
左から 『センチメンタル・ミー』(エリー・アメリング 1984年 PHILIPS)、ポーター曲集『ナイト・アンド・デイ』(トーマス・ハンプソン 1990年 EMI/Warner)、『何か素晴らしいこと』(ブリン・ターフェル 1995年 DG)
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クラシック歌手も人気ポップス曲を歌いますが、その曲にも合う歌唱ができる人だけでしょう。 およそ ポップス曲に向いてないクラシック歌手だと、まるでサマにならないですからね。
その意味で 冒頭のオランダの歌手アメリングが歌うジャズの有名曲集は楽しめました。 1曲目「I’ve got crush on you」(ガーシュウィン) と4曲目「I get a kick out of you」(ポーター) を日本語訳すると、同じような意味になるのですが、これはご愛嬌かも …「あなたに首っ丈」「君にこそ心ときめく」と訳されています。 16曲目の「It don’t mean a thing (if you ain't got that swing) スウィングしなけりゃ意味がない」(エリントン) は、 don’t ではなく 本来 doesn’t ですが、黒人英語はこれでいいらしいです。
このアルバムは17曲収められていますが、オランダ語の「アムステルダムの運河にて」と「イパネマの娘」(ポルトガル語?) を除いて全て英語です。 主に宗教曲やリートを得意とする彼女ですが、こういう一面もあるんですね。 ジャケの写真も、他のクラシック曲ではアップにしているものばかりですが、この曲集では プロデューサーが髪を下ろすように求めたんでしょう、ポップス曲向けらしい写真に仕上がっています (けれど 裏表紙は …)。 尚 センチメンタル・ミーは曲名ではありません。 “センチな私” という意味?
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2枚目は、コール・ポーターだけの18曲を収録したバリトンのハンプソンの歌唱で、ロンドン響が伴奏しています。 それなりに好ましいのですが、同じ作曲家ばかりだと、やや食傷気味にもなります。 アメリング盤の方が複数の作曲家に亘っており、飽きにくいですね。
3枚目のブリン・ターフェルのロジャース & ハマースタイン曲集も同じことがいえますね。 こちらも同じ作曲家ものが20曲ですから。 伴奏オケは、英北フィルハーモニア。 でも このロジャースものアルバムの最後の曲が、例の定番曲です __「You’ll Never Walk Alone 君を一人では歩かせない」です。 ソプラノ歌手が歌うオペレッタ曲集の最後の曲の定番曲「Wien, du Stadt meiner Träume ウィーン わが夢の街」(ジーツィンスキー) みたいなもんですね。 尚 ハマースタインは作詞家です。
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実は アメリング盤・ターフェル盤については12年前のブログ『クラシック歌手の余技』(2013年1月24日) でも取り上げました。 2度目のお勤めですが、ご容赦を。
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エリー・アーメリング (Elly Ameling, 1933年 ロッテルダム~ ) は、オランダのリリック・ソプラノ。 本名エリザベート・サラ・アーメリング (Elisabeth Sara Ameling)。 オペラにも出演したが、主にリート歌手として国際的な演奏活動を続けた。 1996年に引退。
カークビーの先駆者といいうる声の特徴から、明らかに古楽むきであり、コレギウム・アウレウムやイェルク・デムスなど、戦後の草創期の古楽器団体と共演して、バッハのカンタータやモーツァルトおよびシューマンのリートを録音した。 ヘルムート・ヴィンシャーマン指揮のドイツ・バッハ・ゾリステンとバッハのカンタータで度々共演し、日本にも共に来日し CD も残している。 日本映画「華の乱」の主題歌「水の上で歌う」を歌っている。
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トーマス・ウォルター・ハンプソン (Thomas Walter Hampson, 1955年~) は、アメリカ合衆国生まれのオペラ歌手 (バリトン) である。 1985年からチューリッヒ歌劇場で、モーツァルトのオペラなどを歌い、次第に国際的に注目を集める。 1986年 メトロポリタン歌劇場でモーツァルトの『フィガロの結婚』を歌いデビュー。 同年 バーンスタインのオーディションに招かれ、1987年にプッチーニの『ラ・ボエーム』をバーンスタイン指揮、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団の演奏で歌う。 1988年 ザルツブルク音楽祭出演。
その後 バーンスタイン指揮のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と共にマーラーの歌曲『さすらう若人の歌』、『亡き子をしのぶ歌』などを録音するなど世界的に活躍している。 オペラでは80以上の役のレパートリーを持ち、モーツァルトやロッシーニはもちろん、チャイコフスキーなども含まれる。 一方 屈指のリート歌手としても知られており、とりわけシューベルトやマーラーの歌曲は高く評価されている
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サー・ブリン・ターフェル (Bryn Terfel、1965年~) は、イギリスのバス・バリトン歌手。 1989年に BBC カーディフ国際声楽コンクールで入賞。 1991年にイングリッシュ・ナショナル・オペラ (「フィガロの結婚」のタイトルロール)、1992年にはロイヤル・オペラ・ハウス (「ドン・ジョヴァンニ」のマゼット役)、ザルツブルク音楽祭 (「サロメ」のヨハネ役) でそれぞれデビューし、ドイツ・グラモフォンと契約する。
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今日はここまでです。