新JOOKOのふぉとエッセイ

     東海道53次探検ウォークや、四季折々の出来事
     そして仏像造顕所勢山社関連など、写真もお楽しみに♪

坪庭から白駒池へ(2)

2006-10-25 | ノンジャンル
麦草峠からは40分ほどで白駒池に到着。
紅や黄に染まった木々が湖面に映る美しさに、4時間近く歩いた疲れは一気に吹き飛んでしまった。


  

白駒池は一周しても30分ほどのこじんまりとした湖だが、標高2100m以上の湖としては日本最大の天然湖で、四方をシラビソやツガ・トウヒの原生林に囲まれている。

大木が光を遮り、もう4時近くという時間のせいもあるのかあたりは薄暗い。だが青々とした苔に覆われた樹林帯はなんともいえない雰囲気で、「森の精」というよりは「森の神」が住んでいる聖域・・・そんな厳粛な気持ちにさえさせてくれた。
    

毎年繰り返される季節の移り変わりだが、その年によって気候や天候がちがうのはもちろんのこと。週末になると雨ばかり・・・という年もあるし、台風が次々襲来した年もあった。
また、いくら天気に恵まれていても、どうしても時間が確保できないということもあるから、その点今年の秋は私にとって嬉しい滑り出し!

甘い香りに包まれての山歩きは、またしても私に何にも換えがたい幸福感をプレゼントしてくれた。

そうそう、“黄色いきのこのような植物の名前”は、「オニノメシカイかな~?自信がないから調べて」とガイドさん。
質問しそびれ解散になってしまい、半ばあきらめていたのに帰路につく直前にバッタリ!

樹木の寿命(シラビソ100年・シラカバ30年・ダケカンバ200年・ヤマザクラ200年・ソメイヨシノ50~80年)など、色々教えていただいて感謝です。

坪庭から白駒池へ(1)

2006-10-21 | ノンジャンル
前回の木曽方面ハイキングから一週間後、北八ヶ岳に訪れてしまった。
なんとういう贅沢な秋だろう!

目の前には大パノラマが広がり、北アルプスから中央アルプス、そして南アルプスまでもがはっきりと見えた。
北アルプスをはじめ乗鞍などはもう雪化粧をしている。
この季節これほどの山々と、こういう対面をしたことが無かったので、思い切って出かけてきて本当に良かったと思った。


ピラタス蓼科ロープウェイ山頂の坪庭は4年ほど前に、白駒池付近は去年の夏に訪れているが、坪庭から白駒池までを歩くのは今回が初めてだ。
しばらくして振り返ると、シラビソが帯状に枯れている珍しい様相の縞枯山が見えた。これは縞枯現象といい、そのメカニズムははっきりとはわかっていないようだが、何だか不思議な景観だ。
     

ふと「いいにおいがするな~」と思った。
今までの山歩きでは感じたことの無い甘い香りだ。あたりを見回しても花が咲いているわけではないので、ガイドさんに聞いてみたらシラビソなど針葉樹の香りとの事。昨日まで雨だったので、今日はいつもより香りが強いようだ。

良い香りと素晴らしい景色に恵まれ心はさらに浮き立つ。シラビソは枯れ果てた後自然のオブジェとなり、初夏に涼しげな花を咲かせるゴゼンタチバナも赤い実をつけ、私たちを楽しませてくれた。
    

ちなみに、シラビソの寿命は100年ほどだが、枯れた親木の近くで次の世代が順調に育っているのが何ともいえず愛おしい。

コースはほとんどが緩やかな下り坂。木の根と大きな石が入り混じり所々ぬかるんだところもあったが、木漏れ日に包まれた樹林帯は美しく、足場がわるいのはそれほど気にならなかった。
    

そういう道をさらに進み、最初の分岐「出会いの辻」に到着。
残念なことに、悪路なのでこれ以上山道を進めない・・・という人が出てしまい、添乗員さんが近道を集合場所まで案内することになった。

30名で出発したツアーだったが、最後尾を確認する人がいなくなったので、何故か私たちがその大役をおおせつかってしまう。
その理由は?写真を撮りながら進むので、毎度お馴染みのビリを競っていたからかも・・・?
う~ん、中々良い人選かもしれない。

いつのまにか自称写真班は最後尾にかたまり、それぞれがお気に入りの被写体にレンズを向けながら歩いている。
そのうちの一人が、黄色いきのこのようなものを見つけ教えてくれた。
なんだろう?見たことがないからあとでガイドさんに聞いてみよう。

