横情審答申第768号
平成22年3月5日
横浜市教育委員会 様
横浜市情報公開・個人情報保護審査会
会 長 三 辺 夏 雄
横浜市の保有する情報の公開に関する条例第19条第1項の規定に基づく諮問について(答申)
平成21年10月28日教小中第3125号による次の諮問について、別紙のとおり答申します。
「平成21年度全国学力・学習状況調査の各学校の結果」の非開示決定に対する異議申立てについての諮問
別 紙
答 申
1 審査会の結論
横浜市教育委員会が、「平成21年度全国学力・学習状況調査の各学校の結果」を非開示とした決定は、妥当ではなく、開示すべきである。
2 異議申立ての趣旨
本件異議申立ての趣旨は、「平成21年度全国学力・学習状況調査の各学校の結果」(以下「本件申立文書」という。)の開示請求に対し、横浜市教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成21年9月10日付で行った非開示決定(以下「本件処分」という。)の取消しを求めるというものである。
3 実施機関の非開示理由説明要旨
本件申立文書については、横浜市の保有する情報の公開に関する条例(平成12年2月横浜市条例第1号。以下「条例」という。)第7条第2項第6号に該当するため非開示としたものであって、その理由は次のように要約される。
(1) 本件申立文書は、一般に公開されることになると、序列化や過度な競争が生じるおそれや国民的な理解が得られなくなるなど正確な情報が得られない可能性が高くなり、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられる。
(2) 全国学力・学習状況調査(以下「全国調査」という。)は、文部科学省が年度ごとに作成する全国学力・学習状況調査に関する実施要領(以下「実施要領」という。)に基づいて行われているものであり、「平成21年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領」(平成20年文部科学事務次官決定)では「7.調査結果の取扱い」の「(5)調査結果の取扱いに関する配慮事項」において、「イ ・・・市町村教育委員会は、域内の学校の状況について個々の学校名を明らかにした公表は行わないこと」とあり、また、「9.留意事項」の「(8)調査により得られる調査結果の取扱い」においては、「イ 教育委員会等においても、・・・情報の開示により調査の適正な遂行に支障を及ぼすことのないよう、本実施要領の趣旨を十分踏まえ、適切に対応する必要があること。」とある。なお、「平成21年度全国学力・学習状況調査の結果の取扱いについて(通知)」(平成21年8月24日21文科初第6682号。以下「通知」という。)の中では「1 基本的な考え方」において「本調査に参加・協力した教育委員会は、実施要領を前提として調査に参加・協力したものであり、調査結果の取扱いについては実施要領に基づいて行うこと。」とされているほか、上記と同趣旨の内容が繰り返しうたわれている。
(3) 異議申立人(以下「申立人」という。)は、学校別の調査結果を「一般に公開」している自治体が幾つもあると主張しているが、実施機関が把握している範囲では、そのような自治体はごく一部である。
(4) 申立人は、「10月末までに・・・今後の改善策について数値を用いるなどして保護者等に具体的に分かりやすく説明するように学校に対し数値公表を勧めているのである」と述べている。確かに「平成21年度 全国学力・学習状況調査結果の提供・公表日について(通知)」(平成21年8月13日教小中第2167号。以下「小中学校教育課長通知」という。)によって、各学校へは、全国調査の調査結果を「数値を用いてわかりやすく説明してください」と指示しているが、ここでいう数値とは必ずしも国語A・B、算数(中学校では数学)A・Bといった調査区分ごとの結果に限るものではなく、設問ごとの正答率や全国平均正答率との差、あるいは当該校での昨年度との差などの数値も含まれるものであって、一律に同じ数値の公表を求めている訳ではない。
4 申立人の本件処分に対する意見
申立人が、異議申立書及び意見書において主張している本件処分に対する意見は、次のように要約される。
(1) 本件処分の取消しを求める。
(2) 教育委員会や学校は、調査結果の数値を固定的なものと捉えるのではなく、変化するものとして考え、調査結果を活用して教育施策や教育内容の改善を図ることで、学校間や地域間の学力差の縮小解消をねらい、全体の学力向上を達成するべきであるし、それが全国調査の目的と考えられる。そうすると、文部科学省や実施機関が、調査結果の数値が固定され「序列化」されていくとして、本件申立文書を非開示とする根拠は怪しいものである。
(3) 「過度な競争」とは、保護者等が学校に対して調査結果の数値を上げるよう理不尽な要求をし、その結果学校がテスト対策に走った挙げ句不正行為を働くというような事態を想定しているとも考えられるが、実際に市内において「過度な競争」が生じている実例は報告されているのか。「過度な競争」が生じている具体的事例がなく、単に予想されるということのみを理由としてあげたのであれば、これは「知る権利」に対する甚だしい侵害である。
