新JOOKOのふぉとエッセイ

     東海道53次探検ウォークや、四季折々の出来事
     そして仏像造顕所勢山社関連など、写真もお楽しみに♪

お仏像のお身拭い そしてノミ入れ式

2019-12-27 | 勢山社特派員だより



平成から令和に元号が変わり、ようやく暑い夏が終わったと思ったらもう師走!
あっという間の1年と感じるのは、それなりに歳を重ねたからなのでしょう。

師走といえば大掃除・・・といっても年々季節感が乏しくなっているのですが、勢山社で行うお仏像たちのお身拭いは大切な年末行事なので、今年もご一緒させて頂くことにしました。

昨年6月、池袋の仙行寺さんにお納めされたヒノキ造り二丈の釈迦如来像は、総高4.6mで重さは1.5t。
大仏師の渡邊勢山さんが中心となり彫像された大仏様です。

雲に乗り空中浮遊する大仏様には外国人の方々のお参りも多く、すでに池袋の大仏様として親しまれているそうです。
1年振りの再会に、懐かしさとともに奉安時の緊張感を思い出してしまいました。

大仏様が大きいのは当たり前ですが、勢山さんのお弟子さんがお身拭いを始めると人との比較ができるようになり、「大きい!」と、偶然その場に居合わせた方たちから歓声があがりました。


大仏様の居場所は道路に面した開放的な空間のため思いのほか埃をかぶっていたようで、頭部から埃が掃われると「綺麗になったね」とまた歓声が!
温かな目線に見守られながらの作業は嬉しいものです。

実はこの日、仙行寺さんの前には世田谷豪徳寺さんへ伺い、三重塔内のお像のお身拭いを行いました。


また前日の19日午前中は岐阜安祥院さんの一丈六尺阿弥陀如来像、午後には焼津全珠院さんの一丈八尺千手千眼観音像と連日のお身拭いです。


このお身拭いは、単にお仏像のお清めだけでなく、お仏像たちのその後の様子を点検するための貴重な時間にもなっているそうです。

お納めされたお仏像たちが、それぞれの地で大切な存在となっている様子を目にするのはもちろん嬉しいことですが、更に嬉しく何度経験しても胸が篤くなるのはこれから誕生するお仏像のノミ入れ式です。
文字通り最初のひとノミを入れる儀式で、お仏像に命を吹き込む儀式と言っても過言ではありません。

秋晴れに恵まれた11月7日、埼玉県吉見町の金剛院様大日如来像のノミ入れ式が勢山社舞子工房で行われました。

30人の参加者の方たちは、緊張の面持ちです。 
お仏像を目前にすることはあっても、そのお像が制作される工房を訪ね、ましてやノミ入れ式への参加は思いもよらなかったことだったからかもしれません。

ところが法要が進み、御用材にノミを入れる頃には皆さんの表情が喜びへと大きく変化していきました。
きっと、それぞれがご自分たちのお仏像の誕生を実感されたのでしょう。

そんな様子を目前にし、その一瞬を切り撮ろうと、私はいつの間にか夢中になっていました。
 


古くからの友人からクリスマスカードが届きました。
「平穏な日々にハッピーです」の文面に共感し、平穏な日々+自分なりの役割が果たせていることに感謝して、来年も頑張ろうと思いました。


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