
写真左は、シアトルに4年ぶりに帰国したアマンダ・ノックスの記者会見。 右は法廷で無罪判決をいい渡された直後のノックス被告。
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記事を読んだだけで 第三者の私が有罪無罪を論じる資格はないのですが、次のことはいえます__ DNA 鑑定は証拠として、まだ絶対的なものではなく、それだけを根拠に有罪無罪を決定すべきではないということです。
日本でも 1990年に起きた足利事件で DNA 鑑定が証拠として取り上げられましたが、再審での DNA 再鑑定の結果、服役していた被告の無罪判決が確定し、釈放された (2010年) のも ついこの前のことです。
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「"女狐のアマンダ"、一転ヒロインに ルームメート殺人事件」(10月6日 産経新聞/ニューヨーク) _ ※追加1へ
「イタリアの英留学生殺人事件、米国人女性に逆転無罪判決」(10月4日 CNN /ペルージャ) _ ※追加2へ
「イタリアの英留学生殺人事件、米国人女性に逆転無罪判決」(10月4日 ロイター /ペルージャ) _ ※追加3へ
「英国人女子大生殺人 DNA 鑑定却下で美人ルームメートに逆転無罪の可能性」(9月17日 産経新聞) _ ※追加4へ
「英女子大生ルームメート刺殺 逆転無罪判決の可能性も」(10年12月30日 産経新聞) _ ※追加5へ
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その他についてコメントすべきことは、1) アマンダ被告は取り調べ段階で供述が色々と変わったが、その原因は大麻を吸っていたことで "当時の記憶がぼやけている" ということだったらしいのです。 つまり、自分が潔白であるとの明白な表明ができず、薬物を吸引していたことが自分自身を不利な状況にしてしまったのです。
幻覚や快楽目的の薬物を体内に取り込むのは危険で、重大な結果を招くかもしれず、この点は若いアマンダは軽卒だったわけですね。
2) 一審判決で有罪がいい渡され、その根拠が問題視された DNA 鑑定以外には、状況証拠だけというもので、かなり危うい根拠だったのです。 つまり「状況的に犯人の可能性が疑わしく、DNA 鑑定も一応ある」というのが検察側の論拠で、絶対確実な証拠ではなかったのです。
世論に後押しされ 状況に流されたのが一審判決だったのかも知れず、「疑わしきは罰せず」という法の精神から見れば、グレーを黒としてしまったと推測します。
3) 殺害された犠牲者の遺族にとっては、すっきりしない控訴審の判決だったのかもしれませんが、これは判決を受け入れて (検察側が上告しなければ) 納得すべきものでしょう。
……………………………………………………
最後に、シアトル空港での本人の記者会見のビデオ映像を見ると、控訴審での判決を指示したくなりますね。 本人も薬物はもうコリゴリでしょう。 こんな経験してやっと目覚めた? ("女狐のアマンダ" は Foxy Knoxy の訳か? ... ブログ投稿者)
以上
※追加1_ イタリア中部ペルージャで、2007年 英国人留学生でルームメートだった女性=当時 (21) =を殺害したとして一審で禁錮 26年を宣告されたものの、3日に逆転無罪をいい渡された米国人の元留学生アマンダ・ノックスさん (24) が4日、故郷の米シアトルに4年ぶりに帰国した。 欧州の大衆紙から「女狐のアマンダ」などと呼ばれ、激しく非難されていたノックスさんは母国で一転、「ヒロイン」として脚光を浴びている。
控訴審では、凶器とされたナイフから採取された DNA がノックスさんと、共犯とされた元交際相手の男性のものと一致したとする警察の鑑定結果の信頼性を弁護側が覆したことが決め手となり、劇的な逆転無罪となった。
ノックスさんは、英国人女性に乱交に加わるよう誘ったが拒否されたことに激怒し女性ののどを掻ききって殺害したなどとして起訴された。 犯行の残忍さに加え、ノックスさんの親類が裁判費用を工面するため、不動産を抵当に入れたり、多くの支持団体ができたりしたことなどから裁判は欧米で高い関心が寄せられていた。
こんなノックスさんの帰国を米メディアが見逃すはずはなく、大衆紙ニューヨーク・ポストはシアトルの空港に到着したアマンダさんの搭乗機の写真を到着時刻などとともに詳しく報道。 米紙ワシントン・ポストも、空港でアマンダさんが涙声で記者会見する様子を動画で紹介した。
今回の事件を早くもビジネスにしようという動きもある。 アマンダさんの関係者は「彼女はイタリアの腐敗した司法制度の犠牲者だ。 最初のインタビュー料は 500万ドル (約 3億8500万円) ぐらい。 本や映画を作れば、彼女は数千万ドルほどもらえるかもしれない」などと話している。
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※追加2_ 3日 イタリアの陪審団は、2007年に大学都市ペルージャで起きた英留学生殺人事件で、ルームメイトを殺害した罪などに問われていた米国人のアマンダ・ノックス被告に対し、逆転無罪の評決をいい渡した。
この事件では07年に英国人留学生のメレディス・ケルヒャーさん (当時21) が自宅で性的暴行を受けて殺害されているのが見つかり、検察はルームメイトだったノックス被告 (当時20) と同被告の交際相手ラファエル・ソレシト被告 (当時23) を殺人や性的暴行などの罪で起訴。 09年12月の一審判決で両被告に有罪がいい渡された。 2人とは別に、ルディ・グエデ被告も殺人に関与した罪で有罪評決を受け、16年の実刑をいい渡されている。
