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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

乃木坂46・4期曲「I see…」MVの人気は何を意味するのか?問われる選抜制のあり方 [21Oct20]

2020-10-21 19:30:00 | 芸能

乃木坂46の4期曲「I see…」MVは10月14日、つまり先週水曜日の正午に公開210日目(d)が終了し、同日にビルボードHot100の「国内動画再生回数」も30週目(W)までの順位が発表されています。

「I see…」は25枚目シングルのC/W曲で、表題曲「しあわせの保護色」MVの13日後に公開がスタートしたにもかかわらず、YouTubeの累計再生回数で追い越してしまい、ファンの間で話題になりました。

かなりの人気を集めているMV作品であるのは間違いなく、公開30週目まで進んだ今、何が起こったのか、あらためて振り返ってみようと思います。

「I see…」MVの公開210日目(d)終了時点での累計再生回数は1447.6万回で、坂道フルMV全体の中で11位です。

(表1) 坂道フルMVのYouTube公開210日目(d)再生回数
凡例
[順位] 210d累計 : 208→209→210d積上(初日比210d/1d)曲名_グループ名 Sg番号
# 累計、積上は万回単位
# 初日比は積み上げ再生回数の比で、少数点以下3桁目を四捨五入
# 乃木坂15th以降、欅坂・日向坂全期間で210日目(d)以降までフル公開されたMV34作品を対象に
210d累計再生回数の多い順にランキング
# ピンク色の文字は乃木坂TOP3作品
[01] 2972.0 : 6.4→7.2→6.6(0.05) 不協和音_欅4
[02] 2929.2 : 6.2→6.1→5.3(0.03) ガラスを割れ!_欅6
[03] 2871.2 : 8.3→7.9→6.7(0.28) サイレントマジョリティー_欅1
[04] 2303.0 : 4.0→4.0→4.1(0.03) 風に吹かれても_欅5
[05] 2286.5 : 5.8→5.7→6.2(0.13) 二人セゾン_欅3
[06] 2145.5 : 4.7→4.8→4.9(0.03) アンビバレント_欅7
[07] 2116.2 : 5.1→5.4→6.0(0.06) インフルエンサー_乃17
[08] 1881.5 : 3.5→3.6→3.8(0.03) 帰り道は遠回りしたくなる_乃22
[09] 1787.3 : 3.1→3.2→3.2(0.03) シンクロニシティ_乃20
[10] 1463.3 : 3.1→3.2→3.3(0.03) ソンナコトナイヨ_日4
[11] 1447.6 : 2.5→2.3→2.3(0.03) I see…_乃25C
[12] 1346.5 : 4.9→5.1→5.2(0.07) ドレミソラシド_日2
[13] 1345.1 : 4.5→4.1→3.6(0.06) 黒い羊_欅8
[14] 1284.7 : 2.6→2.7→3.0(0.03) Sing Out!_乃23
[15] 1190.4 : 3.7→3.8→4.1(0.04) エキセントリック_欅4C
[16] 1172.8 : 2.4→2.7→2.6(0.03) いつかできるから今日できる_乃19
[17] 1171.9 : 2.2→2.3→2.3(0.04) サヨナラの意味_乃16
[18] 1164.2 : 2.3→2.3→2.2(0.02) ジコチューで行こう!_乃21
[19] 1080.3 : 5.9→5.1→4.1(0.12) 世界には愛しかない_欅2
[20] 1038.9 : 2.1→2.1→2.2(0.03) 夜明けまで強がらなくてもいい_乃24
[21] 0996.2 : 2.3→2.1→2.3(0.09) キュン_日1
[22] 0927.1 : 0.9→0.9→1.0(0.01) しあわせの保護色_乃25
[23] 0913.9 : 1.9→1.8→2.0(0.03) こんなに好きになっちゃっていいの?_日3
[24] 0884.7 : 3.1→2.8→3.5(0.14) 裸足でSummer_乃15
[25] 0824.3 : 0.9→0.8→0.7(0.01) 逃げ水_乃18
[26] 0700.6 : 2.2→1.7→2.4(0.03) 月曜日の朝、スカートを切られた_欅1stAb
[27] 0597.4 : 2.8→2.4→2.5(0.10) 語るなら未来を…_欅2C
[28] 0593.0 : 0.9→0.9→1.0(0.01) 角を曲がる_平手ソロ
[29] 0462.9 : 0.9→1.0→0.9(0.03) 期待していない自分_け1stAb
[30] 0419.6 : 1.3→1.3→1.2(0.02) W-KEYAKIZAKAの詩_4C
[31] 0378.5 : 0.5→0.5→0.5(0.01) アナスターシャ_乃25C
[32] 0370.5 : 1.6→1.6→1.6(0.08) きっかけ_乃2ndAb
[33] 0364.2 : 0.4→0.3→0.4(0.00) じゃあね。_乃25C
[34] 0278.6 : 0.4→0.4→0.4(0.01) 毎日がBrand new day_乃25C