歩き始めて約時間ほどが経ち、ようやく麦草峠に到着。一気に視界が開け、北八ヶ岳の一つの「茶臼山」が気持ちよく青空に映えていた。
    

木曽ヒノキ原生の森・瀬戸川ハイキング

2006-10-11 | ノンジャンル
昭和44年までの40年間森林鉄道が活躍していた瀬戸川沿いは、今にも森の精が現れそうな神秘的な雰囲気だった。

樹齢300年の木曽ヒノキをはじめとする木曽五木が生い茂る中、清らかな水の音を聞きながら、ところどころに架けられた丸木の橋を渡る・・・。
小雨が降っていたし、道幅は狭く滑りやすいところもあったので、時にはミニ探検隊?のような緊張感が漂った。


かつて森林鉄道が通っていた木橋は苔むし腐ってしまい、今はたったの2箇所しか残っていないが、それすらも今年の冬の雪の重みに耐えることが出来ないかもしれないとの事。

もうあの橋は見られない・・・そう思ったら、雨のため足元の心配があったりで写真を撮らなかったことが、大きな後悔となって私の胸に広がった。

ところで、木曾ヒノキと呼ばれるのは、樹齢150年以上の天然林(自然林)だけだそう。冬は雪で埋もれてしまう、厳しい木曽谷の自然環境の中で育ったヒノキは、成長が遅いため、年輪の幅が狭く良質なので大変に貴重で、伊勢神宮の御用材や国宝木造建造物などに使われているという。そういえば、佛師・勢山さんが制作する仏像の材の多くも木曽ヒノキのはず・・・。

木曽ヒノキは雨に洗われた緑の中で、さらにその存在を主張しているかのようだった。
    

途中林道に咲いていた花々なども可憐だ。
    
クサギ(赤い実が臭い) ノコンギク     ゴマナ(葉がゴマの葉に似ている)

小学生の頃だったろうか、「人は酸素を吸って二酸化炭素を吐き出し、樹木はその二酸化炭素を酸素に変えてくれる」と習った時、人は木が無くては生きていけないんだな~と子ども心に感じたことを、おぼろげに覚えている。

また山にはその地の「名水」が豊富に湧き出ている場所もあり、それを口にした時自然の恵みの有難さを感じても、水をいつも自由に使える事に対しては当たり前になっている日常。

普段何気なく使っている水・・・日本ではどこへ行っても水に困ることは無い。

ところが、現在森林は、農地開発などのための伐採で確実に減っていて、人が生きていく上で欠かせない、酸素と水の供給のバランスがくずれはじめているそうだ。
それが原因で地球温暖化になったり、水源地である山で土砂災害がおきるという悪循環・・・。

私は山が、森林が大好きだ。
森の中に身をおき、木々のざわめきや香り、そして吹き抜けてくる風を全身に感じた時、何とも言えない幸せな気分になり、同時に自分の表情が変るのがはっきり解る。
急な山道を歩き息があがり汗まみれになっても、その心地よさは何にも換えがたい。

この大切な森を守るために何が出来るだろう・・・。

森林や草花の名前などについて、熱心に説明してくれたガイドのNさんのお陰で、そんな事を考えさせられた一日だった。

秋を先取り!千畳敷カール

2006-10-07 | ノンジャンル
一足早い秋を楽しみたい・・・考えることは皆同じだった!

61人乗りの駒ケ岳ロープウェイ乗り場前は大勢の人で賑わい、順番待ちの整理券が配られている。
天気は曇り時々晴れ・・・気まぐれのように時々パラッと雨粒が落ちてさえくる。駒ケ岳を見上げると頂上付近には雲がかかっていた。
大丈夫かな~せっかくなのに・・・標高が高いので、時には霧で何も見られない日もあるというからちょっぴり心配。

ロープウェイは秒速7m(時速換算約20km)の速さで、2612mの千畳敷カールまで私たちを一気に運んでくれた。

目の前に青空が広がり、秋景色の宝剣岳や駒ケ岳などがはっきり見える。ああ良かった!
さすがに気温が低かったので、上着を重ねたが爽やかな風が心地良い。

遊歩道沿いには草紅葉も広がり、夏には白い可憐な花を咲かせるチングルマの群生が美しい色に染まっている。


しばらくすると、ものすごい勢いで霧(雲?)が立ち上って山肌を包み込み、時には真っ白な世界へ私たちを誘い込んだ。
そして次の瞬間には、山と青空と紅葉とのみごとなコントラストが現れる。

陽は西に傾き、なお刻々と変る景色。
一度訪れてみたいと思っていた千畳敷カールは、今年一番に秋の素晴らしさを満喫させてくれた。