新JOOKOのふぉとエッセイ

     東海道53次探検ウォークや、四季折々の出来事
     そして仏像造顕所勢山社関連など、写真もお楽しみに♪

千手さんのお身拭い

2016-12-30 | 勢山社特派員だより

「朝日がお堂の中に差し込んだ時の、千手観音様の美しさを独り占めしていますよ」
お身拭い終了後のご住職の表情から、千手さんがとても大切にされている事を伺い知ることができ私まで嬉しくなりました。

12月19日に行なわれた焼津・大覚寺全珠院でのお身拭いには、私も写真担当だけでなくスタッフとして参加です。


千手さんにこれほど近づくのは、勢山社工房での木地完成時に行った撮影以来かもしれません。
いつもは須弥壇上の千手さんを見上げていますが、さすがに大きい!
存在感に圧倒され、ふと下をみるとその高さに足がすくみそうでした。

「千手さん」と親しみを込めて呼んでいますが、正式名称は「千手千眼観世音菩薩像」で、その名のとおり手がいっぱいです。
それぞれの手には持ち物があるし、お身体は金箔で覆われているので、お身拭いは慎重に慎重に行われました。

はっと気が付くと外はもう真っ暗です。
いつの間にか3時間近く時が経っていました。

良かった!これでお正月準備OK!
お身拭いを終えた千手さんは、満足のご様子。
私も、特派員としての2016年最後の役割が済み、嬉しい場面にたくさん立ち合えたと大満足です。

 
今年は色々盛り沢山な1年でした。
発願を祈願するノミ入れ式も何回かあったので、制作中のお像達で勢山社舞子工房は大賑わいです。

儀式だけでなく、打ち合わせなど大事な場面に立ち会わせていただくこともありました。
お像誕生にむけての思いや意気込みが垣間見られ、それぞれの熱い心に接することもできました。
当然シャッターを押す時は、緊張とともに充実感でいっぱいになります。

風景でも花でも記録でも、撮影チャンスは1度しかありません。
撮影した後、最初に一喜一憂するのは自分です。
そして、その写真を見てくれた方が喜んでくれる場面に出会えた時、次のエネルギーにつながります。

来年はどのようなシーンが待っているのでしょうか。
楽しみです。


初めての写真展を終えて

2016-12-26 | ノンジャンル
「色々な所へ行ってるんですね~今年はどこへ撮影に行ったんですか?」
12月初めに行った写真展のことが話題に上り、とっさに答えられない自分がちょっと恥ずかしい。

それでも映像として頭に浮かんだのは、満開のソメイヨシノや濃いピンク色の高遠コヒガンザクラと、いつもの年より桜三昧だったことを思い出した。

そういえば蓮の花を見る機会も多かったし、散歩途中で見つけたネムの花も素敵だったな~と思うと、遠出をしてというより、普段の行動範囲で見つけた被写体を撮った年だったのかもしれない。

散歩にしても山歩きにしても、カメラを持っていると五感がパワーアップするような気がする。
風や音や香りを感じながら、被写体を見つけた時の喜びは何にも代えがたい。

それが景色だったらどう切り取ろうかと考え、花々ならばその花が一番美しく見える場所を探す。
シャッターを押す時は、「風さんお願いだから静かにして」とか「お日様もう一度ライトをお願いします」など、周囲の環境に対し無意識に話かけていて、時々そんな自分にふと気が付き思わず笑ってしまう。

でもそういう風にして撮るからだろうか、何年経ってもその時のドキドキわくわくした事や、苦労した状況を思い出すから不思議だ。

「夜撮ったんですか?」
黒バックにして、被写体を際立たせている作品を見た方からの質問があった。
簡単に説明をしたが、時間がなくあまり丁寧にできなかったのが悔やまれる。
    

被写体を目の前にしてどう表現するか、表現したいかは人それぞれだ。
同じ光景を前にしても、目の高さがそれぞれだから最初の印象がまず違うだろうし、どう表現したいかによって前に出たり後ろに下がったり横にずれたり・・・。
立つ位置によって見えるものが変わるのも面白い。

面白さがわかってきたからこそ、何枚撮っても納得できるものがなかったりするとそれはそれはガッカリする。その落差といったら・・・。

そんな風にして撮った写真7年分ほどを自分なりに吟味して、何人かの方々の意見も聞きながら選びに選んで、70枚ほどに絞り込み行った初めての写真展だった。
展示方法を考えながら、写真を選ぶことにかなり苦労したけれど、良い脳活になったかもしれない。
      
    
    
    

なんでもそうだが、何かを形にするということは色々勉強になる。
頭で考えることとできることは違うし、特に初めての場合は実験的な要素もたくさん。
相談にのってもらった部分もあるけれど、最後は自分で決める・・・ということは全て自分に返ってくるのだから勇気も必要だ。

準備が着々と進むにつれて次に心配になったのは、果たしてどれぐらいの方が来てくれるのか、ということ。
半年近くをかけて準備しているのだから、できたら多くの方に見てもらいたいと思うのは誰でも思う事だろう。

こればかりは当日にならなければ解らないし・・・と、せめて来て下さった方に喜んでもらえるよう最後の詰めを頑張ろう!と頭を切り替えた。

せっかくだから楽しんでもらいたい!
写真展を行うのは自分のためだけれど、時間を割いて来てくださった方たちに何かしら満足して帰ってもらえたら嬉しい!と思って考えついたのが「お気に入りの1枚アンケート」だった。
「めんどくさい」と思われない?とか、またしても心配になるが思い切って実行することにして、いよいよ当日。

アンケート用紙を渡された方たちが、「どれにしよう!迷ってしまう」などと言いながら熱心に写真を見てくれている光景に、喜びがこみあげてきたのはもちろんだし、「楽しい写真展でした」「気持ちが明るくなりました」「故郷を思い出しました」などなど、感想を書いてくださった方もいて、それぞれの言葉が本当にありがたく嬉しく、このアンケート結果は私の宝物となった。

ちなみに、ここで紹介している写真はお気に入り人気度が高かったものだ。

三日と半日で250人ほどの方がご来場くださり、一時はてんてこ舞いの忙しさで、せっかく来てくださったのにゆっくりお話できない方もいて残念だったが、長年ご無沙汰だった方との再会が嬉しかった。
思い切って行なった写真展での、自分へのご褒美となったのはいうまでもない。
    
    

「次は何を目指すのですか?」
終了後、古くからの友人にそう聞かれた。
以前から、何のために写真を撮ってるの?楽しいから?自己満足?など、自問自答を繰り返してきたことだからドキっとした。
又しても即座に答えられない自分がいる。

挫折感も味わっているけれど楽しい!は実感している。
自分が満足しなければ他者に満足してもらうことはできないし・・・。
今まで経験したことのないジャンルにチャレンジ?とか、色々考えたけれどそう簡単に結論がでそうにない。

何も慌てることはない。
撮りたい気持と被写体との出会いを大切にして、これから、ゆっくり、じっくり考えようと思っている。