新JOOKOのふぉとエッセイ

     東海道53次探検ウォークや、四季折々の出来事
     そして仏像造顕所勢山社関連など、写真もお楽しみに♪

よいお年を!

2008-12-31 | ノンジャンル
木々の葉はすっかり散って、梢で鳴く鳥の姿がはっきり見える。
歩くたびに落ち葉がサクサクと音をたて、何ともいえない心地良さだ。


土に返ることで、その一生を終えようとしている葉に西日が差し込んで、一瞬生き生きとした表情がよみがえった
ファインダーを覗くと、きらっと光る小さなものが目に飛び込んできたので、目を凝らしたらどうもススキの穂(種)のようだ。

細い綿毛を羽のように広げている様はまるで小さな虫のようで、自分の意思でどこへでも飛んでいけそうなのに。
落ち葉に摑まっているのか捕まえられているのか・・・
その場を自分の場所としたいのかもっと遠くに飛んで行きたいのか・・・

「お願いだから少しだけじっとしてて」
風に身を任せ、自分の役割を果たそうとしているそのけなげな様子に時が経つのを忘れてしまった。


ファインダーの中に、思いがけないものをみつけてドキッとすることがある。
被写体の中に生き生きとした表情を見つけた時、私はこの上なく嬉しくなる。    
    

どんな小さなことでも認め、そして認められることで人は先を目指すことができるのかもしれない。
そんな想いが広がり、大切なこととして来年は第一に心がけようと思った。


おさめの観音まつりin永澤寺

2008-12-26 | 勢山社特派員だより
毎月18日は観音さまのご縁日。
兵庫県三田市の永澤寺では、12月18日に一年最後の観音さまの縁日「おさめの観音まつり」が行われています。

いつか訪ねてみたいとの願いが叶ったこの日、久しぶりにお目にかかった観音さまは変らぬ美しさでした。

身の丈が9メートル近くもあるこの観音さまに初めてお会いしたのは永澤寺における、第5回勢山社仏像彫刻展でのこと。平成14年の5月連休、初めて永澤寺さんにお伺いしてから、6年半が経ってしまったとはとても思えません。

美しい彩色と截金が施された永澤寺の大観音像は、平成6年に仏師の渡邊勢山さんによって、地蔵菩薩像や僧形文殊像と共に造顕されました。その後の平成14年に、山門の仁王尊像や内心仏像が、平成15年には金箔が貼られたおさすり布袋尊像も造顕奉安されています。
    

永澤寺は、摂津と丹波の境の山あいに位置する曹洞宗の古刹で花の寺としても有名です。
のどかな里山に囲まれた景色は昔懐かしく、心休まる想いがしました。
    

同寺のHPによると、1月の冬牡丹に始まり、水仙・梅・桜・芝桜・花菖蒲や紫陽花などたくさんの花々が咲き誇るとのこと。特に、6月上旬から7月上旬に咲く花菖蒲は、650種300万本にも及び菖蒲園の広さはなんと一万坪。その時期は特別に精進料理がいただけるそうなので、もう少し近ければ季節ごとに訪ねたいのに・・・とも思ってしまいます。

おさめの観音まつりは、まず布袋さんの法要からはじまりました。
光り輝くお姿の布袋さんは、すでに下地の赤漆が現れる程になっており、多くの方に親しまれている様子を伺い知ることができました。
集まった人々は、にこやかに布袋さんをさすり、手を合わせています。私も、いつまでも元気でいられますようにと、欲張って頭と顔?と膝などをさすらせていただきました。
    

続いて行われた桂三若さんの観音落語では始終笑い声が。笑いで今年最後の縁日を過ごせば、来年も福がやってくるに違いありません。

12時からは観音さまの前で祈願法要が行われました。読経に続き、参列者と共に全国から届いた祈願者名を読み上げるご住職の声が堂内に響き渡ります。その後、暑さ10センチほどの大きな教本で、一人ひとりの肩にお祓いをしていただきましたが、想像以上のずしりとした重みに、私も身が引き締まる思いでした。

