明日は明日の風が吹く

明日の事を今日悩んだって何にも解決しない
まぁ何とかなるさ!

Fukushima50

2021-03-13 20:07:33 | 歴史
金曜ロードショーではFukushima50を放映してましたね。
私の印象に残ったのは渡辺謙さんや佐藤浩市さんの名演もさることながら、佐野史郎さんが時の菅直人元首相の無能ぶりを的確に演じておられたことかな・・・

トップが現場を知らないこと自体はそんなに責められたものじゃない。が、知らないなら知らないなりの対応ってものがあり、知らないなら人の話に聞く耳を持つことだろう。菅直人元首相に関しては知らないことよりも知っているかの如く無用な指示や現場の視察を入れて現場の混乱を増幅させたことに大きな罪がある。

インピーダンスマップでは発電所ってのはマル書いてG書いて定格とインピーダンスを【p.u.】の単位で書いてあるだけだけ、ユーザーの立場の私なんか整定値協議の折に電力会社、今なら送電会社から変電所までのインピーダンスの範囲と変電所から回線を伝って自分の守備範囲のメインの変圧器に入るまでのインピーダンスが複素数で書かれているのしか拝んだことがありませんが、こんな簡単な記号であらわされたマル書いてG書いて定格とインピーダンスだけが書かれたところの非常時の壮絶なドラマが実に迫ってくるように描かれています。

一方で危機管理という点ではF1よりもF2の対応が特に米国では注目されています。電源喪失したBWRを再び冷却した実例が日本人にはあまり知られていないのが残念なところです。尤もBWRが電源喪失したら手足をもがれたカニ状態になるのは分かりきっていたはずなのに脇にある高台に電源を用意しなかったことなどは設計段階からどこで判断に誤りがあったか検証して後世に活かすべきことでしょう。PWRのように放射能を含まない2次冷却水を蒸気発生器から出てきた後に復水器は電源がなければ海水を送れませんから蒸気自体を空中にブロワしてタービンポンプを回して冷却水を送り込むことも出来ないことは分かっていたはず・・・

また、東北電力の発電所は正常に停止させて冷却したことも、皮肉なことに「電源を喪失しなければ大地震・大津波があってもBWRを停止・冷却することが出来る」ってことを証明しているわけです。資金力が乏しい東北電力が怒って経済活動の衰退に伴う売り上げ減に対して賠償を請求するのも当然と言えます。なんせ関電送配電の管内なら6kVの後は20kV、30kVそして70kVと階級が上がっていくのですが、東北では6kVの次は70kVって聞いたことがあります。実は電力を受け取るのに高圧受電以上では「電気主任技術者」って有資格者を置いとかなきゃならないんですが、50kVの壁ってものがあって特高受電と呼ばれるとてーも電圧が高いところで30kVなら第3種で十分なのに対し70kVでは第2種以上を置いとかなきゃならない。まぁ資格の取得の難易度でいえば第3種と第2種では天と地ほどの差があるってことは私自身が身に染みて体験しています(泣)で、2000kWを超える契約でも6kVで受電してるところもそこそこなんて話も聞きます。そんな中で潤沢な東電のメルトダウンで東北の電気使用量がガタ落ちしたら頭にくるのは当然でしょうね。

いまさら誰かを責めようってのではないのですが、重大な結果を引き起こした以上は、導入段階から判断の岐路がどこにあって、どの判断が良い方向に働きどの判断が悪い方向に働いたかっていうのは原発事故だけでなくすべての事で震災の記憶のある私たちの世代が後世の人々のために残しておくべき検証じゃないんでしょうか?

卑近な例でいえば今私たちがてっちりやキノコ汁をほぼ安心して食することが出来るのも多くの人の犠牲の上に成り立ってんですから。

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