4期曲「I see…」MVの順位は、長期公開されている乃木坂46フルMVの中では、7位の17th「インフルエンサー」、8位の22nd「帰り道は遠回りしたくなる」、9位の20th「シンクロニシティ」に次ぐ4番手であり、10位の日向坂46・4th「ソンナコトナイヨ」と15.7万回の僅差。

乃木坂では15thから25thまでのシングル表題曲フルMV11作品が無期限公開され、欅坂は1stから8thまでの8作品、日向坂は全4作品がそうなので、表題曲に関して坂道は23作品が長期公開されている。

「I see…」MVより上位の10作品はすべて表題曲MVなので、坂道表題MV23作品中の11位であり、210d累計再生回数は表題曲レベルの数字だと言えます。


シングルC/W曲のフルMVが210dより長く公開された例は、乃木坂では2期曲「アナスターシャ 」、3期曲「毎日がBrand new day」、4期曲「I see…」、白石麻衣の「卒業」ソロ曲「じゃあね。」の25th収録全4作品が初めてですが、欅坂では「語るなら未来を…」「エキセントリック」「W-KEYAKIZAKAの詩」と3作品がある。

またアルバムリード曲でフルMVが210d以上公開されているのは、乃木坂46「きっかけ」、欅坂46「月曜日の朝、スカートを切られた」、けやき坂46「期待していない自分」と3作品あり、加えて平手友梨奈ソロ曲「角を曲がる」のフルMVも同様の長期公開。

表題曲MV以外のこれら11作品の中でも、勿論「I see…」がトップで、次の欅坂46「エキセントリック」を257.1万回差でリードしている。

つまりMV公開から約7ヶ月経った210日目(d)における累計再生回数が、坂道の表題曲MV全体では真ん中くらい、C/W曲やリード曲などのMVでは断トツということで、知名度が低く、宣伝も多くなかった新人4期によるMVとは思えない速い積み上げペースです。


次に「I see…」MVの公開210日間の再生回数推移をより詳しく見ていきます。

(表2a)
(表2b)



表2aは15th以降の乃木坂46表題曲のMV累計再生回数推移を公開開始から210dまで示したグラフで、「I see…」MVが49d以降、4番手を維持していることが分かります。

一方、日単位の積み上げ再生回数、つまり増加速度を縦軸にしたのが表2bで、オレンジ色の小さな三角形で示された「I see…」MVが時折、速度を上げながらも、基本的には全作品中の中間くらいで進んでいる。

ただ表2bはごちゃごちゃして見づらいので、増加速度を幾つかの速度帯に分類し、それぞれの速度帯に何日入ったかを示すグラフを表3に載せておきます。

(表3)



公開初日からの210日間(D)において5万回/日以上の増加速度を記録したのは98日で、やはり累計再生回数TOP3である17th、22nd、20thに次ぐ4番目の多さでした。


4期曲「I see…」MVが半年以上に渡って高い積み上げ再生回数を維持できたのはなぜなのか?

