新JOOKOのふぉとエッセイ

     東海道53次探検ウォークや、四季折々の出来事
     そして仏像造顕所勢山社関連など、写真もお楽しみに♪

勢山社春情報

2017-03-14 | 勢山社特派員だより

「今年はまるで雪国のよう」と、2月初めに勢山さんから連絡がありました。

仏像造顕所「勢山社」舞子工房は琵琶湖近くの山麓にあるため、湖畔より雪が降る確率が高いようですが今年は特に積雪量が多かったそうです。

2月後半に工房へ伺うと、しばらく春めいた陽気が続いたせいか雪は急激に溶けてしまったとの事。
今年初めての本格的雪景色が見られるかもと少し期待していたので残念でした。 

久しぶりに訪れた工房は、これから誕生するお像や修理を待つお像たちで大賑わい。勢山さんはもちろん、お弟子さんたちも忙しそうです。

広々とした工房内には機械類や工具がいっぱいで、材が置かれたフロアは製材所のよう。
木の選別や製材、木寄せも行われるのですから広い空間が必要なのでしょう。

そんなダイナミックな作業がある反面、彫刻や彩色・截金(キリガネ)、漆塗や箔押しは細かく繊細で、全て手作業なので見ているだけで気が遠くなってしまいます。

制作する像の大きさにもよるようですが、図面を基に粘土造形を作り、大きな像の場合は五分の一程度のひな形(原型)を完成させ、ようやく本彫像になるとのこと。
新しいお像の誕生は、依頼者や制作者の熱意と共に様々な技法や工程が組み合わさって実現するのです。

訪問中、勢山さんの故郷・藤沢市の善然寺さんに納められる四天王像の彩色打ち合わせに同席しました。
いくつかの色パターンを広げて、お弟子さんに細かなアドバイスと指示を与える場面は私にとって初めての経験です。


配色でイメージが全く異なるのですから、気が抜けないのは言うまでもありません。
引き続き四天王像の彫刻についても細かな指示があり、別の部屋では他のお弟子さんたちが四菩薩像、閻魔像を彫刻中でした。

  
像容などについての打ち合わせには何回かご一緒したことがあり、依頼者の考えや想いを形に表すことの大変さを感じてはいましたが、迷いなく指示を出す勢山さんの目には、宿る仏様の姿が見えているのかもしれません。

勢山さんの工房では仏画の制作も行っているのですが、現在客殿が建設されている岡山市妙勝寺さんの玄関ロビー吹き抜けに大きな飛天画を置くことになり、現地調整に同行しました。

客殿内安座の「釈迦如来像」や「四菩薩像」と共に、勢山さんが制作する飛天画の打ち合わせはすでに何回か行われ、今回は実物大の素描を壁に貼り絵の内容やバランスなどについての検討です。

ご住職ご夫妻や設計士さん、工務店の皆さんが、立ち位置を変えるなどして真剣な面持ちで絵を見上げていました。

彫造の場合も同じだと思いますが、これからできる建物にお納めする場合、イメージを最大限に膨らませ制作する必要があるのでしょう。
現地を見ての検討や調整は大切なことと実感です。
       

勢山社で新たな経験をさせてもらい帰宅して、久しぶりのウォーキングへ出かけると、もうコブシが咲き始めていてびっくりでした。
マンサクの咲きだしもいつもの年より早かったのでしょうか。

ずいぶんと楽しませてもらった河津桜の見頃は過ぎてしまいましたが、メジロは相変わらず蜜を吸うために動き回り元気いっぱいです。
お腹が満ちたのか、仲よく毛づくろい?をしている場面がほほえましく、思わず笑ってしまいました。


暖かい日が続いたかと思えば寒さが戻ってきたりで、明日は北風が吹き真冬並みの寒さになるとか。
季節外れの雪にならなければよいけれど・・・。

制作に携わる方たちは日々緊張の連続にちがいありません。
勢山社への訪問を思い出しながら、これから誕生するお像たちの晴れの日にもできるだけ参加したいと、今から楽しみにしている私です。