ホテルの前(実は裏)の道に出ると、歩けば直ぐに大通りに出ました。
今から考えてみると、ホテル自体が大通りと裏口の通りの角に位置していたのかもしれません。
私達は大通りに出ると右折しました。この方向は海と平行になる方向のようです。
バスが来たのと同じ向きに進むようです。つまり戻って行く方向とは逆です。
私はここでも方向が違うんじゃないかなと思います。
地図は絵地図です。目立つ建物や目印のような物が絵で描き入れてありましたから、
私はきょろきょろと目に付きそうな建物か何かないかと探してみます。
探す私の目に変わった形と、多分色合いも目に付く物だったと思いますが、注意を引くような丁度よい建物が見えました。
これだ!と私は思いました。
「ねえ、ほら、あそこに変わった建物がある。何かしら、地図に出てない?」
と、尋ねます。
私の問いかけに、向こうは一応地図を見て調べていたようですが、特に出ていないなと答えます。
変ね、あれだけ大きな建物だし形も変わっているし、色だって目立つのに出てないの?と、
私は不思議に思いながら、ホテルから近い場所よ、裏口から出たから、ホテルの正面から言うと右方向よ。
等とも言ってみます。
それで向こうも一応もう1度地図は見てくれたようでした。
やっぱりないな、そんな建物という返事でした。
これ以上は私も如何言い様も無いなと、向こうが歩き出したのでやや不承不承な感じでついて行きます。
向こうは地図を見ながら歩いていくので、私はついて行くだけの手持無沙汰でした。
それで景色や街並み風景を眺めながらきょろきょろと歩いて行きました。
と、ジャボジャボと水音がすると思ったら、行手右側に濃い色の、多分茶色系だったと思いますが、
確りした感じのビルがあり、その壁面を水が流れ落ちています。
しかも、見上げてみると、ビルの屋上付近から水が流れ出し、それが壁面全体を滝のように流れ落ち、
地上まで続いています。下は溝になりますが、うまく排水できているようです。
大きな水たまりも無く何処かへ流れ込んでいくようです。もしかすると循環形式なのかもしれません。
私はこんな風に水の流れるビルを見るのは全く初めての事でした。
へぇー、こんなビルがあるのだと感心しました。
「ねえねえ、水が流れているビルがある。こんなビル初めて、珍しいね。」
と、先を歩いていた向こうに声をかけます。
ね、珍しいでしょう。と言うと、やや呆れたような眼で珍しくないとの返事でした。
こんなビル珍しくないぞ。との事でした。
東京にも在住したことがあるという事で、当時都心にはこういうビルがあったようです。
そうかなぁ、私は初めてだからとても珍しくて、
こんな風に建物に水を取り入れて設計する人がいるなんてびっくり、面白いね。
そう言いながら立ち止まると、しげしげとビルの上下を観察してみました。面白くて見飽きません。
「これなら地図に出ているんじゃない?」
私には進んでいく方向がどうにも方向違いのような気がして仕様が無いのです。
此処でもう一度注意を促して地図を見てもらいます。
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