答えるのが難しい問いですが、まずは増加速度の推移を振り返っておきます。

表4は公開初日から210Dまでの日毎の増加速度(積み上げ)と加速度(前日と速度差)の推移グラフです。

(表4)



青色のグラフ線は増加速度を示し、通常は時間と共に減衰していく曲線が、楽曲やMVに関連した出来事が起こると、注目が集まって反転上昇しています。

また赤色のグラフ線は対象日の速度から前日の速度を引いた差ですが、速度の上昇が大きければ大きいほど、より大きなプラスの値を取るので、赤色の線がより大きく、より頻繁に正の方向へ振れるほど再生回数の増加速度は高水準を維持することになる。


「I see…」MVの再生回数増加速度が初めて大きな反転上昇を記録したのは、公開40日目(D)に相当する4月26日(日)、累計再生回数が表題曲「しあわせの保護色」MVを同時刻比較で超えた日で、前日からプラス1.5万回/日の加速。

この加速で波に乗り、『'17年乃木坂46東京ドームライブ』の映像配信という、楽曲とは直接関係のないイベントでも再加速、しばらくの間、通常の減衰曲線から外れ、速度の高止まり状態が続く。

さらに公開101Dの6月26日(金)に累計1千万回を突破したとき、プラス2.7万回/日の大きな加速が発生し、こちらも数十日に渡って、単純な関数で予想される減衰曲線から外れた高い速度で進むことになる。

(表5) 乃木坂46・25th収録曲のテレビ披露
凡例
===== 曲種別「曲名」担当メンバー
[順番] 演奏時間 : 日付 [テレビ種別] テレビ局名『番組名』
# 演奏時間は前奏開始から後奏終了までの時間
===== 表題曲「しあわせの保護色」25th選抜
[1] 2分58秒 : 2020/03/06(金) [地デ] テレビ朝日『MUSIC STATION』
[2] 5分00秒 : 2020/03/16(月) [地デ] TBS『CDTVスペシャル!卒業ソング音楽祭2020』
[3] 2分58秒 : 2020/03/25(水) [地デ] 日本テレビ『Premium Music 2020』
[4] 2分58秒 : 2020/03/28(土) [地デ] 日本テレビ『バズリズム02』
[5] 2分58秒 : 2020/03/29(日) [地デ] TBS『CDTVサタデー』
[6] 2分58秒 : 2020/03/30(月) [地デ] TBS『CDTVライブ!ライブ!初回4時間スペシャル』
[7] 2分58秒 : 2020/04/03(金) [地デ] テレビ朝日『MUSIC STATION 3時間SP』
===== C/W・4期曲「I see…」
[1] 2分25秒 : 2020/08/04(火) [地デ] テレビ東京『プレミアMelodix!』
[2] 2分24秒 : 2020/08/10(月) [地デ] TBS『CDTVライブ!ライブ!夏フェス4時間スペシャル』
===== C/W・2期曲「アナスターシャ」
[1] 2分54秒 : 2020/04/13(月) [地デ] テレビ東京『乃木坂工事中』
===== C/W・ユニット曲「ファンタスティック3色パン」梅澤美波・齋藤飛鳥・山下美月
[1] 3分31秒 : 2020/09/21(月) [地デ] TBS『CDTVライブ!ライブ!秋のリクエストフェス・ラブソング4時間SP』


4期曲「I see…」がテレビ披露されたのは8月4日(火)午前2時20分からのテレ東『プレミアMelodix!』と8月10日(月)午後7時からスタートしたTBS『CDTVライブ!ライブ!夏フェス4時間スペシャル』での2回だけかと思います。

プライムタイムでの披露となった8月10日(月)にはプラス2.0万回/日という大きな加速が起こったけど、これらのテレビ出演は「I see…」MVの再生回数が既にC/W曲の通常水準を越え、ファンの間で話題になった為に実現した感があり、再生回数加速の原因と言う以上に、結果と考えた方がいいかもしれない(笑)。

