最終順位が相手を上回ることへの「上位マジック」と、直接対決で相手に何勝すればマジックが出るかを表す「上位マジック点灯指標」を中心に、プロ野球のペナントレースを眺めます
<ちょっとコメント>
昨夜の「オリックス、自力CSが同率復活」という見出しについて補足説明を。
昨日のパリーグ全試合終了時点で、オリックスは残り試合を全勝すると、最悪の場合でも、3位チームと同率で並ぶ状態になった。この同率となる3位チームは西武で、70勝56敗18分でシーズンを終わるというもの。オリックスは75勝60敗9分となるのだが、パリーグの規定では順位決定で「直接対決での勝率」が優先される。西武はオリックスに対してすでに勝ち越しを決めているため、オリックスはこの同率ケースではCSに進出できないことになる。
全勝なのにCS進出できないケースが一つでもあれば、自力CSは「消滅」という考え方を厳密に適用すれば、オリックスの自力CSは復活していないことになる。マスメディアが「オリックスの自力CS復活」に触れていないのは、こういった事情からだと思う。
しかし、セリーグの規定では「勝利数」が優先されるので、その規定を当てはめれば、西武ではなくオリックスがCS進出となり結果が違ってくる。リーグ独自の規定によって自力CSの「消滅」や「復活」が左右されるほど、際どいラインまで来ているのに、それに一切触れないというのも、何か不親切で愛想がない気がする。そこで、当ブログは今後も同様のケースでは「同率復活」という言葉を使って、少なくともギリギリの線上に立っていることを伝えることにする。
ところで、8月14日(火)に阪神の「CS自力指標」がゼロとなって、今回と同じく「同率復活」している。この場合は、3位チームが広島で80勝54敗10分となり、阪神の80勝54敗10分と「勝利数」でもピッタリ一致していた。セリーグの規定では、次に考慮されるのが「直接対決での勝率」。阪神全勝だとこの時点では15勝8敗1分と阪神が勝ち越すためCS進出が可能で、「同率復活」かつ「完全復活」となった。
その結果、マスコミが「阪神、自力CS復活」と大々的に記事を流したが、翌15日(水)にはあっさり「消滅」。その後、19日(日)に一度「復活」したが、これも次の試合後に「消滅」して、今に至っている。結局、「同率復活」が「完全復活」かそれとも「未だ消滅」かはリーグの規定次第で、8月14日の阪神も、8月26日のオリックスも、チームの置かれた状況として、ギリギリのライン上にいるという点では大差がない。前者と後者、そこに厳格な線引きをしても、あまり意味があるとは思えない。
<明日の試合予定>
勝ち数は今日の試合結果を含む
各カードは24回戦まで
<上位マジックの点灯動向と優勝・CS出場確率>
2012年8月27日17:00現在
セリーグ
中日 -0.7 [6] (M 26, 0.788)、広島 -5.7 [6] (M 16, 0.485)、ヤクルト -5.9 [7] (M 15, 0.455)、阪神 -10 [6] (M 7, 0.212)、横浜 -10.8 [8] (M 4, 0.121)
巨人 6.7 [6]、広島 -1.5 [7] (M 23, 0.719)、ヤクルト -3.6 [4] (M 21, 0.656)、阪神 -5.8 [7] (M 14, 0.438)、横浜 -7 [8] (M 11, 0.344)
巨人 11.7 [6]、中日 8.5 [7]、ヤクルト 4 [9]、阪神 -2 [5] (M 25, 0.758)、横浜 -3.1 [6] (M 21, 0.636)
巨人 12.9 [7]、中日 7.6 [4]、広島 5.1 [9]、阪神 0.2 [8]、横浜 -1.5 [8] (M 25, 0.694)
巨人 16 [6]、中日 12.8 [7]、広島 7 [5]、ヤクルト 7.9 [8]、横浜 1.5 [6]
巨人 18.8 [8]、中日 15 [8]、広島 9.1 [6]、ヤクルト 9.5 [8]、阪神 4.6 [6]
パリーグ
日本ハム 3 [8]、ソフトバンク 1.2 [6]、ロッテ 2.6 [9]、楽天 1.2 [8]、オリックス -4.8 [5] (M 22, 0.611)
西武 5 [8]、ソフトバンク 3.2 [8]、ロッテ 2.6 [7]、楽天 -0.4 [3] (M 29, 0.906)、オリックス -3.3 [6] (M 20, 0.625)
西武 4.9 [6]、日本ハム 4.9 [8]、ロッテ 1.5 [3]、楽天 3.7 [9]、オリックス -2.3 [6] (M 22, 0.688)
