ラース・フォン・トリアー監督、2005年の作品。前作「ドッグヴィル」に続く、“アメリカ三部作”の第2弾。
「ドッグヴィル」を観た時、
あの想像力をふんだんにかき立たされる舞台に、
ずいぶんと魅了されたものです。
今回も同じような世界観で、「マンダレイ」という町を作り上げている。
1933年、フェンスで囲まれたその町では、
70年前に廃止された奴隷制度がまだ残っていた。。。
今回主人公のグレー . . . 本文を読む
チャン・イーモウ監督、2005年の作品。主役に日本の名優・高倉健を招き、末期ガンの息子の願いを叶えようと、単身、中国へ渡る男の、心の動きと現地での人々との交流を描く。
「HERO」は大好きだったけど、
「LOVERS」がそれと比べてもう一押しだったので、
なおさら久々に以前の人間そのものを丁寧に描き出す
チャン・イーモウ作品の真骨頂が見られると、
公開当時からこの作品を楽しみにしていました。
( . . . 本文を読む
「美術館の隣の動物園」のイ・ジョンヒャン監督・脚本、2002年の作品。一時期、都会のソウルの母親のもとを離れ、田舎の山奥のおばあちゃんの家で過ごさなくならなくなった少年と、耳も聞こえず喋ることもでできない祖母との交流を描く。
母親とソウルで暮らすサンウ。
夏のある日、失業中の母が新しい仕事を見つけるまでの間、
今まで会ったこともない田舎のおばあちゃんの家へ
預けられることにななった。
汚いぼろ屋 . . . 本文を読む
小津安二郎監督、1961年の作品。京都に近いある町の造り酒屋・小早川家に起こる悲喜こもごもを描く。
隠居の身となった小早川万兵衛は、老いの身にもかかわらず、
競輪や、昔の愛人のもとへ通ったりと、
まわりのものを心配させつつも楽しくやっていた。
息子一人、娘二人。
息子は大学の教授だったが、妻子の秋子とミノルを残して早世。
長女の文子は婿をとって家を切り盛りし、
次女の紀子はそろそろ結婚をと縁談を . . . 本文を読む
黒木和雄監督、2004年の作品。井上ひさし原作の舞台の映画化。ヒロシマの原爆でひとり生き残ったことを後ろめたく思い暮らしている娘・美津江と、その前に現れた父親・竹造の幽霊の4日間の交流を描いた作品。親子を演じるのは宮沢りえと原田芳雄。美津江に思いをよせる男性には浅野忠信が起用されている。
力のある作品です。
舞台をそのまま映画の世界に持ってきたような演出で、
宮沢りえと原田芳雄の力のこもった演技 . . . 本文を読む
フランソワ・オゾン監督、2005年の作品。ガンを患い余命いくばくもないと宣告された30代前半の若きカメラマンの死と向き合うストーリー。
オゾン監督で好きな作品というと、
まよわず「焼け石に水」をあげる。世界観が奇妙で面白いんですよね。
今回の作品は「死」をストレートな題材としており、ちょっとそれとは違う。
同監督が、夫の死を受け容れられずにいる女性を描いた
「まぼろし」と同じようなテイストかな . . . 本文を読む
「tokyo.sora」の石川寛監督、2005年の作品。高校時代にすれ違ってしまった恋の17年後の顛末を描く。宮崎あおい&瑛太、永作博美&西島秀俊が、それぞれ過去と現在の2人を演じる。
最近、毎日ビデオ録画しては楽しみに観ていた
宮崎あおい主演の「純情きらり」も終わってしまいましたが、
この映画を観て、つくづく宮崎あおいは映画でこそ映えるなぁと
実感した次第です。実力が発揮しやすいというのでしょ . . . 本文を読む
小津安二郎監督、1950年の作品。歳の離れた宗方節子と満里子の悲喜こもごも描く内容。
時代は戦後。みんなガンバレと経済発展が進み、
日本の古き伝統も喪われつつあるような昨今であった。