裁判ではノックス、ソレシトの両被告とも無罪を主張。 一審ではナイフと被害者の下着に付着していた血痕から採取した DNA が決め手となって有罪が言い渡されたが、控訴審で両被告の弁護団は、この DNA 鑑定に疑問があると指摘していた。
ノックス被告無罪の評決が読み上げられると法廷は大きなどよめきに包まれ、裁判官が静粛を促した。 同被告は興奮した様子で両脇を支えられて退廷した。 ソレシト被告にも無罪がいい渡された。
一方、ノックス被告が当初クラブ経営者の男性を犯人と名指ししたことに対する名誉棄損罪については一審通り有罪となり、ノックス被告は禁錮3年をいい渡された。 しかしこの刑期はこれまでの拘置期間と相殺された。
ノックス被告は大勢の支援者や報道陣に囲まれ、黒いワゴン車で拘置所を後にした。 両親と面会後、4日にイタリアを出国して自宅のある米シアトルに向かう予定だという。
ノックス被告の妹のディアンナさんは裁判所前で「アマンダの悪夢が終わったことに感謝する。 犯していない罪のために4年間苦しんだ」とコメントし、集まった支援者らの歓声を浴びた。 一方、ケルヒャーさんの遺族は動揺した様子を見せ、集まった人の中からは評決に対する不満の声も聞かれた。
米国務省のヌーランド報道官はこの日の評決を受け、「イタリアの司法制度においてこの事件が慎重に検討されたことを評価する」とコメントした。
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※追加3_ 2007年にイタリアのペルージャで起きた英国人留学生殺害事件の控訴審で、当地の裁判所は3日 殺人罪に問われた元ルームメート アマンダ・ノックス被告 (24) とその元交際相手 ラファエル・ソレシト被告 (27) に無罪をいい渡した。
米シアトル出身のノックス被告とイタリア人学生のソレシト被告は2009年の1審で、メレディス・ケルヒャーさん (当時21) を殺害したとして有罪判決を受け、控訴していた。
判決が読み上げられた際、法廷内では無罪を喜ぶ大きな声が聞こえたが、ノックス被告自身は、警官らに支えながら涙を流した。 弁護団の1人 マリア・デルグロッソ氏は、「見ての通り、疲れ果てている。 彼女は涙があふれ、『ありがとう』以外は何もいうことができない」と話した。
<DNA 鑑定>
ケルヒャーさんは2007年11月、ノックス被告とルームシェアをしていたペルージャのアパートで半裸の状態で発見された。 ケルヒャーさんの体には多数の傷跡が確認され、のどを深く切られていた。
この事件では、コートジボワール人の麻薬密売人 ルディ・グエデ被告が殺害に関与したとして、禁錮 16年の判決を受けている。 当局の捜査では、ケルヒャーさんが縛りつけられた状態で刺殺されたとされ、証拠からグエデ被告の単独犯行ではないとみられていた。
捜査当局は凶器について、ノックス被告とケルヒャーさんの DNA が付着していたナイフと断定。 しかし 再度鑑定を行った機関が当局の鑑定は証拠能力に欠けるとの報告をまとめ、ケルヒャーさんの下着の一部に付着していたソレシト被告の DNA についても、汚染された可能性があると指摘した。
検察側は、薬物がらみの性的暴行事件が殺人事件に発展したと説明。 弁護側は、はっきりとした動機も証拠もないまま、被告らが検察によって不当に事件の犯人にさせられたと主張していた。 逆転無罪判決を受け、ノックス被告は4日にも米国に帰国する見通しだという。
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※追加4_ 法廷で、惨殺者の罪を負わされた「天使の容貌」の表情が思わず緩んた。 それは、長期の拘置所暮らしに終止符を打つことが間近に迫っていることを実感する安堵の笑みでもあった。
2007年 イタリアで発生した英国人女子大生殺人事件で、殺人罪に問われた元ルームメートの米国人女子大生、アマンダ・ノックス被告と、その元交際相手でイタリア人のラファエル・ソレシト被告 (26) の控訴審が9月上旬に開かれ、裁判長は検察側が要求した再 DNA 鑑定を退けた。「乱交ゲームの末の犯行」として、第一審で両被告の有罪の決め手となった 唯一ともいえる重要証拠の信用性を覆す判断といえ、両被告の逆転無罪の可能性がいよいよ現実味を帯びてきた。
ドラッグ、セックス、殺人、そしてうら若き女性…。 映画やドラマを地でゆくようなミステリアスな事件は、発生直後から現場のイタリア、被害者の地元 英国、ノックス被告の出身国 米国の社会で大きな注目を浴びた。 ゴシップ紙は格好のネタに食らいつき、関係者が記した暴露本が相次いで出版され、有名女優が「天使の容貌」とあだ名がついたノックス被告を演じるドキュメンタリー映画も制作された。
欧米の狂想曲は今も続いており、早くも逆転無罪判決後の事態を想定して、100万ドル のオファーでノックス被告の独占インタビューを放送しようとする米国メディアの獲得合戦もうわさされている。
複雑な経緯をたどった事件を改めて振り返りたい。 07年夏 ロンドン郊外に住む大学生、メレディス・ケルヒャーさんが留学でペルージャにやってきた。 同じ大学で出会った米シアトル出身のノックス被告と意気投合し、共同で部屋を借り一緒に住み始めた。
