最初に友人になった彼女でしたが、殆ど話す事無く過ぎた学生時代でした。それでも彼女と2人だけで話した思い出はあります。知り合った最初の頃、生協の自動販売機でコーヒーを買った時、彼女からコーヒーがダメだと聞いた事や、冬の風邪の時期、同じ専攻の友人4人グループの内2人が休み、偶然彼女と2人だけになった時、空き時間に小部屋の教室で自習しながらぽつぽつ話などした覚えがあります。
そんな中でも2人殆ど会話が無く、何を話したのか覚えが無いのですが、彼女は濡れた薄地のハンカチをヒーターの上に広げて乾かしていました。そのフェミニンな光景や、彼女がポツンと言った言葉を覚えています。
「いじいじしてる。」
『?』彼女のその言葉に対して何だろうと私が思った事。『私の事かしら?』そう思ってみたりしました。
「好きなら好きでいいじゃない。」
続けて彼女がそんな事を言ったのを覚えています。
『?』、私生活は勿論学校の事もですが、彼女と2人だけでしんみりと話す機会が全然無かった私です。彼女の言葉が何を差しているのか皆目見当がつきませんでした。怪訝でした。そして、考えている内に私の脳裏には休んでいる友人の1人、私と同じ下宿、同じサークルの友人の顔が浮かびました。彼女は彼女から何か聞いているのだろうかと思いつきました。
『?』、それでもやはり合点は行きませんでした。好き?誰を?私が?という具合です。彼女の言葉に思い当たる人や出来事が私にはありませんでした。そこで休んでいる友人と私の間の出来事、これまでの彼女との遣り取りを思い出してみました。