新JOOKOのふぉとエッセイ

     東海道53次探検ウォークや、四季折々の出来事
     そして仏像造顕所勢山社関連など、写真もお楽しみに♪

初めての彩色体験

2017-06-23 | ノンジャンル
実は、先日思いがけず彩色体験をさせてもらった。

仏像造顕所勢山社では6月末納入予定の四天王像の制作と、飛天画の制作が重なり猫の手も借りたい状態。
いくら忙しくても写真関連のことしかできないと思っていたのに、6月半ばに納める「蓮華供物台」の彩色前準備を急遽することになった。

用材は仏像制作に使われている木曾檜とのこと。
周りに可愛らしい蓮の花びらが彫られた蓮華供物台の表面に、黄土という絵の具をむらなく塗らなければならない。
これは彩色を綺麗に仕上げるための大切な工程だそうだ。

「私にできるかな~」と心配だったけれど、お役に立てるのならと方法を教えてもらい、作業をしたがコツをつかむまで大変。
かなり時間がかかり無事30枚ほどを仕上げて一安心だった。

そして、その後思いがけず彩色もさせてもらえることになった。
勢山さんから絵筆の持ち方や色の使い方など、3時間程レクチャーを受けいよいよ本番だ。

ただ色を付けるだけでなく、濃淡ぼかしを入れなければいけないし・・・失敗したらどうしようとドキドキしてしまう。
絵筆を持つのも難しく不安だが、練習で合格点をもらえたので思い切ってチャレンジした。


隣でお弟子さんが四天王像の截金(キリガネ)を行っている。
飛天画も4階広間で最終仕上げに入っているとのことだから、あとで見せてもらわなければ。
静寂な時が流れ、時間があっというまに過ぎていくのが新鮮だった。

それにしても、何かを作り上げていくのは本当に大変と実感だ。
今回私が体験した小さな物でも、形をどうするかデザインを決めて、用材木取りなどの準備後に彫刻。
そして彩色工程へと進んだわけだが、今回の経験でそれぞれの工程間に色々細かな作業があることを知った。

これまで勢山さんが彫像したお像には、極彩色が施された9mの立像や金箔が押された4mの坐像をはじめとする大きなお仏像と、細かな截金(キリガネ)が施されたお仏像などが数多くあるが、完成までの工程と時間を考えると気が遠くなってしまう。

初めての彩色は一枚一枚を同じ色調に揃えるのが大変で、絵の具が乾きすぎないように手早くと心がけるが結構難しい。
だいぶ慣れたところでタイムリミットに。残念だったが仕方ない。

大急ぎで四天王像と飛天画の最終作業光景を撮影し帰り支度を。
後ろ髪を引かれる思いの充実した2日間だった。
                 
         
            

「頑張って写真撮ってるの?」と、久々にお会いした方などが声をかけてくれると、私=写真と認識されていることが実感でき嬉しくなってしまう。

私の撮影のテーマは、自然の中で一生懸命に生きている四季折々の草花や木々を盛り込んだ風景が主だけれど、もう一つの大事なジャンルは、仏像制作をしている勢山社の記録写真を撮ることだ。

琵琶湖近くの勢山社は遠く普段の制作過程は中々撮れないが、それでも大事な場面には誘いがあるので都合がつけば駆けつけてしまう。
大切なライフワークとして、家族公認だから恵まれた環境と感謝しなければ。

そして、せっかく身近に仏師さんいるのだからと少しずつ彫刻を習い始め、暇をみては小さなお地蔵さんを彫っているけれど、友人が欲しいと言ってくれるのが励みとなっているし、無心になれる時間が何より貴重だ。

写真にしても、まさか自分が撮る人になると思っていなかったから、きっかけがあれば活動の場が広がるのだな~と、我ながら感心してしまう。
ということは、今回の彩色体験は今後何かに役立つことがあるのだろうか。

あっという間に時が経ち、四天王像と飛天画のお納めの日が近づいている。
どんな場面に出会えるのか楽しみだ。