西武 6.5 [9]、日本ハム 4.5 [7]、ソフトバンク 1.6 [3]、楽天 3.3 [8]、オリックス -1.7 [7] (M 24, 0.706)
西武 6.9 [8]、日本ハム 3.4 [3]、ソフトバンク 5.4 [9]、ロッテ 4.8 [8]、オリックス -0.5 [8] (M 28, 0.778)
西武 9.8 [5]、日本ハム 9.3 [6]、ソフトバンク 8.3 [6]、ロッテ 8.7 [7]、楽天 8.5 [8]
<表の見方>
1行目
(順位)、チーム名
2行目 (色枠) 左から
勝率、ゲーム差、残り試合数、優勝確率 (%)、クライマックスシリーズ(CS)出場確率 (%)、CS自力指標、CS確定指標
「99.95*」は 99.95 % 以上でかつ 100 % より小さい
「100x」は 100 % を表し、2千万回の試行で2千万回起こったことを示す
「0.05*」 は 0.05 % 未満かつ 0 % より大きい
「0x」 は 0 % を表し、2千万回の試行で0回だったことを示す
水色の数字は今より上の順位でペナントレースを終える確率 (%)。「V率」欄で「0x」が続いた場合に表示
「CS自力指標」は、そのチームが全勝する条件での勝率から残りチームの最高3位勝率を引いた値を試合数に換算したもの。全勝での勝利数のCS確定ラインからの上積み勝利数を表す。この指標は大きいほど良く、マイナスになると自力CSが消滅する。
「CS確定指標」は、そのチームが全敗する条件での勝率を残りチームの最高3位勝率から引いた値を試合数に換算したもの。全敗での勝利数のCS確定ラインへの不足勝利数を表す。この指標は小さいほど良く、マイナスになるとCS出場が確定する。
3行目以降 各チームごとに
相手チーム名、上位マジック点灯指標、[残りの直接対決試合数]、(M 上位マジック, 上位確定に必要なこれからの最高勝率)
赤色 そのチームへ上位マジックを点灯した
青色 そのチームから上位マジックを点灯された
ピンク色 そのチームへ上位マジックを点灯しかけている
ライム色 そのチームから上位マジックを点灯されかけている
「上位マジック点灯指標」と「優勝確率」「CS出場確率」については、このページに詳しい説明があります。
<ちょっとコメント>
昨夜の「オリックス、自力CSが同率復活」という見出しについて補足説明を。
昨日のパリーグ全試合終了時点で、オリックスは残り試合を全勝すると、最悪の場合でも、3位チームと同率で並ぶ状態になった。この同率となる3位チームは西武で、70勝56敗18分でシーズンを終わるというもの。オリックスは75勝60敗9分となるのだが、パリーグの規定では順位決定で「直接対決での勝率」が優先される。西武はオリックスに対してすでに勝ち越しを決めているため、オリックスはこの同率ケースではCSに進出できないことになる。
全勝なのにCS進出できないケースが一つでもあれば、自力CSは「消滅」という考え方を厳密に適用すれば、オリックスの自力CSは復活していないことになる。マスメディアが「オリックスの自力CS復活」に触れていないのは、こういった事情からだと思う。
しかし、セリーグの規定では「勝利数」が優先されるので、その規定を当てはめれば、西武ではなくオリックスがCS進出となり結果が違ってくる。リーグ独自の規定によって自力CSの「消滅」や「復活」が左右されるほど、際どいラインまで来ているのに、それに一切触れないというのも、何か不親切で愛想がない気がする。そこで、当ブログは今後も同様のケースでは「同率復活」という言葉を使って、少なくともギリギリの線上に立っていることを伝えることにする。
ところで、8月14日(火)に阪神の「CS自力指標」がゼロとなって、今回と同じく「同率復活」している。この場合は、3位チームが広島で80勝54敗10分となり、阪神の80勝54敗10分と「勝利数」でもピッタリ一致していた。セリーグの規定では、次に考慮されるのが「直接対決での勝率」。阪神全勝だとこの時点では15勝8敗1分と阪神が勝ち越すためCS進出が可能で、「同率復活」かつ「完全復活」となった。
その結果、マスコミが「阪神、自力CS復活」と大々的に記事を流したが、翌15日(水)にはあっさり「消滅」。その後、19日(日)に一度「復活」したが、これも次の試合後に「消滅」して、今に至っている。結局、「同率復活」が「完全復活」かそれとも「未だ消滅」かはリーグの規定次第で、8月14日の阪神も、8月26日のオリックスも、チームの置かれた状況として、ギリギリのライン上にいるという点では大差がない。前者と後者、そこに厳格な線引きをしても、あまり意味があるとは思えない。