つまり「I see…」MVの再生回数が伸びたのは、テレビ披露などメディア露出の結果ではなく、純粋に音楽や映像作品の魅力で視聴を呼び込み、表題曲との累計逆転や1千万再生の達成など、数字そのもののイベントが宣伝効果となって、さらに数字が伸びていった印象がある。


参考までに、「I see…」MV以外の速度&加速度グラフを幾つか載せておきます。

(表6a) 乃木坂46・25th「しあわせの保護色」
(表6b) 乃木坂46・24th「夜明けまで強がらなくてもいい」
(表6c) 乃木坂46・17th「インフルエンサー」
(表6d) 欅坂46・1st「サイレントマジョリティー」




表6の四つのグラフは縦軸のスケールを揃えているので、相互に直接比較できます。

ヒットの度合いが大きいと感じる楽曲のMVほど、加速度を表す赤線のギザギザ具合が激しく、派手になっているのが分かると思います。

縦軸を敢えて揃えたので、「サイレントマジョリティー」は増加速度がグラフに収まらず、青線が一部見切れてます(笑)。


ところでC/W曲である「I see…」が同じシングルの表題曲「しあわせの保護色」を、MV累計再生回数で追い抜いたのは、乃木坂で初めてC/W曲フルMVがCD発売後も公開され続けたからで、もし同様の長期公開が24th以前でもあれば、既にどこかで起こっていただろうとの指摘があります。

乃木坂の表題曲フルMVはCD発売の3〜4週間前にYouTubeでの公開が始まり、その後、C/W曲フルMVが順次公開されますが、CD発売日にショートバージョンに差し替えられるため、C/W曲で3週間以上公開が続いたフルMVはほとんどなく、30週間公開なんて例はこれまでゼロだった。

そこで「I see…」MVが登場するまで、歴代C/W曲フルMVの中で、最も速い積み上げペースを記録していた20th収録「Against」MVが、表題曲である「シンクロニシティ」MVを累計逆転する可能性があったかどうかを調べてみました。

「Against」は生駒里奈の「卒業」曲であり、また当時の1期メンバーが全員参加した1期曲で、フルMVの公開は12日目(d)に終了しています。

(表7) 乃木坂46C/W曲フルMVのYouTube公開12日目(d)再生回数
凡例
[順位] 12d累計 : 10→11→12d積上(初日比12d/1d) 曲名*_Sg番号
# 累計、積上は万回単位
# 初日比は積み上げ再生回数の比で、少数点以下3桁目を四捨五入
# 曲名に続く「*」はそのシングルC/W中で最初にフルMVが公開された曲
# 乃木坂15th以降に収録されたC/W曲で12日目(d)以降までMVがフル公開された24作品を対象に
12d累計再生回数の多い順にランキングしたTOP10
[01] 288.8 : 13.7→14.3→14.6(0.19) I see…_25
[02] 209.7 : 09.2→08.2→07.9(0.10) Against_20*
[03] 181.2 : 04.3→04.4→04.6(0.05) じゃあね。_25
[04] 178.8 : 05.8→05.2→05.7(0.08) 心のモノローグ_21*
[05] 145.1 : 06.6→05.8→05.7(0.12) トキトキメキメキ_20*
[06] 127.9 : 03.4→04.8→06.6(0.12) アナスターシャ_25*
[07] 123.7 : 03.7→03.9→03.3(0.06) まあいいか?_19*
[08] 112.5 : 03.3→02.9→02.7(0.05) のような存在_23*
[09] 111.7 : 03.9→03.2→02.5(0.09) ないものねだり_16
[10] 105.8 : 03.8→03.7→03.0(0.08) 意外BREAK_17*

次の表8は、20thシングルにおけるC/W曲「Against」と表題曲「シンクロニシティ」のMV累計再生回数推移を示したグラフです。

(表8)



13日目以降の展開はやってみないと分からないですが、12dまでの流れを見ると、「Against」が「シンクロニシティ」のMV累計再生回数を追い越すような雰囲気は感じられない。

