*『原発ゼロ』著者 小出裕章 を複数回に分け紹介します。31回目の紹介
『原発ゼロ』著者小出裕章
原発を廃絶させるまで、私は闘いたい。
原発は、都会では引き受けることができない寛大な危険を抱えています。「原子力マフィア」はまさか大事故は起きないだろうと高を括り、人々に対して「原発 は決して大事故を起こさない」と嘘をつきました。それでも不安を払拭できない彼らは、原発を過疎地に押し付けたのです。私は破局的な事故が起きる前に原発 を廃絶させたいと活動してきましたが、福島第一原発事故が起きてしまいました。私の人生すべてが否定されてしまい、自分の非力を無念に思わずにはいられま せんでした。しかし、この事故を忘れまいとする人々もまだ大勢いてくれることを、本当にうれしく思います。被害者の苦しみを少しでも減らし、嘘をついてき た巨大な権力を処罰するために、私自身も決して挫けずに闘いたいと改めて思います。
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**『原発ゼロ』著書の紹介
「第6章 これ以上過ちを繰り返さないために」より
4 エネルギー消費の歴史 P255~
人間が厖大にエネルギーを使い始めたのは、200年前だった
(前回からの続き)
ここで、46億年という地球の歴史の中で、200年というのはどういう長さなのかを考えてみましょう。最近は、マラソンが一つのブームになっているようで、一般の人たちが参加できる大会が日本の各地で開かれています。
フルマラソンで走るのは42・195キロですが、これを計算しやすいように少し距離を伸ばして46キロとします。それで割り算をしてみますと、100年にあたるのは1ミリメートルです。200年ならば2ミリメートルです。そしてこのところは、水分を補給するだけでなく、デザートも食べながらフルマラソンの半分の距離を走るスイーツマラソンというのもあるそうですが、仮にこれに出場して23キロを走ったとすれば、200年前というのは、ゴールの1ミリメートル手前になります。この最後の1ミリメートルで猛烈にデザートを食べる、というようなエネルギーの使い方を人間はしてきたわけです。
では、次に図25を見てください。これは絶滅した生物種の数を表したものです。横軸は西暦ですが、これもある時から急激に増えていますね。産業革命が起こってからです。この地球上では、いろいろな生物が生まれては絶滅を繰り返してきました。これは生物として仕方のないことです。ですが、一気に絶滅し始めたのは、人間が厖大にエネルギーを使うようになったのと軌を一にしているのです。
たくさんの命がお互いに支え合いながらバランスを保っている、それが生態系です。この生態系に地球の歴史から見れば明らかに新参者の生物である人間が割り込んできて、わずか200年という年月で、周囲の生物をどんどん絶滅に追いやっているということになります。科学というものは、自然に対する知識を蓄積して進歩してきましたし、その知識を、技術が社会的な営為として実現してきました。
その知識が産業革命となり、厖大なエネルギーを使用せざるを得ない人間の暮らしを生み出したわけですが、このままそれをやり続ければ、自分が息をするのにも必要な生態系を自ら破壊して、人間も絶滅にいたるということになってしまうでしょう。
※続き『原発ゼロ』著書の紹介は、2016/1/25(月)22:00に投稿予定です。
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