漫画家の矢口高雄さんが亡くなったというニュースを見た。
釣り自体は、祖父がボートも所有するほどの釣り好きだったおかげで、小さい頃から一緒に連れていってもらっていた。
ボートに乗ってのキス釣りや、近くの川や潟でのマブナ釣りがほとんどだったが、雪の降る中での寒鮒(マブナ)釣りやイトヨ釣りは、指先が凍るようだったのに釣っていたのを思い出す。
そんな僕が自分一人で釣りをしてみようというきっかけになったのが、矢口高雄さんの「釣りキチ三平」という漫画だった。
小学校6年生のとき、友達が持ってきた釣りキチ三平を見たのがきっかっけだ。
ちょうど冬だったが、どうしても釣りに行きたくなって、わけもわからないのに祖父の釣り竿を持って吹雪の中マブナを釣りに行ってみた。
もちろん場所も知らないし、ノウハウもないド素人の小学生に寒鮒なんて釣れるわけもなく、しもやけになった手で自転車に乗って帰った記憶がある。(笑)
たしか、釣りキチ三平を最初に見たのはイトウ釣りをやっていたパートだったと思う。
そこで初めてルアー釣りというのを知って、カッコいい!と思ったものだ。
まだルアーの対象魚というのが、イワナやヤマメのようなマス類が主流で、僕の住むあたりにルアーで釣れる魚というのもわからないような時代だった。
春になるまでにいろいろ調べて、近くではライギョがルアーで釣れる可能性のある魚だとわかった。
もちろんその頃は、ライギョをルアーで釣るノウハウなんて確立されていない、そもそも僕はライギョというのがどんな魚かも知らなかった。(笑)
春になり中学生になった僕はどうしてもそのルアー釣りがしたくて、比較的安かった5.5fのサンスピンというダイワのロッドを手にした、リールは祖父のものからルアー釣りに使えそうなオリムピックのアウトスプールのスピニングリールを拝借した。(当時のルアーで使うスピニングリールはインスプールであることがステイタスのような感じだったけど、うちにはインスプールの小さいスピニングリールがなかった)
おこづかいで買ったダイワのバルサミノーというプラグ、ダンサー、クルセイダーというスプーンを持ってライギョがいると祖父から聞いた潟に、石黒君という友達を誘って行った。
もちろんポイントなんてわからないが、流れ込みのあるワンドになっているところを見つけ、そこがいかにもいそうな感じがして、そこでやることにした。
一番高価だったバルサミノーは早々に引っ掛けてなくしてショックを受けたが、残ったスプーンでやっていた。
釣り方としては、当時一般的だったスプーンを使ってマス類を釣るような方法をお手本に考えていた。
ビギナーズラックというのはすごい、今から考えればライギョをスプーンで釣るなんて一般的じゃないが「また根掛かりか・・・」と思ったときに水中から泥と泡が出た。
根掛かりかと思ったそれは魚だった。
無我夢中で取り込んだそれは見たこともない魚、ライギョだった。
はじめて釣った大物に、自分が三平くんになった気分だった。(笑)
僕を釣りの世界に引き込んだのは、まぎれもなく矢口高雄さんの釣りキチ三平。
ルアーというのをやってみようと思わせたのも、釣りキチ三平。(今はルアーなんてめったにやらないけど)
あのイトウ釣りのとき、三平くんが魚紳さんから渡された漆黒のアンバサダー5000Cはずっと僕の中で最高のリールだ。(同じリール袋とともに、持っている)
33巻くらいまで揃えたものの一度は手放した釣りキチ三平のコミックだが、また今は揃え始めて54巻くらいまで揃っている。
全部揃える前に矢口さんが亡くなるなんて思ってもみなかったけど。。。これからは仕事に追われずゆっくり釣りを楽しんでください。
ご冥福をお祈りします。