一年の感謝と新しい年への祈りを捧げる参列者に、観音さまが優しい視線をなげかけています。
「この寺に必要な、ふさわしい仏様を勢山さんと相談してお迎えしました」とご住職。
「観音さんが、頼りがいのある母親のような存在となるよう心がけました」と勢山さん。それぞれの挨拶に、参列者は熱心に耳を傾けていました。
    

法要後の昼食接待でも皆さんことのほか楽しそう。ほのかにそばの香りがするそば粥と、ふっくらと炊かれた黒豆や大根炊きなどに舌鼓をうっています。
あまりにも美味しそうなので、食事風景の写真を撮らせていただいていた私もご馳走になってしまいました。前日から煮込まれていた大根などは口の中でとろけ、とても美味しくて幸せいっぱいです。

帰り際「また来年お会いしましょう」と声をかけられ、縁日に初めて参加をした私はすっかり皆さんの仲間入りをさせていただいた気分に。私にとっても、嬉しい一年の締めくくりとなりました。これも観音さまのおかげと感謝です。

それぞれの鑿(のみ)入れ式

2008-12-13 | 勢山社特派員だより
2008年11月20日、八王子観栖寺さんの「千手観音像」「地蔵菩薩像」「毘沙門天像」の鑿入れ式が行われました。

観栖寺ご本尊の「釈迦三尊像」は、本堂落慶に伴い2003年に渡邊勢山さんにより造顕・奉安されています。その後5年の時を経て、古くは観音の寺としての観栖寺(八王子三十三観音二番札所)のご本尊ともいえる三尊像の復興が実現することになりました。

童謡「夕焼け小焼け」の舞台にもなっているという、八王子西部の丘陵地に位置する観栖寺から、これまでにも多くの仏像を彫像している勢山社舞子工房までは、片道7時間ほどの道のりです。
僧侶5名と壇信徒、総勢28名の方々はまだ暗い早朝5時に出発したそうなので、さぞお疲れ・・・と思っていたら、皆さん元気に到着されて一安心。空は秋晴れで琵琶湖もくっきり。慶びの日にふさわしい日よりが何よりでした。
 
準備が整い、いよいよ鑿入れ式が始まります。


初めて経験することに戸惑いはつきもの。儀式の前に、勢山さんが造顕の趣旨と鑿入れの仕方を説明すると、少しほっとしたような空気が流れたのは気のせいでしょうか。

会場や参加者、そしてご用材の清め祓いが行われお祝いの散華が撒かれ、読経が続きます。千手観音をはじめとする三尊像の無事完成と、参列者の安全を祈願する観栖寺ご住職の感慨深げな様子が印象的でした。

一連の法要の後は、待ちかねた鑿入れの儀式です。ご住職や副住職に続いて、鑿を手にした参列者の皆さんは少し緊張気味。それでも勢山さんの介助に安心したのか笑顔がこぼれるシーンもあり、とてもほほえましく、ファインダーを覗く私も嬉しくなってしまいました。削ったご用材の破片は、お守り袋に入れてそれぞれ大切そうにお持ち帰りに。これも勢山さんならではの配慮でしょう。
    

仏師が制作にとりかかる前に、関係する方々が用材に鑿を入れ、そのお姿を無事に顕していただけるよう、また造顕中の関係者一同の健康と安泰を願うのが鑿入れ式です。
「新たに誕生するお像に、より一層の親しみをもち見守って欲しい」と仏師の渡邊勢山さん。完成した新しいお像に出会うこと以上に、この儀式に参加する機会はめったにないからこそ、勢山さんは、この鑿入れ式をことのほか大切にしているそうです。

私自身、制作のための打ち合わせや、完成までの途中経過、また納入風景などの写真を撮ってはいても、これまで鑿入れ式に同席の機会がありませんでした。ところが今年はなんと3度も!

