シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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”政治マター” 化してきた半導体不足問題

2021年06月30日 | 電子産業は花形?
半導体戦略推進議員連盟の設立総会に出席する 自民党の甘利明税調会長、安倍晋三前首相、麻生太郎副総理兼財務相=21日午後、東京・永田町の自民党本部 (※1)
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連日 半導体不足が記事として取り上げられ、とうとう政治家がこの問題に足を突っ込むようになってきました __
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『自民、半導体産業再興へ議連 最高顧問に安倍、麻生氏』(時事通信 5月21日 ※1)
『半導体供給網へ税・予算 自民が議連、4分野中心に 米の中国対抗策に協力』(日経 5月22日 ※2)
『半導体は “国家の命運かける争い” 世界的な “取り合い合戦” の中で日本に必要な戦略は』(5月25日 ABENA TIMES ※3)
『半導体安定確保へ協力 石炭火力、厳しい世論反映 G7 サミット』(時事通信 6月15日 ※4)
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従来 足を突っ込むのは官僚でした。 日本が世界の半導体シェアの5割を超えていた1988年当時、米国の政治的圧力で日本企業が購入する2割以上を外国製半導体とするべく、通産省が中心となり 各ユーザー企業に圧力を掛けました。

また次世代半導体開発という名の下に 1990~2000年代 通産省が各半導体メーカーから技術者をかき集め、いくつかの国家プロジェクト、コンソーシアムを作り上げましたが、ことごとく失敗、2019年の日本の半導体シェアは1割にまで落ちてしまいました。
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日本の半導体メーカーというのは、欧米にある半導体メーカーとは違い、”独立企業” ではありません。 総合電機メーカーの一部門に過ぎないのです。 その半導体部門の売り先は、主にグループ企業です (半導体メーカーのトップは社長というより “部門長” です)。

ですから グループ企業が好調に家電や電子機器を製造販売している間は、半導体部門もその恩恵に預かる事ができました。 ところが、テレビなどの家電製品が (中国が参入した) 1990年頃から 毎年値下がりを続けたものですから、日本メーカーの家電製品が売れなくなってしまい 半導体部門も売り先が細ってしまいました。

__ 今じゃ 中国製の "50インチ液晶 TV が店頭で 5万円を切って" 散見されてるのが現状ですから、高人件費で作る日本製 TV が太刀打ちできる訳がありません。

また DRAM 製造においても最盛期は5割以上のシェアがあった日本の半導体メーカーは、外国メーカーの値下げに段々と付いていけなくなりました。 製造コストが下がらない理由が幾つかある中で 最大の理由は、 DRAM 顧客の主体が大型電算機から PC に移っていたのに、日本の半導体メーカーは大型電算機向けの高品質高コスト品ばかりを作り続け、外国メーカーは PC 向けの低品質低コスト品を作ったからです。
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そして 今 台湾のファウンドリー企業の TSMC が注目されていますが、受託製造に特化した企業で、自前の TSMC ブランド製品はありません。 アップルの CPU だったり、日本のルネサスやソニーの IC だったりしますから事情に疎い人は全く解りません。

その TSMC  が世界の受託製造分野で5割以上ものシェアの巨大企業になった事と、米中貿易摩擦によって TSMC の “製造拠点” が主に台湾である事にも注目が集まっています。

台湾を中国の一部だと主張する中国が、台湾に侵攻する可能性が高まっているという発言が米軍人から出てきました __『 “中国は6年以内に台湾侵攻の可能性” 米軍司令官証言の現実味』(GLOBE+ 3月27日)

__ これは現実的な問題というよりは、危機感を煽って存在感を高めようとする軍人の特性でしょうが、侵攻の可能性が全くないかというと、ゼロでもないといえるでしょう。
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ですから、世界最先端の製造能力を持つ TSMC の製造拠点を米国にも作れという米国の要求なのです。 韓国サムスン電子はすでに 米国に製造拠点の一部を持っています (何やら 江戸時代の諸大名が妻子を地元ではなく、江戸に置いておいたのを連想します)。



2015年に発表した 中国の習近平 (シー・ジンピン) 指導部が掲げる産業政策「中国製造2025」__ 日経 2018年12月7日記事から。
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__ という具合に 半導体は “戦略物資” 化しています。 これの過半を中国に握られたら、(キンXXを握られたようなもので) 米国は中国の政策に いちいち アタフタせざるを得ないでしょう。

これまで 総合電機メーカーの一部門に過ぎなかった日本の半導体メーカーが脱皮して、欧米半導体メーカーのように存在感を発揮できるかどうかは、まず 経営者に適切な人材を獲得できるかどうかにかかっています。

あとは紐付きでない “兆円単位の資金” です。 紐付きだと どうしても出資元の意向調整などにエネルギーを取られ、迅速な判断ができません。 日本人技術者は山ほどいますが、活躍の場がないから 海外に行って稼がざるをえませんでした。 最後に売り先です。

ですが、これまでの経緯を知る人からは懸念の声も出ています __
『何を今さらのお粗末さ、日本の半導体政策が大コケ必至の理由 自民党の半導体議連は荒唐無稽である』(JB Press 6月8日 ※5)

『日本の “半導体産業” は復活しない … 台湾の最先端企業を誘致してもムダなワケ 技術ではない、経営が問題なのだ』(現代ビジネス 6月13日 ※6)

今日はここまでです。

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