「バスキア」のジュリアン・シュナーベル監督、2007年の作品。今回、監督が取り上げた人物は、ELLEの元編集長ジャン=ドミニク・ボビー。脳梗塞で倒れ、身体全体の自由を奪われた“ロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)”となったものの、唯一動く左目の瞬きだけで自伝を綴った。同作品がこの映画の原作となっている。
初めの導入がうまいと思う。
歪曲された病院らしき映像――。
物語は、まだ自分のおか . . . 本文を読む
周防正行監督、2007年の作品。痴漢冤罪事件を題材に、現在の日本の刑事裁判のあり方に問題を投げかける社会派ドラマ。
こういう感じのドラマ、
映画ならズバリ、中井貴一主演で松本サリン事件について扱った「日本の黒い夏 [冤enzai罪]」、
テレビドラマなら、高嶋政伸主演の「ホテル」みたいな、
こういうジャンルってなんていうんでしょうねー。
メッセージ性があることが
視聴者にも完全にわかるような仕掛 . . . 本文を読む
女性になるための手術をひかえた性同一性障害(トランスセクシャル)の男性(←まだ)が、学生時代に一回だけ女性と関係をもった時にできた息子と、素性を隠し、ニューヨークからロサンゼルスまで、車で旅するロードムービー。2005年の作品。
主人公のブリーことスタンリーを演じるのは、フェリシティ・ハフマン。
すでに輪郭を削ったり、のど仏を削ったり、
女性ホルモン剤を飲んだりしていて、
姿形はかなり女性に近づ . . . 本文を読む
イスラエルの監督アモス・ギタイ、2005年の作品。
メインキャラクターは3人の女性。
イスラエル人の恋人とイスラエルに来るも、現地で別れ、涙しているユダヤ系アメリカ人にナタリー・ポートマン、
レベッカの運転手で装甲車の改造している夫を持つイスラエル人女性にハンナ・ラズロ、
ヨルダンのフリーゾーンで商売をしているパレスチナ人女性をヒアム・アッバスが演じている。
「フリーゾーン」とはヨルダンにある . . . 本文を読む
「EUREKA ユリイカ」の青山真治監督、2007年の作品。「Helpless」「EUREKA ユリイカ」、2つのストーリーの続編、もしくはアナザーストーリーといった位置づけになると思う。
この3作品において共通していえることは、
狂気や悲しみがあって、それでも人々の周りには日常があって、
時折、笑ったり、優しくなったり、そんな人のありようが描かれているような気がする。
いまや、とても頼りがい . . . 本文を読む
「オールアバウトマイマザー」のペドロ・アルモドバル監督、2006年の作品。主演は前掲作でも出演している、スペインの赤き宝石ペネロペ・クルース。
この監督、大好きなんですけど、人と話していて、
まだその名前をちゃんと言えた試しがないです。
もしかしたら僕の脳には、「ペドロ・アドモアゼル」って、インプットされているかもしれない。。。。でもそれは「違う」ってことは分かっているから、人と話すときは「あー . . . 本文を読む
27歳で夭逝した、ローリング・ストーンズの創設者であり、リーダーであったブライアン・ジョーンズの半生を、彼の死がなぜ引き起こされたのかを視点に描いた作品。原題は「Stoned」。
27歳でなくなったミュージッシャン。。。
ジム・モリソン、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョップリン、、、あと、ニルバーナのカート・コバーンもか。
こうならべてみたとき、
ブライアンのドラッグ、セックス&ミュージッ . . . 本文を読む
「ミツバチのささやき」のヴィクトル・エリセ監督、1982年、2作目となる作品。
彼の処女作である「ミツバチのささやき」はとても好きな作品で、
10年に一度しか撮らないという彼の数少ない他の作品を観たいなーと思いつつも、
ちょうど探していたときにレンタルビデオショップに置いてなく、
実は3作目の「マルメロの陽光」とともに、まだ観れてなかった作品でした。。。
前にも書いたけど、僕は、実はこの監督も . . . 本文を読む
1984年、壁崩壊前の東ベルリンが舞台。当時、東ドイツでは反体制派への監視を行うために国家保安省(シュタージ)という機関があった。主人公はその機関で働く、まじめで優秀な局員ヴィースラー大尉。
「まじめ」ゆえに、彼は揺れた。
〈果たして私は、自分がいま盗聴しているこの心ある劇作家の希望を、この手で手折ってしまっていいのだろうか?〉
この時代、もうすでに体制はほころびを見せ始め
(もともとそういう . . . 本文を読む
「アモーレス・ペロス」のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督、2006年の作品。モロッコ、アメリカ、日本で起こる事件が、関連性をもって紡がれていく。
淡々とした描写の中に、
登場人物みなの悲しみがあふれ出ているようで、
その悲しみの差異がありこそすれ、
モロッコでの銃発砲事件を軸としながら、
繋がっていくさまはとても素晴らしいものでした。
みな壊れかけた関係を抱え、悲しみ、
でもドラマの . . . 本文を読む
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」の
ジョン・キャメロン・ミッチェル監督、2006年の作品。
舞台は9・11以降、心のどこかに不安がつきまとうニューヨーク。
さまざまなカップルがいる。
それぞれ互いを愛しつつも、それでも心が癒されない。
それは過去のトラウマのせいか?
それとも「愛」に対し人が貪欲すぎるからか?
しかし一方で
人は生きているうえで、いろんな人々の愛を受けて生きている。
ジ . . . 本文を読む
今さらまたこのシリーズを観ることになるとは
思わなかったけれど、
移動中のバスで流れていたので観てしまいました。。
いわずと知れたシルヴェスター・スタローンのヒット作
「ロッキー」の最終章、第一作から30周年だということです。
ドラマはチープ。
しかしながら、ラストの試合のシーンは、
うつらうつらしていた僕も、きっちり起きて観ていました。
年齢をかさねても情熱だけはまだ消えない。
情熱だけで . . . 本文を読む
「こころの湯」のチャン・ヤン監督、2005年の作品。前作同様、父と息子の関係性を描く名作。
向陽(シャンヤン)の父親は絵描きだったが、
文革の強制労働により、指がうまく使えないようになって、
6年ぶりに家族のもとへ帰ってきた。
父の記憶のないシャンヤンはどうも父親になじめない。
しかも遊んでばかりいて、父親に怒られるものだから、
どんどん父親が嫌いになっていった。
しかし、父はシャンヤンに絵の才 . . . 本文を読む
西川美和監督、2006年の作品。つり橋から人を落としてしまい、裁判にかけられた兄と、その弟の心理を描く物語。
人が自分のことをどう思っているか。
そして自分が人のことをどう「評価」しているか。
そのやり取りは社会のいたるところであるわけだけれども、
それが家族間ならばどうか?
そしてそれが、家を飛び出したものと、
残された家族の間ではどうか?
田舎で地道に、父のガス・スタンドを
一緒に経営して . . . 本文を読む
ガス・ヴァン・サント監督、2005年の作品。27歳でニルヴァーナのカート・コバーン自殺をモチーフに、とあるグランジ・ロックスターが自殺する前の2日間を描く。
麻薬更生施設を逃げ出し、自分の別荘に歩いて帰ってきた
カリスマ・ロックスターのブレイク。
そのとき別荘では、彼の取り巻き連中が男女4人暮らしていたが、
彼らは眠っていて
ブレイクが帰ってきたことをすぐ気づかない。
服を着替えるのに、女性の . . . 本文を読む