ところがまもなく、悲劇が訪れる。 11月 警察官が自宅近くの庭で拾われた携帯電話を届けようと、ケルヒャーさんの部屋を訪れたとき、変わり果てた無残な姿を発見したのだ。 ケルヒャーさんは半裸姿のまま、のどをかっ切られて息絶えていた。 司法解剖の結果、性的暴行も受けていたことも判明。 現場近くには薬物取引で悪名高い駐車場があり、地元警察は当初、薬物中毒者がケルヒャーさんを襲ったとふんだ。
しばらくして事件は急展開を迎え、大騒動となった。 現場検証にも立ち会ったノックス被告とソレシト被告が逮捕されたのである。 ケルヒャーさんの下着の一部にソレシト被告の DNA が付着していたことが、警察側の鑑定で判明。 さらに、ソレシト被告の自宅から発見されたナイフに、ノックス被告とケルヒャーさんの DNA が付着していたとする鑑定結果も出て、この2つの証拠を逮捕の大きな決め手とした。
ノックス被告のあいまいな供述も疑惑を深めた。 事件当時のアリバイはその都度、内容が変わり、ノックス被告が「殺人者」と名指しした嘘の供述により、一時 無実の男性が拘束されてしまった。 結局、両被告は別の場所で一緒に大麻を吸っていたことを認め、弁護側は「大麻で当時のことは記憶がぼやけている」という弁護方針を立てた。
また 現場の状況から第三者の殺人犯がいたことがわかっており、ノックス被告の顔見知りのコートジボワール人、ルディ・グエデ被告が逮捕された。 現場にケルヒャーさんの血液がついた指紋が採取され、グエデ被告は、懲役 16年の実刑判決を受けた。 グエデ被告が、ノックス被告ら2人に「はめられた」と供述したこともノックス被告らの犯行説を後押しした。
09年12月 2年間に及んだ審理の末、イタリア・ペルージャ地裁の陪審団はノックス被告に禁固 26年、ソレシト被告に同 25年の有罪判決をいい渡した。
しかし、第一審判決は謎を深めただけだった。 検察側は3人のうち実行犯を特定できず、手持ちの資料が状況証拠でしかないことを認めた。 科学捜査の専門家は検察側があげた数々の証拠を論破。 洪水のようにメディアに流れたノックス被告への中傷報道が、陪審団の判断に大きな影響を与えたとも指摘された。
昨年11月から控訴審が開始。 裁判長は、ローマの独立科学捜査機関で再 DNA 鑑定をするよう命じた。 その結果 独立機関は、検察側の鑑定は証拠能力として著しく信頼性を欠いていることを報告。 第一審で採用された証拠の大半は国際基準に達しておらず、現場に残された組織片は汚染され劣化していたり、DNA 鑑定の量があまりにも少ないなどが理由とされた。
検察側がこれに反論し、新たな技術を用いて再鑑定を行いたいと裁判長に申し入れたが、9月上旬の公判で、却下された。 AP 通信はこの決定について「検察側への打撃」とし、明らかな動機や決定的な目撃証言がない中で、「殺人罪の有罪判決を覆すことを目指すノックス被告にとって、前向きな動きだ」と指摘した。
米 ABC 放送に対しインタビューに応じた事件の担当検察官は、逆転無罪の可能性について言及し、「私は彼らの有罪を十分に確信しているけれども、今日の (再鑑定却下) 決定は、彼らが釈放されるという可能性がさらに増したということを人々に印象づける恐れがある」と話した。
異国の地での拘置所暮らしから解放される兆しが見えたことに、ノックス被告は安堵感を抱いた。 地元紙のインタビューで、「とうとう私のことを信じてくれた。 11月末の感謝祭の日まで、実家に帰れることを期待している。 第一審の間は、証言台に立つのが怖かった。 あの夜に起こったこととはまったく関係ないと私が説明しようと、証言したり泣いたりしたときも、敵対的な雰囲気だった。それが今はまったく変わった」と答えた。
もし ノックス被告の嫌疑が晴れ、釈放されたのならイタリアの法律では 50万ユーロ の補償金が支払われるという。 控訴審は今月末にも、結審すると地元メディアは報じている。 事件の真相を取材してきたジャーナリスト、カンダンス・デンプシー氏はノックス被告のシアトルの地元紙でこう指摘している。
「イタリアの法律は、もし十分な証拠がなければ裁判所に無罪判決をいい渡すことを定めている。 証拠の基準は、合理的な疑いの範囲を超えている。 イタリア人は科学に信を置くべきだと指摘したい。 別の観点から強硬に主張を続けることは無礼なことだ」
DNA 鑑定の信頼性をめぐる今回の裁判の行方は、各国の科学捜査のあり方にも大きな影響を与えそうだ。
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※追加5_ 2007年11月 イタリアの古都・ペルージャ。 21歳の英国人女子大生が半裸のまま、血の海と化した自宅で死んでいた。 性的暴行を受け、刃物でのどをかっ切られていた。 のちに、イタリア検察は「乱交ゲームの末の犯行」として英国人のルームメートだった米国人女子大生1人とイタリア人、コートジボワール人の男性2人を起訴する。 しかし、女子大生に無罪判決が下される可能性が出てきた。
事件は、「天使の容貌」ともいわれた米女性の名をとって「アマンダ・ノックス」事件、または語呂合わせで「Foxy (セクシー … ※本来の意味 "ずるい" を意訳? … ブログ投稿者) Knoxy」事件とも呼ばれた。 昨年の第一審判決は3人とも有罪。 しかし、今年11月から始まった控訴審では一転した様相を呈してきた。 12月の公判で、裁判官が検察側の有力な物証として提出していた DNA の再鑑定を命じたのだ。 無罪を信じるノックス被告 (23) の家族や支援者は逆転勝訴の期待を抱きつつ、次回開廷の2011年1月15日を迎える。
