新JOOKOのふぉとエッセイ

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仏像彫刻体験 小さなお地蔵さんにチャレンジ

2010-02-16 | 勢山社特派員だより


賑わいを見せる京都祇園町の奥深くに、臨済宗の古寺建仁寺があります。
境内の塔頭寺院両足院では、今冬「非公開寺院で大佛師と御佛のこころを彫る」と題し、大佛師の渡邊勢山師の指導で小さなお地蔵さんを彫る講座があるとの事なので訪ねてみる事にしました。

講座は京都市観光協会「京の冬の旅」の企画。2010年1月31日から、3月28日までの間、全7回(毎回日曜日)開講されるそうです。
http://www.sennen-kokoroe.jp/

両足院の書院が講座会場です。
机の上には、荒彫り済みのお地蔵さんと2本の彫刻刀、テキストやアンケートなどが並べられて準備完了。本堂での座禅が終わり、全員が席に着くといよいよ講座が始まりました。
勢山師から彫刻刀の持ち方や心構えなどの説明を受け、受講生はさっそく彫刻刀をにぎります。

実は私も彫刻を習い始めました。
今回の企画に向けて、初めて彫刻刀を持つ人がどの程度彫り進められるかをみるため、受講生の皆さんより一足先にお地蔵さんを彫っています。


小学生の時以来持つ彫刻刀に緊張でしたが、怪我だけは避けなければいけません。
お手本を見ながらまず角を削り、大まかな形を作ることから始めましたがさすがに難しい・・・当たり前ですね。

きっと私と同じ想いだったのでしょう。真剣な面持ちでそれぞれがお地蔵さんと向かいあう中、「ああ、筋が良いですね~、うまく彫れていますね」と、一人ひとりに声をかける勢山師のきさくさに、それまでの緊張感がとけ和やかな空気がながれはじめました。
視線を上げると目の前には京都府指定の名勝庭園が。贅沢な環境です。

「自分の身体を触ってみても角張っているところないでしょう?」「一部分だけを見てはダメですよ。縦横斜め、逆さにと色々な角度から観察してバランスを整えることが大切です」
アドバイスを受けながらの直接指導に、受講生は勢山師の手元を熱心に見つめます。
    

全員にいきわたるようにと、勢山師とお弟子さんが満遍なく回り手ほどきをしているうちに、あっという間に2時間半が過ぎました。
「途中はありません。現れたお姿が皆さんのお地蔵さんです」と勢山師。

削りかすの木片を、大切そうにビニール袋に入れて持ち帰ったお母さんと娘さん。雛形を買っていかれたご夫婦連れなど。
この体験をした方々は、家族や友人にどんなお土産話をするのでしょうか。

平刀や丸刀など5本セットの彫刻刀と荒彫り材を求められた男性は、仏像彫刻がこれからのライフワークになるのかもしれません。

一年前には考えてもいなかったことを経験したり、始めたりすることは誰にでもあるでしょう。
何かがきっかけとなり、自分の世界が広がったこともあるでしょう。

興味や関心を持つ心の求めるままに・・・この講座がそんな時間になれば、と勝手に思っている私です。

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