そんななか、節子は失業中の夫三村亮助に若いころの日記を読まれ、
かつての思い人である田代宏との仲を疑われていた。
彼のイライラは募るばかりで、節子はじっと耐えているものの
同居中の妹の満里子はその怒りを正直に爆発さ . . . 本文を読む
実相寺昭雄監督、1970年の作品。近親相姦など、虚無的な主人公が淡々と犯していく不道徳な所業を、モノクロのアーティスティックな映像と、「人生とは何か」といった人間の根元的な問いとともに描く。
主人公の日野正夫の家は貿易業を営み、暮らしは裕福だが、
正夫は家を継ぐのを嫌がり、仏像師になろうとしていた。
彼は小さなころに「地獄絵」を見て、
そのリアルさに衝撃を受けたという。
しかし、浄土の絵どうかと . . . 本文を読む
1972年連合赤軍の同志リンチ事件を描く、高橋伴明監督、2001年の作品。
立松和平の『光の雨』を原作とした映画が
いまこの現代で撮影されているという設定で
その撮影現場と舞台裏を描きながら、
撮影された『光の雨』の作品が劇中劇として展開していくという、
2つのお話がシンクロしながら進行する内容。
時代を経たいま、浅間山荘事件もよく知らない
現代の同年代の役者達が、一連の事件をどう考え、
どう表 . . . 本文を読む
是枝裕和監督、1995年のデビュー作。宮本輝の同名小説の映画化。
音楽と映像がいい。
そして夫に自殺で先立たれ、
子とともにとり残された主人公の女性が、
「なぜ消えたのか、なぜ死ななくてはいけなかったのか」
と、深い喪失感とともに、
その答えを見いだせず煩悶するストーリーも、
丁寧に描かれていてとてもよかった。
日本映画の優秀な作品として
世界にオススメできる完成度の高い1本ではないでしょうか。 . . . 本文を読む
クロード・ミレール監督、2003年の作品。チェーホフの戯曲「カモメ」を映像化したもの。原題は「LA PETITE LILI」
舞台はフランスの片田舎の別荘地。
そこには、女優マドがその家族とともに、
恋人である映画監督ブリスと静養にきていた。
マドの息子ジュリアンは映画監督になるとことを目指しており、
そこでできた恋人リリィを被写体にショートフィルムを撮って、
静養地の仲間達に披露するも、
彼が . . . 本文を読む
崔洋一監督、1999年の作品。又吉栄喜の芥川賞を受賞した同名小説を映画化したもの。
舞台は沖縄、
19歳の主人公・正吉は豚小屋で産み落とされたという出生秘話を持つ。
そんな彼がよく訪れスナック、そこにはママをはじめとする
3人の女性ミヨ、暢子、和歌子がいて、彼はかわいがられていた。
ある夜、そのスナックに豚が紛れ込む。
ビックリした4人だが、何とか正吉が追い出した。
だが一番若い和歌子が呆けてし . . . 本文を読む
1994年のアフリカはルワンダ。フツ族とツチ族との民族対立により、ツチ族大量虐殺事件が発生した。この作品は、外資系ホテルのフツ族の支配人が1200人もの人々をホテルに匿い、話術と知略を武器にその命を守り抜いた実話をもとにしている。
フツ族とツチ族は見た目上、ほとんど差異はない。
しかしベルギーが植民地支配していた時に、
ツチ族に権力をもたせて支配したことにより差別意識が生まれる。
そして、196 . . . 本文を読む
是枝裕和監督、2001年の作品。オウム事件をモチーフにし、加害者の家族の心の葛藤を描く。
「ワンダフルライフ」同様、
インタビュー形式のドキュメンタリーような手法を使い、
心の整理を仕切れていない主人公たちの、
水底から浮かんでくる水泡のような言葉や想いが語られる。
3年前にカルト教団“真理の箱舟”は
大量無差別殺人事件を起こした。
主人公は、死んだ実行犯の信者4人の家族たち。
彼等は毎年さそ . . . 本文を読む