ドラッグ、セックス、殺人、そして清楚なうら若き女性 …。 ハリウッド映画を地でゆくようなミステリアスな事件は発生直後から、メディアの注目をあび、欧米中を席巻。 格好のネタに食らいつくゴシップ紙記者やいいたい放題のブロガーまで巻き込み、狂騒曲が続いた。 09年12月の一審判決後、米国では、ノックス被告を後ろ支えしてきた上院議員がイタリア検察の捜査態勢を批判。 一方で、イタリア側も反発し、双方で中傷合戦が行われる事態にまで発展した。
この反響をもとに実際に、米人気テレビシリーズ「ヒーローズ」にクレア役で出演した女優、へイデン・パネッティーアさんがノックス被告を演じる映画の制作も決まった。 すでに、撮影が始まっており、注目を集めている。 パネッティーアさんは役作りのため、拘置所のノックス被告に面会を申し入れたが、当局から断られたという。 また、ノックス被告の弁護団は、「映画の内容が予断を与える」として、否定的な見解を示している。
事件を振り返りたい。 ロンドン郊外に住む大学生 メレディス・ケルヒャーさんがペルージャにやってきたのは07年夏。 同時期に米シアトルからやってきたノックス被告とともに共同で部屋を借り、留学生活を始めた。 ケルヒャーさんは周囲に「ルームメートの生活も順調」とも打ち明けていた。
しかし 幸多き人生は突然、暗転する。 警察官が、自宅近くの庭で拾われた携帯電話を届けようとケルヒャーさんの部屋を訪れたとき、変わり果てた無残な姿を発見したのだった。
部屋にはカギがかけられていたが、窓が壊れていた。 現場近くには薬物取引で悪名高い駐車場があった。 地元警察はまもなく、ノックス被告とイタリア人の交際相手で医者の息子、ラファエル・ソレシト被告=現在、25歳=を殺人犯として逮捕した。
現場に動かぬ証拠があった。 ノックス被告の血痕がバスルームにあったことや、ケルヒャーさんの下着の一部にソレシト被告の DNA が残されていた。 さらに、ノックス被告とケルヒャーさんの DNA がついたナイフがソレシト被告の自宅から発見された。
もう1人の「殺人犯」のコートジボワール人、ルディ・グエデ被告=現在 22歳=はノックス被告の顔見知り。 現場に血痕のついた指紋が残されていたことが逮捕の決定打となった。検察側は、ドラッグ吸引の末の「セックスゲーム」で3人がケルヒャーさんを殺害したと主張した。
裁判は、グエデ被告の公判だけが先行して進んだ。 第一審は有罪判決。「ノックス被告ら2人にはめられた」と反論し控訴したが、今月17日に懲役 16年の控訴審判決を受けた。殺人事件では、現場に残された血痕指紋は最も証拠能力が高いとされており、このまま有罪が確定する可能性が高い。
一方 ノックス被告らの裁判は複雑な展開を見せた。 2年間に及んだ審理の末、ペルージャ地裁の陪審員はノックス被告に懲役 26年、ソレシト被告に懲役 25年をいい渡した。 しかし 有罪判決は事件の謎を深めただけだった。 検察側が最後の仕上げとして作成した 23分間の犯行再現ビデオには、ノックス被告やソレシト被告が現場にいたことが示されていない。 決定的な殺害の証拠はなく、検察側も手持ちの資料が、状況証拠でしかないことを認めていた。
弁護側は現場にあった DNA の証拠が小さなもので、劣化している事実も突き止めていた。 一連の経緯をノンフィクション作品にして告発した科学捜査の専門家は検察側があげた数々の証拠を論破。 洪水のようにメディアに流れたノックス被告への中傷報道が、陪審団の判断に大きく影響したともいわれた。
そうして、迎えたのが今年11月から開始された控訴審だった。 久々にメディアの前に現れたノックス被告は、家族や支持者に笑顔を1つも見せなかった。 やつれたようにも見えた。 すでに3年以上にもなる拘置生活が彼女を疲弊させたのかもしれない。
この控訴はノックス被告にとって、大きな賭けでもあった。 もし再び敗訴すれば今度は終身刑がいい渡される可能性もあり、ノックス被告には重圧がのしかかっていた。 支持者や報道陣でいっぱいになった法廷で、ノックス被告は得意のイタリア語で最終陳述書を読み上げた。
「私の人生はこの拘置生活で打ち砕かれた。 私は検察側が烙印を押したような危険な悪魔ではありません。 不当な有罪判決なんです」 今は亡き友の家族に対しても、深い悲しみを伝えた。 涙声だった。 しかし、最後には、自らの潔白が認められない状況を訴え、「私はメレディスさんを殺していない」と述べた。
そして、12月17日の公判。 裁判官は、「合理的な疑いがある」として、検察側があげた DNA や指紋などの証拠を、ローマの大学にある独立科学捜査機関で再鑑定するよう命じた。 裁判官は「もし DNA の個人識別を照合することが不可能なら、われわれは (検察が行った) 鑑定の信頼性を検証することになる」とも語った。
「娘は呆然としていた」 傍聴席にいたノックス被告の母親、エダさんは法廷の様子を語った。「再鑑定に大きなショックを受けたようでしたが、これで希望が出てきた」
弁護団や家族は、これまでもいちるの望みを抱いてきたが、流れを大きく変えた物証の再鑑定を評価している。 次回期日の1月15日の公判では、第一審で否定されたノックス被告らの事件当日のアリバイを証明する目撃者の証言、さらには指紋照合の記録などについても再検証されるようだ。
風雲急を告げたアマンダ・ノックス事件は、逆転無罪判決の可能性を呈しながら、発生から4年目となる2011年を迎える。