「Against」MVはC/W曲として歴代トップの再生回数積み上げを見せた、非常に人気の高い作品です。

ただC/W曲の人気が高ければ、同じ乃木坂46が出している表題曲の人気も高くなり、後者は前者より遥かに分厚いプロモーションを仕掛けるのだから、MV視聴数がより多くなるのは、まあ当然のことです。


また25thシングルのC/W曲「I see…」と表題曲「しあわせの保護色」のMV累計再生回数の逆転は、公開開始を原点にして、一定の時間が経過したときの数字を比べる通常の同時期比較では、公開18日目(d)という早い段階で起こっています。

乃木坂15th以降のC/W曲フルMVで18d以上公開されたのは「I see…」以外に8作品ありますが、勿論、表題曲MVの累計再生回数を超えるような作品はありません。

(表9a)
(表9b)



公開開始からの経過時間を揃えた同時期比較で累計再生回数を上回らなければ、後発のC/W曲MVが表題曲MVを、公開の時間差を無視した今現在の同時刻比較で逆転するのはもちろん不可能。

25thシングルにおいて、同時期比較だけでなく、同時刻比較でも、C/W曲と表題曲の累計逆転が起こったのは、乃木坂のシングル史上、極めて異例な出来事だったと思います。


表2aが示すように、4期曲「I see…」MVの累計再生回数は、公開210dの同時期比較で17th、22nd、20thの表題曲MVに次ぐ4位で、それら3作品以外の表題曲MVを軒並み上回っている。

不思議なのは、この中に遠藤さくらをセンターに大抜擢し、TOP3を賀喜遥香と筒井あやめの4期で固めた24th「夜明けまで強がらなくてもいい」が含まれていること。

4期メンバーの3人を選抜フロントに抜擢し、大々的にフィーチャーした表題曲MVより、C/Wの4期曲「I see…」MVの方が遥かに多くの視聴数を集めているのは、楽曲そのものの訴求力だけでは説明し切れない気がする。

3期以上の先輩メンバーがひしめく選抜の中にポツンと置かれた3人より、4期メンバー全員が和気藹々と絡んでいる映像の方がより多くの視聴者を惹きつけるのかもしれない。

新人を使うなら、少数のメンバーを優先的に前に出すのではなく、全員丸ごとフィーチャーするべし、ということなら(笑)、選抜制の大所帯アイドルという乃木坂の基本方針は見直した方がいいと思う。


4期曲「I see…」MVの再生回数増加が乃木坂46歴代MVの中でもかなり好調であるのは、ここまでの分析から間違いない。

ただ近年、人気MVの再生回数増加が高速化している印象が強く、数年前のヒット作品と同じ数字を出しても、Pops界全体における相対人気は、その当時に及ばない可能性がある。

YouTubeの再生回数ではなく、ビルボードHot100「国内動画再生回数(M)」の順位という相対指標を使って、別の角度から「I see…」MVの人気を考えてみます。


「I see…」のビルボードM項はMV公開30週目(W)まで順位が出ていますが、100位圏内に入ったのは最初の3週のみなので、横軸を10Wにした順位推移グラフを載せます。

(表10)



25th表題曲「しあわせの保護色」も2週(W)しか入らず、フルMVが公開されている最新曲「世界中の隣人よ」は一度も100位圏内がなく、最近の曲は動画の相対人気で苦戦が目立っている。

次の表8は公開初週の1Wから30Wまでの順位を、幾つかの順位帯に分け、それぞれの範囲に何週ランクインしたかを数えたグラフです。

(表11)



30週間ずっと圏内に留まったのは17th「インフルエンサー」で、TOP20やTOP40に入った週数も歴代トップ。

次いで16th「サヨナラの意味」、22nd「帰り道は遠回りしたくなる」、20th「シンクロニシティ」と、MVの210d累計再生回数で上位に位置する楽曲がやはり、ビルボードM項でも高い順位を残している。


一方、「I see…」は210d累計がグループ内で4位ながら、M項順位は大幅に低い水準に止まっている。

海外アクセスの割合が異なっている可能性はあるけど、一番疑いたくなるのは、ネット人口の増加に伴って、YouTubeの動画視聴数が近年、急激に増加して、MVに関しても同じ再生回数が持つ意味が数年前と全然違ってきたこと。

