勢山社で修理が行われていた弘法大師像が、10月末に信貴のお山に戻られました。
久しぶりに訪れた信貴山でしたが、この日はあいにくの雨!
管長様の計らいで、山内用の小さな車が駐車場までお出迎えです。
弘法大師様と一緒に私もちゃっかりと同乗し成福院様へ向かいました。(勢山さん達は傘をさして・・・歩きです)
勢山さんは信貴山にて多くの尊像修理等をされているとの事。
特に塔頭寺院で大本山成福院には、三福神堂新作の八臂弁財天像や飛天図浮き彫り、そして数々の修復像を手掛けられています。
今回お納めした〝弘法大師像〟は寄木造り差し御首(みぐし)・玉眼の構造で、外見の損傷よりも内部の損傷が激しい状態だったとのこと。
分解後〝玉眼〟や木地を補強・交換し、仕上げは漆で麻布を固め強固な下地を造り、彩色して古色が施されました。
また、弘法さんの持ち物の五鈷杵を造り替えるにあたり、1400年の歴史を知る信貴山の霊木〝大かやの木〟を用いて制作されました。(聖徳太子もこの木に願いを託したそうです)
「パワー倍増です」と勢山さん。
生まれ変わった弘法さんに、管長さんも満足げなご様子でした。
信貴山の愛称で親しまれている朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)は、本邦最古と言っても良い仏教寺院です。
1400余年前〝物部守屋〟と〝聖徳太子〟との戦いはあまりにも有名で、そのとき太子軍を護ったのが、仏法守護神の四天王、毘沙門天でした。
以来、信ずるべき貴ぶべき山として多くの方々に信仰されています。
色づき始めた木々に囲まれた信貴山は凛としたたたずまい。
あいにくの雨で、山内の撮影ができなかったのが残念でなりませんでした。
ところで、以前に成福院弘法さんとツーショットの鎌倉蓮乗院弘法さんも分解されて修理が始まりました。
また、埼玉県金剛院大日如来像も仕上げの段階で誕生が近いようです。
誕生するお仏像と生まれ変わるお仏像。
どちらも長きにわたり人々を見守っていくのだと思うと、そういう場面にほんの少しでも関われることを大切に、そして感謝しなければと改めて思っています。
こうして綺麗に修復され後世に受け継がれていくんですね。
良く分からないながらも勉強になります。
時代を繋ぐ大切な役割を果たされているお仏像だからこそ、手を合わせ願いを託すことができるのだと思います。
そんな場面に、ほんの少しでも関われることが嬉しいです。