以上
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記事を読んだだけで 第三者の私が有罪無罪を論じる資格はないのですが、次のことはいえます__ DNA 鑑定は証拠として、まだ絶対的なものではなく、それだけを根拠に有罪無罪を決定すべきではないということです。
日本でも 1990年に起きた足利事件で DNA 鑑定が証拠として取り上げられましたが、再審での DNA 再鑑定の結果、服役していた被告の無罪判決が確定し、釈放された (2010年) のも ついこの前のことです。
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「"女狐のアマンダ"、一転ヒロインに ルームメート殺人事件」(10月6日 産経新聞/ニューヨーク) _ ※追加1へ
「イタリアの英留学生殺人事件、米国人女性に逆転無罪判決」(10月4日 CNN /ペルージャ) _ ※追加2へ
「イタリアの英留学生殺人事件、米国人女性に逆転無罪判決」(10月4日 ロイター /ペルージャ) _ ※追加3へ
「英国人女子大生殺人 DNA 鑑定却下で美人ルームメートに逆転無罪の可能性」(9月17日 産経新聞) _ ※追加4へ
「英女子大生ルームメート刺殺 逆転無罪判決の可能性も」(10年12月30日 産経新聞) _ ※追加5へ
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その他についてコメントすべきことは、1) アマンダ被告は取り調べ段階で供述が色々と変わったが、その原因は大麻を吸っていたことで "当時の記憶がぼやけている" ということだったらしいのです。 つまり、自分が潔白であるとの明白な表明ができず、薬物を吸引していたことが自分自身を不利な状況にしてしまったのです。
幻覚や快楽目的の薬物を体内に取り込むのは危険で、重大な結果を招くかもしれず、この点は若いアマンダは軽卒だったわけですね。
2) 一審判決で有罪がいい渡され、その根拠が問題視された DNA 鑑定以外には、状況証拠だけというもので、かなり危うい根拠だったのです。 つまり「状況的に犯人の可能性が疑わしく、DNA 鑑定も一応ある」というのが検察側の論拠で、絶対確実な証拠ではなかったのです。
世論に後押しされ 状況に流されたのが一審判決だったのかも知れず、「疑わしきは罰せず」という法の精神から見れば、グレーを黒としてしまったと推測します。
3) 殺害された犠牲者の遺族にとっては、すっきりしない控訴審の判決だったのかもしれませんが、これは判決を受け入れて (検察側が上告しなければ) 納得すべきものでしょう。
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最後に、シアトル空港での本人の記者会見のビデオ映像を見ると、控訴審での判決を指示したくなりますね。 本人も薬物はもうコリゴリでしょう。 こんな経験してやっと目覚めた? ("女狐のアマンダ" は Foxy Knoxy の訳か? ... ブログ投稿者)
以上
※追加1_ イタリア中部ペルージャで、2007年 英国人留学生でルームメートだった女性=当時 (21) =を殺害したとして一審で禁錮 26年を宣告されたものの、3日に逆転無罪をいい渡された米国人の元留学生アマンダ・ノックスさん (24) が4日、故郷の米シアトルに4年ぶりに帰国した。 欧州の大衆紙から「女狐のアマンダ」などと呼ばれ、激しく非難されていたノックスさんは母国で一転、「ヒロイン」として脚光を浴びている。
控訴審では、凶器とされたナイフから採取された DNA がノックスさんと、共犯とされた元交際相手の男性のものと一致したとする警察の鑑定結果の信頼性を弁護側が覆したことが決め手となり、劇的な逆転無罪となった。
ノックスさんは、英国人女性に乱交に加わるよう誘ったが拒否されたことに激怒し女性ののどを掻ききって殺害したなどとして起訴された。 犯行の残忍さに加え、ノックスさんの親類が裁判費用を工面するため、不動産を抵当に入れたり、多くの支持団体ができたりしたことなどから裁判は欧米で高い関心が寄せられていた。
こんなノックスさんの帰国を米メディアが見逃すはずはなく、大衆紙ニューヨーク・ポストはシアトルの空港に到着したアマンダさんの搭乗機の写真を到着時刻などとともに詳しく報道。 米紙ワシントン・ポストも、空港でアマンダさんが涙声で記者会見する様子を動画で紹介した。
今回の事件を早くもビジネスにしようという動きもある。 アマンダさんの関係者は「彼女はイタリアの腐敗した司法制度の犠牲者だ。 最初のインタビュー料は 500万ドル (約 3億8500万円) ぐらい。 本や映画を作れば、彼女は数千万ドルほどもらえるかもしれない」などと話している。
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※追加2_ 3日 イタリアの陪審団は、2007年に大学都市ペルージャで起きた英留学生殺人事件で、ルームメイトを殺害した罪などに問われていた米国人のアマンダ・ノックス被告に対し、逆転無罪の評決をいい渡した。
この事件では07年に英国人留学生のメレディス・ケルヒャーさん (当時21) が自宅で性的暴行を受けて殺害されているのが見つかり、検察はルームメイトだったノックス被告 (当時20) と同被告の交際相手ラファエル・ソレシト被告 (当時23) を殺人や性的暴行などの罪で起訴。 09年12月の一審判決で両被告に有罪がいい渡された。 2人とは別に、ルディ・グエデ被告も殺人に関与した罪で有罪評決を受け、16年の実刑をいい渡されている。
