「オアシス」のイ・チャンドン監督、2007年の作品。夫を事故で亡くし、寂しさのあまり夫の故郷である「蜜陽」で暮らそうとソウルから一人息子と越してきたシネ。その彼女がその町で子供を誘拐され殺され、さらなる不幸を背負ってしまうストーリー。
不幸すぎます。
彼女は一人になってしまったあと、キリスト教の新興宗教に救われるのだけれど、またさらに試練が待っていた。
神の愛を信じられるようになり、その御教 . . . 本文を読む
「誰も知らない」の是枝裕和監督、2007年の作品。長男を亡くした元町医者夫婦の家が舞台、兄の命日、長女と次男が家族を連れて帰ってくるその一日を描く。
これまたよい作品です。
役者達のこぎみ良い会話の掛け合いは素晴らしいとしか言いようがない。
みなキャラが立っていて、たった一日のことなのに、彼らの人生やら世界観がきっちりと観客側に伝わってきました。
樹木希林とYOUは最高ですね。彼女たちはとぼけ . . . 本文を読む
「誰も知らない」の是枝裕和監督、1995年の作品。主演に江角マキコを迎え、夫を自殺で亡くした情緒不安定になった女性の絶望と再生の振れ幅を描く。
「誰も知らない」を観たとき、
さかのぼってビデオで観ていたはずだけど、
ストーリーはほとんど忘れていました。
憶えていたのはシーンだけ、江角マキコが窓の近くに座っている絵と、再婚して北陸に嫁いだその大きな海辺の家のみでした。
あと記憶としてはモノクロの . . . 本文を読む
「散歩する惑星」のロイ・アンダーソン監督、2007年の作品。北欧のとある街を舞台に、さびしくツイテいない住人たちの現実と夢の世界をランダムに描いていく。
一つ一つのエピソードや映像に、共感し、感動するものあるんだけど、組み立て方が不条理すぎて、少し、話に集中できない感じがした。
あとはちょっとネタがくどかったり、ストレートすぎて笑えなかったりってのがあったかな。
オムニバスとかにしたらもっ . . . 本文を読む
ヴィム・ヴェンダース監督、1975年の作品。「都会のアリス」「まわり道」に続くロードムービー三部作の最終章。原題は「IM LAUF DER ZEIT」、意味は「時のままに」といったところか。
主人公ブルーノは、一人大きなトレーラーで旅しながら、各地の映画館をまわり、映写機を修理している。ときに時代は、映画がから芸術性が失われ、大衆化し、次々と地方の映画館がつぶれていくようなころ。時には映写師が . . . 本文を読む
ヴィム・ヴェンダース監督、1977年の作品。「都会のアリス」「さすらい」とあわせて、ロードムービー三部作などとよばれている。ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』を叩き台にしており、英題は「THE WRONG MOVEMENT」、すなわち「誤った動き」という意味。
これはもう10年以上前に見たはずなのですが、1カ所、青年ヴィルヘルム((リュディガー・フォーグラー))が列車に乗って、偶然 . . . 本文を読む
犬童一心監督、2007年の作品。さだまさし の同名小説『眉山 -BIZAN-』を映画化したもの。
──と書いて、どれだけの人が興味をそそられただろう。
ちなみに、松嶋菜々子が主人公で、恋人役の医者に大沢たかお、ガンで亡くなる母には宮本信子が扮する。ストーリーは、その母親は、かなわぬ恋の末に主人公を一人で産んだ、そして、しっかりと自分の道理に生き、娘を育て、死に際しては、はてしない愛を残して死 . . . 本文を読む
松尾スズキが監督をつとめる2007年の作品。芥川賞候補になった自身の同名小説を自ら脚本を手掛けて映画化した。
主人公・佐倉明日香はフリーのライター。
いままで、楽しければいいと、特に何も考えず適当に生きているなかで
結婚し、離婚し、子供を堕ろし、風俗で働き、元夫が自殺し、ライターとなって自身の体験を書き、それがばれて親に勘当され、、、、と、いつのまにやら、とんでもない人生を歩んでしまっていた。 . . . 本文を読む
「イカとクジラ」のノア・バームバック監督、2007年の作品。原題は「MARGOT AT THE WEDDING」。小説家で、すぐに人を非難し、イライラしている母親マーゴを演じるのはニコール・キッドマンさん。
キッドマンさんは、
なんとなく怒らせたらこわい、冷徹なイメージを持つので、
今回の役ははまり役だったのではないでしょうか。
結婚して子供も大きくなり、
夫婦関係は刺激のないものになっていた . . . 本文を読む
「マグノリア」のポール・トーマス・アンダーソン監督が、2007年の作品。裸一貫で石油を掘り当て大金持ちとなったダニエル・プレインビューの過剰なる欲に突き動かされた人生を描く。主人公を演じるのはダニエル・デイ=ルイス。彼はこの役でアカデミー賞主演男優賞を受賞した。
いろいろな部分で、興味深い作品である。
まずやたら不安感をあおる効果音。
欲望とエゴの果てに何があるのか、テーマが石油だけに、
しょ . . . 本文を読む
「萌の朱雀」「沙羅双樹」の河瀬直美監督、2007年の作品。舞台は奈良の田舎街、茶畑の近くに建つ農村家屋を使った認知症の老人介護施設。子供を亡くした女性介護士と、妻を亡くした認知症の男性の心の交流を描く。同年のカンヌ国際映画祭では審査員特別大賞を受賞した。
殯(もがり)とは、その語源が“喪(も)上がり”とされ、日本の古代に行なわれていた葬儀儀礼。敬う人の死を惜しみ偲ぶ時間、またその場所のこと。
. . . 本文を読む
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で、浄化という名の下にレイプされ、子供を産まされた女性。その心の傷と、生まれて12歳になった娘との葛藤を描いた作品。監督は、地元サラエボ出身の女性監督、ヤスミラ・ジュバニッチ。2006年のベルリン国際映画祭で金熊賞に輝いた。
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争──。
旧ユーゴスラビア解体中、ボスニア・ヘルツェゴビナは1992年に独立を宣言。
しかし独立をスムーズに行えなか . . . 本文を読む
「酔っぱらった馬の時間」のバフマン・ゴバディ監督、2004年の作品。
舞台は、幾多の戦争で荒廃したイラク北部クルディスタン地方の小さな村。
そこの子供たちは、埋められた地雷を掘り出し、
それを売って生活を成り立てていた。
子供たちを仕切っているのは「サテライト」と呼ばれる少年ソラン。
彼の名の由来は、地上アンテナではテレビを受信できず、
ニュースを見れない村々を渡り歩き、衛生アンテナを村に導入 . . . 本文を読む
劇団ひとりのベストセラーになった同名小説を映画化した、2008年の作品。同時進行に進むオムニバスだが、それぞれのエピソードが最終的に一つにつながっていくつくり。
実は原作を読む機会があって、その上で映画を観ました。
原作からはエピソードを2つか3つばかり削っており、
そのため、人物構成や役割などもいくつか置き換えられている。
エピソードとしては面白いものの、
映画としてはそれぞれのエピソードを . . . 本文を読む
「ヴァージン・スーサイズ」のソフィア・コッポラ監督、2006年の作品。14歳でフランス王家に嫁いだオーストリア皇女マリー・アントワネットの、華やかな生活と、そのうらはらにあった孤独の半生を描いた作品。
マリーを演じるのは、
「ヴァージン・スーサイズ」でも出演していたキルステン・ダンスト。
彼女の美しさのベクトルを、「ヴァージン・スーサイズ」の後の
「スパイダーマン」などで、僕はとうに見失ってしま . . . 本文を読む