新JOOKOのふぉとエッセイ

     東海道53次探検ウォークや、四季折々の出来事
     そして仏像造顕所勢山社関連など、写真もお楽しみに♪

それぞれの場所へ戻られたお仏像

2012-12-28 | 勢山社特派員だより

12月10日はまさかの雪。
勢山社で修理が完了したお仏像のお納めの日、この冬初めての大雪に見舞われてしまいました。

納入の場所は琵琶湖の北、己高山の麓、おなじみの木之本町古橋地区です。
出発前の確認電話に対し笑い声で「ようけ降っとるよ」
さすが、雪に慣れた土地の人の言葉!

高速道路の除雪車に先導?され、迂回路を経てようやく到着。
11月末にはまだまだ紅葉が鮮やかだったのに、山里はハーブ畑も家々もすっかり雪に覆われていました。

古橋の皆さんは、今日もお揃いのはっぴ姿でお出迎え。
雪が降る中、帰って来られたお像をそれぞれのお堂へ手際よく運んでくれました。


当たり前のようなそんな姿からは、60歳を機に、全ての私事に優先しお仏像のお世話をしている人々の熱意が伝わってきます。

十二神将像をはじめ半丈六の大日如来像や阿弥陀如来像、そして今回の日光月光菩薩像など、ここ十数年に亘って行われてきた20体以上のお仏像の修理がひと段落したからか、みなさんには安どの表情もうかがわれました。

それぞれの修理に対し、勢山さんから丁寧な説明があるのはいつもの事ですが、修理経過見学会で何回も勢山社を訪れているからでしょうか、お互いのさりげないやり取りに親しみを感じました。


そういう場面に同席させてもらっている私も、いつの間にか顔見知りが増えお里帰りをしたような気分です。

いつの間にか雪が止み、明るい陽射しが差し込んでいます。
雪の日の納入は心温まる一日となりました。

        ~・~・~・~・~・~・~・

そして12月18日、弘法大師像が一年ぶりに神戸の須磨寺へ帰られました。

平成16年に勢山さんが造顕した本堂安置の「六観音像」は、彩色・截金が施されそれはそれは美しいお像で、これがご縁となり弘法さんの修復を依頼されたとのこと。

お納めはもちろん、儀式などが行われる日に一番気になるのはやはりお天気。この日の出発時は残念ながら雨降りでした。
大師堂までは急坂を上るため、弘法さんに乗っていただく御輿を用意していても悪天候だと何かと心配です。

ところが須磨寺に到着すると雨が止んだではありませんか。
到着を待ち構えていてくれた方曰く「つい先ほどまで大雨だったんですよ」「お大師様にはいつも守っていただいています」と感激の面持ち。
おかげで無事に急坂を上ることができました。

 


大師堂は毎週日曜日に開扉され、多くの方のお参りがあるとの事。
そういえば、先ほどの方はボランティアで参道のお掃除をされていると言っていました。

お寺や個人と立場はそれぞれですが、守り護られるという気持ちに違いはないのだと思います。
そんな想いに共感し最善をつくして修復に努めるという勢山さん。
大切なのは、お互いの想いを共有する信頼関係だとつくづくです。

師走に行われた二か所へのお仏像のお納めは、この一年の締めくくりにふさわしい感激の日々となりました。


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