*『原発ゼロ』著者 小出裕章 を複数回に分け紹介します。25回目の紹介
『原発ゼロ』著者小出裕章
原発を廃絶させるまで、私は闘いたい。
原発は、都会では引き受けることができない寛大な危険を抱えています。「原子力マフィア」はまさか大事故は起きないだろうと高を括り、人々に対して「原発 は決して大事故を起こさない」と嘘をつきました。それでも不安を払拭できない彼らは、原発を過疎地に押し付けたのです。私は破局的な事故が起きる前に原発 を廃絶させたいと活動してきましたが、福島第一原発事故が起きてしまいました。私の人生すべてが否定されてしまい、自分の非力を無念に思わずにはいられま せんでした。しかし、この事故を忘れまいとする人々もまだ大勢いてくれることを、本当にうれしく思います。被害者の苦しみを少しでも減らし、嘘をついてき た巨大な権力を処罰するために、私自身も決して挫けずに闘いたいと改めて思います。
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**『原発ゼロ』著書の紹介
「第6章 これ以上過ちを繰り返さないために」
1 原子力マフィア P234~ より
「原子力ムラ」は犯罪者集団である
みなさん、すでにお気づきだと思いますが、本書において私は、原子力を推進する大きな権力組織に対し、これまで使ってきた「原子力ムラ」という言い方をやめて、かわりに「原子力マフィア」という表現を使っています。最近「原子力ムラ」と呼ぶことが正しくないと思うようになったからです。というのも、村というのは、いろいろな人が詰まって、いわゆる共同体をつくる組織ですけれども、これまで私が「原子力村」と読んできた組織は、確かにその一面はあるのですが、単なる共同体というよりは犯罪者集団だと思うようになったのです。
日本で原子力は、国がまずやると決めました。そして電気事業法を定めて、原子力発電をやればやるだけ電力会社が儲かる仕組みをつくって、電力会社を引き込んだ。日立、三菱、東芝という日本を代表する巨大産業も、原子力から儲けを得ようとし、その周辺にはゼネコンをはじめ、さまざまな企業が群がった。マスコミも、学者も、裁判所も、それに労働組合までもが一体となって原子力を進めてきた。
そしてその誰もが、原子力が巨大な危険を抱えていることは知っていたー。その証拠として、彼らは原子力発電所だけは都会に建てずに、財政が困窮した地方の町や村に押しつけてきたのでした。にもかかわらず、誰も原子力の暴走を止めようとしなかった。そして福島第一原子力発電所で取り返しのつかない事故が起きてしまいました。
この、原子力をめぐる動きは、先の戦争とそっくりだと思います。かつての戦争の時も、軍部の中にさえ、その戦争が決して勝てないものであることを知っていた人がいたのに、誰もそれを口にできませんでした。ほとんどの人は大きい流れに呑まれて流されてしまったわけです。
同じように、権力と金にものをいわせて弱者の口をふさぎ、原子力推進の旗を振ってきた「原子力ムラ」は、犯罪者集団以外の何者でもありません。まさに「原子力マフィア」と呼ぶにふさわしいものだと私は思います。
※続き『原発ゼロ』著書の紹介は、2016/1/13(水)22:00に投稿予定です。