17th「インフルエンサー」は2017年の春にMVが公開されましたが、それから3年経った2020年春にMV公開の「I see…」と比べると、ビルボードM項で上位に入るために必要なYouTubeの週単位積み上げ再生回数が、当時はずっと少ないように見える。

(表12a)
(表12b)



例えば「インフルエンサー」の8週目(W)は69万回の積み上げで16位に入っている一方、「I see…」の6Wは同じ69万回ながら100位圏外を喫している。

ビルボードのM項は「国内」の動画再生回数によるランキングであり、さらに再生回数に比例してポイントを付与しているのか、YouTubeの「急上昇」のように、何か別の情報を加味してポイント化しているのか分からないので、この問題に関して細かい議論は難しい。

ただ近年の坂道曲のM項順位を見る限り、YouTubeのMV再生回数をもっと上げないと、上位進出は厳しいという印象を強く受けます。


現在、MV公開から16週(W)連続でM項TOP4入りを維持しているNiZiU「Make you happy」のグラフを参考に、ならないかもしれないけど(笑)、載せておきます。

(表13)



再生回数の左縦軸はスケールを表12の10倍以上にしています。

韓流アイドルは世界的に人気が高く、各国にファンがいるので、「Make you happy」のYouTube再生回数は海外アクセス分が坂道よりずっと多いのは間違いなく直接比較は無意味ですが、今の坂道曲がM項順位で存在感を見せるには、200万回以上の週積み上げをキープするくらの再生回数が必要かもしれない。


表11に示された25th表題曲と4期C/W曲の順位帯週数分布を見ていると、なぜ「I see…」MVがYouTube再生回数を伸ばしたのかより、なぜ「しあわせの保護色」のMVは伸ばせなかったのかが気になってきます。

20th収録のC/W3期曲「トキトキメキメキ」のMVは、岩本蓮加センターで3期メンバーの華やかで賑やかな雰囲気を映像化し、表7のように、歴代C/W曲MVの中でもトップクラスの再生回数を記録している。

新人メンバーが注目を集め、その期によるMVが再生回数を伸ばすのは、3期が乃木坂に入ったときにも起こっていた現象で、4期曲「I see…」MVの人気も、基本的には同じ作用によるものじゃないかと思います。

そして「I see…」MVの再生回数積み上げ速度がべらぼうに大きいというより、YouTube人口が以前より増加している今、人気を博したC/W曲MVが集めるトップレベルの数字だったのではないかと。

実際、ビルボードHot100「国内動画再生回数」の順位推移は、表題曲には届かないものの、過去のC/W曲と比べるとかなり良好で、決して厳しい成績ではない。


一方、徹底的なメディア露出によって、分厚いプロモーションを仕掛ける表題曲なら、数字が伸びなかったとしても、MVの累計再生回数が同じシングルのC/W曲MVを下回るなんてことは通常考えらないのだけど、それが現実に起こってしまっている。

25th「しあわせの保護色」は白石麻衣の「卒業」シングルで、MVもまいやんの旅立ちをテーマにしているので、4期を応援しているファンの関心を集め切れなかった可能性はある。

しかし4期メンバー3人がフロントを形成した24th選抜による「夜明けまで強がらなくてもいい」のMVですら、累計再生回数が伸び悩み「I see…」のレベルに届いていない。

乃木坂の選抜に対するファンの期待感や注目度が急激に低下し、期別など数あるグループ内ユニットの中で、選抜がとくに人気を集めにくいチームになりつつあるのであれば、早急に選抜のあり方を考え直す必要がある。

乃木坂で楽曲パフォーマンスを重視した音楽選抜は一度も実現していないが、大体決まったメンバーが延々と選ばれ続ける選抜がそもそも必要かどうかを含め、検討するべきだと思う。

とくに新型コロナの問題でシングルを出せず、アンダー曲がないなら、いっそチーム制にするのも一つの案かもしれない。

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