども未だ全く行われていない段階であり、そもそもインフォームドコンセント責任を集客業者に果たすことは不可能です。
とはいえ、外国現地で見込み客等に向かい合って医療ツアー・プランを立てる(集客担当の)第一次アレンジ事業者が、医療に関する知識や経験をある程度有していることが、受け入れ病院や診療科・医師などと日程や治療法の概要等を交渉するに当たって、便利なこと・望ましいことは明らかです。
≪資料≫
日本では1997年(平成9年)の医療法改正によって、医療者は適切な説明を行って、医療を受ける者の理解を得るよう努力する義務が初めて明記された。
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そのため、東京通訳アカデミーでは、外国現地で見込み客と対面して集客業務に携わる第一次アレンジ事業者選定に於いては、例えば中国の医師資格を持ち、更に日本の医療事情にも精通した日本の医学部の博士号をも所持しておられる方を推薦します。少なくとも、外国での医師資格を持たれる方であることを推薦します。
しかし、このような優秀な有資格者は数に制限があるため、次の一手を模索する必要があります。
先ずは、メディカルツーリズムで先行するN旅行社さんが取ってこられた段階式の歩みが参考になります。N社は、約3年前より健診ツアー団体の訪日を、たまたま中国側旅行業者から依頼され、その要望に応じてツアー客を引き継ぎ、病院に送客したのみであったと謙遜されていますが、その事の真否に拘わらず、基本的にインフォームドコンセント類似の責任が問題になりにくい「健康な顧客」を引き受けてこられたところに幸運がありました。しかし、最近では、明らかに病気治療目的の顧客も引き受けられているようです。
それは、(a)本年より正式に医療滞在ビザが発給されることとなり、長期滞在が可能になったことも背景にあって、新たに、長期治療が必要な重病患者すら獲得がしやすくなったという面もあるでしょうが、(b)日本での健診ツアーの結果、たまたま病気が発見されたためその治療目的で再度来日されるという事情が発生した可能性もあります。
この後者の場合は、健診担当の病院や医師が予め患者の病状等を心得ているため、集客や送客担当のアレンジ事業者が、インフォームドコンセント類似の責任を負わなければならない事情も全くなく、アレンジ事業者は安心して仲介業務を遂行できることになります。
ところで、(a)の場合は、純粋に治療目的での新規ツアー客獲得ですから、依然としてインフォームドコンセント類似の責任の有無が論じられる可能性が残りますが、(b)の場合は、一度、健診ツアーで預かった顧客についての再度の送客ですから、顧客=患者と病院とが顔見知りのため、中間の送客業者にインフォームドコンセント類似の責任を負わせる必要がありません。
従って、外国人医師資格を持たれる方を第一次アレンジ事業として採用・提携できる幸運に恵まれない場合、即ち、単なる旅行事業を営むにすぎない業者を外国現地での集客を担当する第一次アレンジ事業者として選定・連携しかできない場合は、インフォームド・コンセント類似の責任が問題にならない健診ツアー客獲得からスタートされて、専らその分野に集中し、無難なツアー客仲介の実績と経験を多く積まれて、医療関係の知識などもある程度は蓄積されてから、次のステップとして、重病・難病の治療目的の顧客獲得へと進んでいかれればどうでしょうか?
更には、健診ツアーに実質的には類似の「温泉湯治客」を、医療滞在ビザにおいて身元保証などして獲得して行く場合も、特にはインフォームドコンセント類似の責任が問題になることもないでしょう。
≪結論≫
(1)Local Train Course=Step Up System
(外国人医師を第一次アレンジ事業者として採用・連携できない場合)
(a)健診ツアーでの顧客取り扱い「経験の蓄積」⇒⇒⇒治療目的でのツアー客獲得へ
(b)温泉湯治目的でのツアー客の獲得実績⇒⇒⇒治療目的でのツアー客獲得へ進化

(2)Express Train Course=Warp System
(外国人医師を第一次アレンジ事業者として採用・連携できる幸運な場合)
・いきなり、治療目的ツアー客の受け入れも可能


平成23年2月11日 金曜日
東京通訳アカデミー・学院長・岡村寛三郎
〒101-0052東京都千代田区神田小川町2丁目6番12号 東観小川町ビル8階
☎03-3233-7518 Fax.03-3294-7410 事務局Email: okamura3@oksemi.co.


