*『原発ゼロ』著者 小出裕章 を複数回に分け紹介します。24回目の紹介
『原発ゼロ』著者小出裕章
原発を廃絶させるまで、私は闘いたい。
原発は、都会では引き受けることができない寛大な危険を抱えています。「原子力マフィア」はまさか大事故は起きないだろうと高を括り、人々に対して「原発 は決して大事故を起こさない」と嘘をつきました。それでも不安を払拭できない彼らは、原発を過疎地に押し付けたのです。私は破局的な事故が起きる前に原発 を廃絶させたいと活動してきましたが、福島第一原発事故が起きてしまいました。私の人生すべてが否定されてしまい、自分の非力を無念に思わずにはいられま せんでした。しかし、この事故を忘れまいとする人々もまだ大勢いてくれることを、本当にうれしく思います。被害者の苦しみを少しでも減らし、嘘をついてき た巨大な権力を処罰するために、私自身も決して挫けずに闘いたいと改めて思います。
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**『原発ゼロ』著書の紹介
「第5章 これでも原発を続けるのですか」
8 原発は差別の象徴 P229~ より
無責任な原発
原発は、圧倒的に危険で破壊的な機械です。そのことが、残念ながら福島第一原子力発電所事故で実証されてしまいました。しかし、私が原発に反対するのは単に危険だからではなく、原発が徹頭徹尾、無責任で社会的弱者に犠牲を強いるからです。他者の犠牲の上にしか成り立たない、差別に基づかなければできないという、そういうものに私は反対しています。
①平常運転時での95パーセント以上の被曝は、下請け・孫受け労働者に負わされる。電力会社のエリート社員は、被曝労働を下請けに押しつける。
②原子力発電所や核燃料サイクル施設は、掛かる危険が大きすぎるため、電力の恩恵を受ける都会にはつくることができず、過疎地にしわ寄せした。
③事故が起きてしまえば、今、福島の被害者が経験しているように、広大な土地が失われ、故郷を奪われた人々は、生活を根こそぎ破壊されて流浪化してしまう。その周辺の人々も汚染地に棄てられ、被曝を強いられる。
④仮に事故が起きなくても、ウランを核分裂させてしまえば、核分裂生成物と呼ばれる放射性物質が大量に生み出される。いつか何とかなるだろうと期待されたが、人類はいまだにその無毒化の手段を持っていない。その毒物は百万年にわたって生命環境から隔離しておかなければならず、今はこの世になく、選択権もない未来の人々に押しつけることになる。「未来犯罪」と呼ぶべきだろう。
私たちが自らの責任をきちんと取ろうとするなら、そして未来の子供達にツケを回さないと思うのであれば、私たちは他の人々を犠牲にするという、そういう差別を生む原子力、原子力的なものは棄てるということが必要なのだと思います。電気が足りようと足りなかろうと、経済が発展できようとできなかろうと、原子力などやってはいけないのです。
※続き『原発ゼロ』著書の紹介は、2016/1/12(火)22:00に投稿予定です。
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