<明日の試合予定>
勝ち数は今日の試合結果を含む
各カードは24回戦まで
7 勝 | 19 回戦 | 8 勝 |
中日 | 18:00 | 巨人 |
秋田こまちスタジアム |
7 勝 | 16 回戦 | 7 勝 |
広島 | 18:00 | ヤクルト |
神宮 |
8 勝 | 19 回戦 | 8 勝 |
阪神 | 18:00 | 横浜 |
横浜スタジアム |
8 勝 | 17 回戦 | 6 勝 |
西武 | 18:00 | 日本ハム |
札幌ドーム |
5 勝 | 19 回戦 | 11 勝 |
オリックス | 18:00 | ソフトバンク |
福岡ヤフードーム |
6 勝 | 17 回戦 | 9 勝 |
楽天 | 18:15 | ロッテ |
千葉QVCマリン |
<上位マジックの点灯動向と優勝・CS出場確率>
2012年8月27日17:00現在
セリーグ
(1) | 巨人 |
勝率 | 差 | 残 | V率 | CS率 | CS自 | CS確 |
0.667 | --- | 33 | 95.1 | 100x | 28.4 | 11.3 |
(2) | 中日 |
0.596 | 7 | 32 | 4.9 | 99.95* | 19.9 | 17.8 |
(3) | 広島 |
0.495 | 10 | 33 | 0.05* | 69.3 | 10.1 | 31.8 |
(4) | ヤクルト |
0.47 | 2.5 | 36 | 0.05* | 30.1 | 7.9 | 37.2 |
(5) | 阪神 |
0.41 | 6 | 32 | 8.8 | 0.6 | -3.8 | 40.8 |
(6) | 横浜 |
0.36 | 5 | 36 | 14.0 | 0.05* | -6.1 | 48.2 |
パリーグ
(1) | 西武 |
勝率 | 差 | 残 | V率 | CS率 | CS自 | CS確 |
0.54 | --- | 36 | 37.5 | 83.8 | 16.9 | 27.8 |
(2) | 日本ハム |
0.538 | 0 | 32 | 37.6 | 85.8 | 14 | 26.3 |
(3) | ソフトバンク |
0.52 | 2 | 32 | 15.1 | 65.7 | 11.4 | 27.6 |
(4) | ロッテ |
0.505 | 1.5 | 34 | 7.9 | 44.3 | 11.1 | 29.8 |
(5) | 楽天 |
0.485 | 2 | 36 | 1.9 | 20.3 | 10.1 | 33.9 |
(6) | オリックス |
0.417 | 7 | 32 | 0.05* | 0.1 | 0 | 38.7 |
<表の見方>
1行目
(順位)、チーム名
2行目 (色枠) 左から
勝率、ゲーム差、残り試合数、優勝確率 (%)、クライマックスシリーズ(CS)出場確率 (%)、CS自力指標、CS確定指標
「99.95*」は 99.95 % 以上でかつ 100 % より小さい
「100x」は 100 % を表し、2千万回の試行で2千万回起こったことを示す
「0.05*」 は 0.05 % 未満かつ 0 % より大きい
「0x」 は 0 % を表し、2千万回の試行で0回だったことを示す
水色の数字は今より上の順位でペナントレースを終える確率 (%)。「V率」欄で「0x」が続いた場合に表示
「CS自力指標」は、そのチームが全勝する条件での勝率から残りチームの最高3位勝率を引いた値を試合数に換算したもの。全勝での勝利数のCS確定ラインからの上積み勝利数を表す。この指標は大きいほど良く、マイナスになると自力CSが消滅する。
「CS確定指標」は、そのチームが全敗する条件での勝率を残りチームの最高3位勝率から引いた値を試合数に換算したもの。全敗での勝利数のCS確定ラインへの不足勝利数を表す。この指標は小さいほど良く、マイナスになるとCS出場が確定する。
3行目以降 各チームごとに
相手チーム名、上位マジック点灯指標、[残りの直接対決試合数]、(M 上位マジック, 上位確定に必要なこれからの最高勝率)
赤色 そのチームへ上位マジックを点灯した
青色 そのチームから上位マジックを点灯された
ピンク色 そのチームへ上位マジックを点灯しかけている
ライム色 そのチームから上位マジックを点灯されかけている
「上位マジック点灯指標」と「優勝確率」「CS出場確率」については、このページに詳しい説明があります。