ご先祖様の菩提を弔うことをはじめ、感謝を込めて今後の発展を願うなど、新しい像が生まれる背景は様々でしょう。それぞれの関係者の方々は鑿入れ式に参加することで、材や制作過程の事などを知り、直接手に触れることができます。だからこそ、新たなお像を身近に感じることができるに違いないと、3度の鑿入れ式に参加して強く感じました。

準備は儀式の前日から始まります。
紅白の幕や五色の幕を張ると制作の場である工房は儀式会場に変身。ビロードの布で覆われた原木壇の上に像の姿が描かれた材が安置され、実物大の図面が貼られました。

また祭壇の中央に紅白のお餅を、磨きこまれた漆塗りの三方には季節の果物や野菜などを供え、左右に花が飾られると準備は完了です。加えて、お客様のために制作途中や修理中のお像がお出ましになりました。
 
鑿入れ式終了後、そんなお像たちの前での勢山さんの解説に熱がはいり、皆さんも熱心に耳を傾けていました。

瞬く間に2時間が過ぎ名残を惜しみながら帰路に。それぞれがどんなお土産話を持ち帰られたのでしょうか。三尊像の完成は2年後の秋です。
    

秋って素晴らしい!

2008-12-04 | ノンジャンル
カーテン越しに見えるハナミズキは、赤く染まった葉をとっくに落としていた。その足元には、いつの間にかフリージャの青々とした葉が居場所を確保し、もう春に花を咲かせる準備をしている。

少し遠くへ視線を投げかけたら、今にも飛び立ちそうな穂を蓄えたススキが、風に揺れて晩秋の小春日和を堪能しているようだった。

身近な植物でさえ、四季折々の変化を見せてくれるのだから、その季節を更に楽しみたいと思うのは皆同じのようだ。

久しぶりの秋の京都と奈良ははものすごい人出だった。
奈良で暮らす息子に用事があり、それならついでにと思い立ったのだが、平日にもかかわらずとにかくすごい。

いつもだったら、人ごみを避けて行動・・・というパターンが多い私だけれど、今回は紅葉名所をめぐってみようと意を決した。

まず何年か前に門前まで行きながら、入場制限であえなく時間切れになり涙をのんだ東福寺へ。その後銀閣寺にも行くつもりが、参道の道幅いっぱいの人波を見て断念。哲学の道の赤い桜の葉を眺めながら法然院へ行き、真如堂にも足を延ばした。


真っ赤な紅葉ももちろんだが、緑から赤に変化する途中の何ともいえないグラデーションが捨てがたい。
東福寺の谷間に折り重なる紅葉、苔むした法然院山門の藁葺き屋根や真如堂の塔などとのコントラストの素晴らしさに、京都の秋に多くの人が魅了されるのも当然と納得だ。
    

そういえば本当の目的地は奈良だった。
奈良といえば鹿。だから奈良では鹿をテーマに撮影と心に決める。

東大寺周りはやはり多くの人で賑わっていた。
人垣があったので近づいてみると、金色に輝くイチョウの木の下で餌を食んでいる鹿に皆がカメラを向けている。
それはそれは美しい光景に、私も参加させていただくことに。
「鹿さん、お願いだからこっち向いて」とつい声が出そうになった。
    

一人行動だったから自由自在に動き、気がすむまで被写体にへばりつけた。
反面、こんなに素晴らしい景色を一人だけで・・・何だかもったいなくて、誰か傍らに居てくれたらもっと楽しめたのにと、この満足感を分かちあいたかった何人かの顔が何度も頭をよぎった。

予定が合わず、京都奈良行きをあきらめた娘とは昭和記念公園での駆け足秋散歩を。
    

留守をしていた償い?に、夫とは紅葉ハイキング(娘も飛び入り参加)へ。

一番の参加率を誇る私の秋は終わりもう師走だ。
大変!山積みのあれこれを片付けなくては!!