≪参考資料≫
「外務省」
医療滞在ビザを申請される外国人患者等の皆様へ
1.医療滞在ビザとは
 医療滞在ビザとは,日本において治療等を受けることを目的として訪日する外国人患者等(人間ドックの受診者等を含む)及び同伴者に対し発給されるものです。
(1)受入分野
 医療機関における治療行為だけでなく,人間ドック・健康診断から温泉湯治などの療養まで,幅広い分野が対象となりえます。
 ※受入れ分野は,日本の医療機関の指示による全ての行為(人間ドック,健康診断,検診,歯科治療,療養(90日以内の温泉湯治等を含む)等を含む)となります。
(2)数次査証
 必要に応じ,外国人患者等に数次有効の査証が発給されます。
 ※ただし,数次有効査証が発給されるのは,1回の滞在期間が90日以内の場合のみです。数次有効の査証を申請する場合には医師による「治療予定表」の提出が必要となりますので,身元保証機関を通じて入手してください。
(3)同伴者
 外国人患者等の親戚だけでなく,親戚以外の者であっても,必要に応じ同伴者として同行が可能です。
 ※同伴者については,必要に応じ,外国人患者等と同じ査証が発給されます。なお,同伴者は外国人患者等の身の回りの世話をするために訪日する方で,収入を伴う事業を運営し又は報酬を得る活動はできません。
(4)有効期限
 必要に応じ3年です。
 ※外国人患者等の病態等を踏まえて決定されます。
(5)滞在期間
 最大6ヶ月です。滞在期間は,外国人患者等の病態等を踏まえて決定されます。
 ※滞在予定期間が90日を超える場合は入院が前提となります。この場合,外国人患者等は,本人が入院することとなる医療機関の職員又は本邦に居住する本人の親族を通じて法務省入国管理局から在留資格認定証明書を取得する必要があります。
2.査証申請手続の概要
(1) 日本の医療機関で治療を受けること等を希望する外国人患者等は,文末に記載した登録された身元保証機関(医療コーディネーター,旅行会社等)のリストを参照し,同機関のいずれかに連絡し,受診等のアレンジについて依頼してください。(身元保証機関のリストは,現在作成中です。査証申請を希望する方は,受診等のアレンジの依頼先について,最寄りの在外公館にお問い合わせください。)
(2) 身元保証機関を通じて受入れ医療機関を確定し,身元保証機関から,「医療機関による受診等予定証明書及び身元保証機関による身元保証書」(必要に応じ,治療予定表も)を入手してください。
(3) 在外公館における査証申請の際,外国人患者等は,以下の書類を提出してください。(同伴者については,以下のうちア~ウ及びカを提出してください。)なお,外国人患者等が入院を前提として医療を受けるために90日を超えて滞在する必要がある場合には,外国人患者は,本人が入院する本邦の医療機関の職員又は本邦に居住する本人の親族を代理人として法務省入国管理局から下記キ「在留資格認定証明書」を取得の上,他の提出書類と併せ管轄区域内の在外公館に提出してください。
ア 旅券
イ 査証申請書
ウ 写真
エ 「医療機関による受診等予定証明書及び身元保証機関による身元保証書」
オ 一定の経済力を有することを証明するもの(銀行残高証明書等)
(注:外国人患者等の国籍により提出いただく書類が異なることがありますので,具体的な提出書類については居住地を管轄する大使館または総領事館にお問い合わせ下さい。)
カ 本人確認のための書類
(注:外国人患者等の国籍により提出いただく書類が異なることがありますので,具体的な提出書類については居住地を管轄する大使館または総領事館にお問い合わせ下さい。)
キ 在留資格認定証明書(入院して医療を受けるため,90日を超えて滞在する必要がある場合)
ク 「治療予定表」(数次にわたり治療のために訪日する必要がある場合)
身元保証機関(登録医療コーディネーター等)のリスト(英語リスト)
身元保証機関(登録旅行会社)のリスト(英語リスト)
在外公館リスト(英語リスト,中国語リスト)


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