裁判ではノックス、ソレシトの両被告とも無罪を主張。 一審ではナイフと被害者の下着に付着していた血痕から採取した DNA が決め手となって有罪が言い渡されたが、控訴審で両被告の弁護団は、この DNA 鑑定に疑問があると指摘していた。
ノックス被告無罪の評決が読み上げられると法廷は大きなどよめきに包まれ、裁判官が静粛を促した。 同被告は興奮した様子で両脇を支えられて退廷した。 ソレシト被告にも無罪がいい渡された。
一方、ノックス被告が当初クラブ経営者の男性を犯人と名指ししたことに対する名誉棄損罪については一審通り有罪となり、ノックス被告は禁錮3年をいい渡された。 しかしこの刑期はこれまでの拘置期間と相殺された。
ノックス被告は大勢の支援者や報道陣に囲まれ、黒いワゴン車で拘置所を後にした。 両親と面会後、4日にイタリアを出国して自宅のある米シアトルに向かう予定だという。
ノックス被告の妹のディアンナさんは裁判所前で「アマンダの悪夢が終わったことに感謝する。 犯していない罪のために4年間苦しんだ」とコメントし、集まった支援者らの歓声を浴びた。 一方、ケルヒャーさんの遺族は動揺した様子を見せ、集まった人の中からは評決に対する不満の声も聞かれた。
米国務省のヌーランド報道官はこの日の評決を受け、「イタリアの司法制度においてこの事件が慎重に検討されたことを評価する」とコメントした。
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※追加3_ 2007年にイタリアのペルージャで起きた英国人留学生殺害事件の控訴審で、当地の裁判所は3日 殺人罪に問われた元ルームメート アマンダ・ノックス被告 (24) とその元交際相手 ラファエル・ソレシト被告 (27) に無罪をいい渡した。
米シアトル出身のノックス被告とイタリア人学生のソレシト被告は2009年の1審で、メレディス・ケルヒャーさん (当時21) を殺害したとして有罪判決を受け、控訴していた。
判決が読み上げられた際、法廷内では無罪を喜ぶ大きな声が聞こえたが、ノックス被告自身は、警官らに支えながら涙を流した。 弁護団の1人 マリア・デルグロッソ氏は、「見ての通り、疲れ果てている。 彼女は涙があふれ、『ありがとう』以外は何もいうことができない」と話した。
<DNA 鑑定>
ケルヒャーさんは2007年11月、ノックス被告とルームシェアをしていたペルージャのアパートで半裸の状態で発見された。 ケルヒャーさんの体には多数の傷跡が確認され、のどを深く切られていた。
この事件では、コートジボワール人の麻薬密売人 ルディ・グエデ被告が殺害に関与したとして、禁錮 16年の判決を受けている。 当局の捜査では、ケルヒャーさんが縛りつけられた状態で刺殺されたとされ、証拠からグエデ被告の単独犯行ではないとみられていた。
捜査当局は凶器について、ノックス被告とケルヒャーさんの DNA が付着していたナイフと断定。 しかし 再度鑑定を行った機関が当局の鑑定は証拠能力に欠けるとの報告をまとめ、ケルヒャーさんの下着の一部に付着していたソレシト被告の DNA についても、汚染された可能性があると指摘した。
検察側は、薬物がらみの性的暴行事件が殺人事件に発展したと説明。 弁護側は、はっきりとした動機も証拠もないまま、被告らが検察によって不当に事件の犯人にさせられたと主張していた。 逆転無罪判決を受け、ノックス被告は4日にも米国に帰国する見通しだという。
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※追加4_ 法廷で、惨殺者の罪を負わされた「天使の容貌」の表情が思わず緩んた。 それは、長期の拘置所暮らしに終止符を打つことが間近に迫っていることを実感する安堵の笑みでもあった。
2007年 イタリアで発生した英国人女子大生殺人事件で、殺人罪に問われた元ルームメートの米国人女子大生、アマンダ・ノックス被告と、その元交際相手でイタリア人のラファエル・ソレシト被告 (26) の控訴審が9月上旬に開かれ、裁判長は検察側が要求した再 DNA 鑑定を退けた。「乱交ゲームの末の犯行」として、第一審で両被告の有罪の決め手となった 唯一ともいえる重要証拠の信用性を覆す判断といえ、両被告の逆転無罪の可能性がいよいよ現実味を帯びてきた。
ドラッグ、セックス、殺人、そしてうら若き女性…。 映画やドラマを地でゆくようなミステリアスな事件は、発生直後から現場のイタリア、被害者の地元 英国、ノックス被告の出身国 米国の社会で大きな注目を浴びた。 ゴシップ紙は格好のネタに食らいつき、関係者が記した暴露本が相次いで出版され、有名女優が「天使の容貌」とあだ名がついたノックス被告を演じるドキュメンタリー映画も制作された。
欧米の狂想曲は今も続いており、早くも逆転無罪判決後の事態を想定して、100万ドル のオファーでノックス被告の独占インタビューを放送しようとする米国メディアの獲得合戦もうわさされている。
複雑な経緯をたどった事件を改めて振り返りたい。 07年夏 ロンドン郊外に住む大学生、メレディス・ケルヒャーさんが留学でペルージャにやってきた。 同じ大学で出会った米シアトル出身のノックス被告と意気投合し、共同で部屋を借り一緒に住み始めた。
