本日は編集者の松田素子さんの授業です。
松田さんはこれまで300冊以上の本の出版に携わってきました。
本日は絵本が出版される前のダミー本を見せていただき、どう修正して完成されていったのか、貴重なお話を伺いました。
『そらまめくんのベッド』の なかやみわ さんのダミー本と出版された絵本を見比べたみました。
描き直した方は、草の部分が細かく詳しく描かれていますね。
なかやみわ さんは、絵本を描く前にそらまめくんの生きている世界を考え、そらまめ・枝豆・グリンピースを育てました。
そらまめくんや他の登場する豆たちの性格・家の設計図までも細かく設定したそうです。
良い作品は、作品の根の部分(見えない部分)がしっかりしています。
なかやみわさんのように夢を掴む心の握力が必要です。
長谷川義史さんの『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』は、主人公はおじいちゃんだけではなく時代も主人公。
この絵本で大事なのは、時代がさかのぼって読者がその時代に入っていけること。
絵本は絵が語るので、絵が大事です。
松田さんは時代背景を丁寧に描いてもらえるよう頼み、長谷川義史さんは何度もダミー本を描き直されたそうです。
絵本は出版してしまえば、作者から離れていきます。
「あ〜、こうしとけば良かった」と思わないように、妥協をせずに納得のいくまで描き直します。
『ぼくのかえりみち』ひがしちから さんのダミー本も見せたいただきました。
ダミー本の段階では、読者は横から主人公を見てますが、出版された絵本では読者が主人公になって、白線の上を歩いています。
絵本は、読者に共感させることが大事です。読者も一緒にドキドキハラハラし、どれだけ絵本の世界に入れるか。
絵本はページをめくるので、次のページへの期待を持たせることが大事です。
くぼまちこさんの『はみがきれっしゃ』は、次のページをめくると、わ〜と盛り上がります。
どう変更されてかダミー本も見せていただきました。
後半の授業では、ダミー本の発表と講評をしました。
32ページの中で、どの部分を盛り上げたいのか。
ストーリーに沢山盛り込むのではなく、引き算も必要です。
絵本は読者の予測は裏切っていいが、期待は裏切ってはダメです。
ダミー本を見ていると、何を伝えたかったのかな?と思うものもあります。
作者もどう伝えたいのかはっきりしていない場合もあって、そうすると読者はもっと分からないです。
伝えたいことは何だろう?どうしたら伝わるのか。自問自答してみてください。
絵本作家になりたのであれば、絵本(絵)を本気で読んでください。
読む筋肉と作る筋肉は同じです。
カヌーのオールも片方だけ漕いでいては、前には進みません。
皆さんも沢山の絵本を読んで、自分のダミー本も作ってくださいね。
次回の授業2月21日(水)は、ダミー本の発表と講評です。
ダミー本が発表出来るよう、頑張ってください!