曇ったガラスを拭いて外を見ると白銀の世界。
朝から降り続いている雪は一向に止む様子がなく、おまけに北風に巻き上げられ寒さを増幅させているようだ。
いつもだったら珍しい雪景色にウズウズし、カメラを持って飛び出すのだけれど、あまりの悪天候に今日は家でおとなしくすることに。
そういえば、2週間前は勢山社佛像彫刻展の真っ最中だったが、会期中は天気も良く暖かかったので本当に助かった。
何しろ勢山社の工房は、琵琶湖の近くといっても少し山間にあるので雪が降るとまず除雪をして・・・と仕事が増えるそうだ。
まして展覧会となると、お仏像や展示物などをトラックに積み込み数台で長距離移動になるから、道中の心配に加え天気の心配まで加わると、現地で待つ身としてはハラハラせざるをえない。
実は勢山さんは藤沢生まれ。
弟子時代を含めて彫像歴40年というから、関西在住が、とっくに故郷で過ごした時間を超えてしまっていても、記念すべき展覧会は藤沢でという思いがあったようだ。
念願が叶い、藤沢での「勢山社佛像彫刻展」は、“藤沢に縁ある佛さま”というテーマの下開催された。
藤沢界隈の寺院にお納めしたお仏像はもちろん、初公開となった弟子入り前の勢山さんの作品を始め、弟子時代に友人に贈ったお祝いのお像や、個人にお納めしたお仏像も勢揃い。
それぞれのお仏像の前で、持ち主さんたちが誇らしげに説明などをしている姿を見ると、寺院はもちろん、各家庭でお仏像たちが大切にされていることが良くわかる。
そんな光景の中、勢山さんも興奮気味で嬉しそう。
制作年代順に並べられたお仏像たちに対面でき、懐かしさでいっぱいだったようだ。
会場内は始終和やかだ。
勢山さんの周りには人垣ができ、ほぼ一日熱心に説明を聞いてくれていた方もいたとのこと。
連日来場してくれた人や、遠くは大阪から駆けつけてくれた方もいて、主催者にとってこれほど嬉しいことはないと勢山さん。
いつものことだが、勢山社佛像彫刻展には多くの協力者が欠かせない。
会場作りと搬入、当日の役割、そして搬出と後片付けなど、延べ200人以上の方たちが集まり力を貸してくれている。
私もこの日のためにスタンバッて、負けずに働くつもりがインフルエンザでまさかのダウン!
残念なことに搬入の手伝いはできなかった。
どうにか当日までにはギリギリ回復したもののやはり本調子ではない。
けれど、せめて写真だけは・・・だった。
1500人近い入場者で賑わい、あっという間に3日間が終わりもう2週間近くが過ぎてしまったが、思いがけない大雪→家籠りで写真の整理などをしながら、あの日を懐かしんだ。
そして大雪の翌日、サラサラな雪を踏みしめながらちょこっと散歩を。
あいにく富士山の姿は見られなかったが、雪化粧をした大山が清々しい!
いつもと違う空間に見とれながらあまりの雪の多さに、明日は仕事で足元が心配・・・と、ちょっと現実的になりかかったけれど、せっかくだからこの雪景色を楽しもう!と思い直し、足を先に延ばした。