ところがまもなく、悲劇が訪れる。 11月 警察官が自宅近くの庭で拾われた携帯電話を届けようと、ケルヒャーさんの部屋を訪れたとき、変わり果てた無残な姿を発見したのだ。 ケルヒャーさんは半裸姿のまま、のどをかっ切られて息絶えていた。 司法解剖の結果、性的暴行も受けていたことも判明。 現場近くには薬物取引で悪名高い駐車場があり、地元警察は当初、薬物中毒者がケルヒャーさんを襲ったとふんだ。
しばらくして事件は急展開を迎え、大騒動となった。 現場検証にも立ち会ったノックス被告とソレシト被告が逮捕されたのである。 ケルヒャーさんの下着の一部にソレシト被告の DNA が付着していたことが、警察側の鑑定で判明。 さらに、ソレシト被告の自宅から発見されたナイフに、ノックス被告とケルヒャーさんの DNA が付着していたとする鑑定結果も出て、この2つの証拠を逮捕の大きな決め手とした。
ノックス被告のあいまいな供述も疑惑を深めた。 事件当時のアリバイはその都度、内容が変わり、ノックス被告が「殺人者」と名指しした嘘の供述により、一時 無実の男性が拘束されてしまった。 結局、両被告は別の場所で一緒に大麻を吸っていたことを認め、弁護側は「大麻で当時のことは記憶がぼやけている」という弁護方針を立てた。
また 現場の状況から第三者の殺人犯がいたことがわかっており、ノックス被告の顔見知りのコートジボワール人、ルディ・グエデ被告が逮捕された。 現場にケルヒャーさんの血液がついた指紋が採取され、グエデ被告は、懲役 16年の実刑判決を受けた。 グエデ被告が、ノックス被告ら2人に「はめられた」と供述したこともノックス被告らの犯行説を後押しした。
09年12月 2年間に及んだ審理の末、イタリア・ペルージャ地裁の陪審団はノックス被告に禁固 26年、ソレシト被告に同 25年の有罪判決をいい渡した。
しかし、第一審判決は謎を深めただけだった。 検察側は3人のうち実行犯を特定できず、手持ちの資料が状況証拠でしかないことを認めた。 科学捜査の専門家は検察側があげた数々の証拠を論破。 洪水のようにメディアに流れたノックス被告への中傷報道が、陪審団の判断に大きな影響を与えたとも指摘された。
昨年11月から控訴審が開始。 裁判長は、ローマの独立科学捜査機関で再 DNA 鑑定をするよう命じた。 その結果 独立機関は、検察側の鑑定は証拠能力として著しく信頼性を欠いていることを報告。 第一審で採用された証拠の大半は国際基準に達しておらず、現場に残された組織片は汚染され劣化していたり、DNA 鑑定の量があまりにも少ないなどが理由とされた。
検察側がこれに反論し、新たな技術を用いて再鑑定を行いたいと裁判長に申し入れたが、9月上旬の公判で、却下された。 AP 通信はこの決定について「検察側への打撃」とし、明らかな動機や決定的な目撃証言がない中で、「殺人罪の有罪判決を覆すことを目指すノックス被告にとって、前向きな動きだ」と指摘した。
米 ABC 放送に対しインタビューに応じた事件の担当検察官は、逆転無罪の可能性について言及し、「私は彼らの有罪を十分に確信しているけれども、今日の (再鑑定却下) 決定は、彼らが釈放されるという可能性がさらに増したということを人々に印象づける恐れがある」と話した。
異国の地での拘置所暮らしから解放される兆しが見えたことに、ノックス被告は安堵感を抱いた。 地元紙のインタビューで、「とうとう私のことを信じてくれた。 11月末の感謝祭の日まで、実家に帰れることを期待している。 第一審の間は、証言台に立つのが怖かった。 あの夜に起こったこととはまったく関係ないと私が説明しようと、証言したり泣いたりしたときも、敵対的な雰囲気だった。それが今はまったく変わった」と答えた。
もし ノックス被告の嫌疑が晴れ、釈放されたのならイタリアの法律では 50万ユーロ の補償金が支払われるという。 控訴審は今月末にも、結審すると地元メディアは報じている。 事件の真相を取材してきたジャーナリスト、カンダンス・デンプシー氏はノックス被告のシアトルの地元紙でこう指摘している。
「イタリアの法律は、もし十分な証拠がなければ裁判所に無罪判決をいい渡すことを定めている。 証拠の基準は、合理的な疑いの範囲を超えている。 イタリア人は科学に信を置くべきだと指摘したい。 別の観点から強硬に主張を続けることは無礼なことだ」
DNA 鑑定の信頼性をめぐる今回の裁判の行方は、各国の科学捜査のあり方にも大きな影響を与えそうだ。
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※追加5_ 2007年11月 イタリアの古都・ペルージャ。 21歳の英国人女子大生が半裸のまま、血の海と化した自宅で死んでいた。 性的暴行を受け、刃物でのどをかっ切られていた。 のちに、イタリア検察は「乱交ゲームの末の犯行」として英国人のルームメートだった米国人女子大生1人とイタリア人、コートジボワール人の男性2人を起訴する。 しかし、女子大生に無罪判決が下される可能性が出てきた。
事件は、「天使の容貌」ともいわれた米女性の名をとって「アマンダ・ノックス」事件、または語呂合わせで「Foxy (セクシー … ※本来の意味 "ずるい" を意訳? … ブログ投稿者) Knoxy」事件とも呼ばれた。 昨年の第一審判決は3人とも有罪。 しかし、今年11月から始まった控訴審では一転した様相を呈してきた。 12月の公判で、裁判官が検察側の有力な物証として提出していた DNA の再鑑定を命じたのだ。 無罪を信じるノックス被告 (23) の家族や支援者は逆転勝訴の期待を抱きつつ、次回開廷の2011年1月15日を迎える。
ドラッグ、セックス、殺人、そして清楚なうら若き女性 …。 ハリウッド映画を地でゆくようなミステリアスな事件は発生直後から、メディアの注目をあび、欧米中を席巻。 格好のネタに食らいつくゴシップ紙記者やいいたい放題のブロガーまで巻き込み、狂騒曲が続いた。 09年12月の一審判決後、米国では、ノックス被告を後ろ支えしてきた上院議員がイタリア検察の捜査態勢を批判。 一方で、イタリア側も反発し、双方で中傷合戦が行われる事態にまで発展した。
この反響をもとに実際に、米人気テレビシリーズ「ヒーローズ」にクレア役で出演した女優、へイデン・パネッティーアさんがノックス被告を演じる映画の制作も決まった。 すでに、撮影が始まっており、注目を集めている。 パネッティーアさんは役作りのため、拘置所のノックス被告に面会を申し入れたが、当局から断られたという。 また、ノックス被告の弁護団は、「映画の内容が予断を与える」として、否定的な見解を示している。
事件を振り返りたい。 ロンドン郊外に住む大学生 メレディス・ケルヒャーさんがペルージャにやってきたのは07年夏。 同時期に米シアトルからやってきたノックス被告とともに共同で部屋を借り、留学生活を始めた。 ケルヒャーさんは周囲に「ルームメートの生活も順調」とも打ち明けていた。
しかし 幸多き人生は突然、暗転する。 警察官が、自宅近くの庭で拾われた携帯電話を届けようとケルヒャーさんの部屋を訪れたとき、変わり果てた無残な姿を発見したのだった。
部屋にはカギがかけられていたが、窓が壊れていた。 現場近くには薬物取引で悪名高い駐車場があった。 地元警察はまもなく、ノックス被告とイタリア人の交際相手で医者の息子、ラファエル・ソレシト被告=現在、25歳=を殺人犯として逮捕した。
現場に動かぬ証拠があった。 ノックス被告の血痕がバスルームにあったことや、ケルヒャーさんの下着の一部にソレシト被告の DNA が残されていた。 さらに、ノックス被告とケルヒャーさんの DNA がついたナイフがソレシト被告の自宅から発見された。
もう1人の「殺人犯」のコートジボワール人、ルディ・グエデ被告=現在 22歳=はノックス被告の顔見知り。 現場に血痕のついた指紋が残されていたことが逮捕の決定打となった。検察側は、ドラッグ吸引の末の「セックスゲーム」で3人がケルヒャーさんを殺害したと主張した。
裁判は、グエデ被告の公判だけが先行して進んだ。 第一審は有罪判決。「ノックス被告ら2人にはめられた」と反論し控訴したが、今月17日に懲役 16年の控訴審判決を受けた。殺人事件では、現場に残された血痕指紋は最も証拠能力が高いとされており、このまま有罪が確定する可能性が高い。
一方 ノックス被告らの裁判は複雑な展開を見せた。 2年間に及んだ審理の末、ペルージャ地裁の陪審員はノックス被告に懲役 26年、ソレシト被告に懲役 25年をいい渡した。 しかし 有罪判決は事件の謎を深めただけだった。 検察側が最後の仕上げとして作成した 23分間の犯行再現ビデオには、ノックス被告やソレシト被告が現場にいたことが示されていない。 決定的な殺害の証拠はなく、検察側も手持ちの資料が、状況証拠でしかないことを認めていた。
弁護側は現場にあった DNA の証拠が小さなもので、劣化している事実も突き止めていた。 一連の経緯をノンフィクション作品にして告発した科学捜査の専門家は検察側があげた数々の証拠を論破。 洪水のようにメディアに流れたノックス被告への中傷報道が、陪審団の判断に大きく影響したともいわれた。
そうして、迎えたのが今年11月から開始された控訴審だった。 久々にメディアの前に現れたノックス被告は、家族や支持者に笑顔を1つも見せなかった。 やつれたようにも見えた。 すでに3年以上にもなる拘置生活が彼女を疲弊させたのかもしれない。
この控訴はノックス被告にとって、大きな賭けでもあった。 もし再び敗訴すれば今度は終身刑がいい渡される可能性もあり、ノックス被告には重圧がのしかかっていた。 支持者や報道陣でいっぱいになった法廷で、ノックス被告は得意のイタリア語で最終陳述書を読み上げた。
「私の人生はこの拘置生活で打ち砕かれた。 私は検察側が烙印を押したような危険な悪魔ではありません。 不当な有罪判決なんです」 今は亡き友の家族に対しても、深い悲しみを伝えた。 涙声だった。 しかし、最後には、自らの潔白が認められない状況を訴え、「私はメレディスさんを殺していない」と述べた。
そして、12月17日の公判。 裁判官は、「合理的な疑いがある」として、検察側があげた DNA や指紋などの証拠を、ローマの大学にある独立科学捜査機関で再鑑定するよう命じた。 裁判官は「もし DNA の個人識別を照合することが不可能なら、われわれは (検察が行った) 鑑定の信頼性を検証することになる」とも語った。
「娘は呆然としていた」 傍聴席にいたノックス被告の母親、エダさんは法廷の様子を語った。「再鑑定に大きなショックを受けたようでしたが、これで希望が出てきた」
弁護団や家族は、これまでもいちるの望みを抱いてきたが、流れを大きく変えた物証の再鑑定を評価している。 次回期日の1月15日の公判では、第一審で否定されたノックス被告らの事件当日のアリバイを証明する目撃者の証言、さらには指紋照合の記録などについても再検証されるようだ。
風雲急を告げたアマンダ・ノックス事件は、逆転無罪判決の可能性を呈しながら、発生から4年目となる2011年を迎える。
以上