(4) 全国には、調査結果を一般に公開している自治体がいくつもある。これらの地域で、「序列化」や「過度な競争」が実際に起きているという情報を実施機関は把握しているのか。申立人は、全国調査の遂行に支障を及ぼす具体的な報告がされたとは聞いていない。本件申立文書を非開示とするなら、法的保護にあたる「おそれ」が生じた事実を実施機関は示すべきである。実施機関は、「対象行政文書は一般に公開されると調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」としているが、何ら具体的な根拠を示していない。
(5) 実施機関は、実施要領にも学校別の結果について公開しない旨がうたわれていると主張する。しかし、平成21年10月2日に鳥取地方裁判所は、「08年度全国学力・学習状況調査」のデータを非開示とした鳥取県教育委員会の処分を取り消したが、その判決文で、文部科学省の実施要領を非開示の理由としたことが誤りであることを指摘している(鳥取地判平成20年(行ウ)第2号。以下「鳥取地裁判決」という。)。
(6) 実施機関は、小中学校教育課長通知で学校に数値公表を勧め、市会での答弁で教育長が学校側に平均正答率の公表を勧めたことをはっきりと認めている。これを受けて相当数の学校が、保護者へ向けた学校便り等で、自校結果の数値を公表しており、しかも、その大半の学校が自校のホームページ上に、この数値を掲載している。
そのうち半数程度は各教科の平均正答率を公表している。実施機関が非開示の根拠とする実施要領には、「学校が、保護者や地域住民に対して説明責任を果たすため、自校の結果を公表することについては、それぞれの判断にゆだねること」と書かれている。真に実施要領を守るのなら、このような数値の公表を勧めることは完全に矛盾であり、実施機関の行っていることに一貫性は全く感じられない。
5 審査会の判断
(1) 全国学力・学習状況調査について
全国調査は、文部科学省が平成19年度から実施している調査であり、平成21年度の実施要領によればその目的は次のとおりとされている。
ア 国が、全国的な義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、各地域における児童生徒の学力や学習状況をきめ細かく把握・分析することにより、教育及び教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。
イ 各教育委員会、学校等が、全国的な状況との関係において自らの教育及び教育施策の成果と課題を把握し、その改善を図るとともに、そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。
ウ 各学校が、各児童生徒の学力や学習状況を把握し、児童生徒への教育指導や学習状況の改善等に役立てる。
横浜市では、実施要領に基づき、横浜市立小学校6年生及び中学校3年生の教科に関する調査等を行っている。
(2) 本件申立文書について
本件申立文書は、平成21年度に実施された全国調査に係る横浜市内の市立小中学校の調査結果について、文部科学省が集計して実施機関に提供した次の書類である。
ア 平成21年度全国学力・学習状況調査 調査結果概況[国語A:主として知識]
イ 平成21年度全国学力・学習状況調査 調査結果概況[国語B:主として活用]
ウ 平成21年度全国学力・学習状況調査 調査結果概況[算数A:主として知識]
エ 平成21年度全国学力・学習状況調査 調査結果概況[算数B:主として活用]
オ 平成21年度全国学力・学習状況調査 調査結果概況[数学A:主として知識]
カ 平成21年度全国学力・学習状況調査 調査結果概況[数学B:主として活用]
なお、本件申立文書は、学校別に作成されており、平均正答率のほか、児童数(又は生徒数)、平均正答数、中央値、標準偏差、正答数分布グラフ及び正答数集計値が記載されており、それぞれについて神奈川県内及び全国の公立学校の平均と比較できるような構成となっている。
(3) 条例第7条第2項第6号の該当性について
ア 条例第7条第2項第6号では、「市の機関・・・が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、・・・当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」については、開示しないことができると規定している。
イ 実施機関は、本件申立文書を一般に公開すると、序列化や過度の競争が生じるおそれや国民的な理解が得られなくなるなど正確な情報が得られない可能性が高くなり、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、本号に該当し、非開示としたと主張しているので、当審査会では、平成22年1月8日に実施機関から事情聴取を行ったところ、次のとおり説明があった。
(ア) 各校の平均正答率を公にすると、学校間の格差が明らかになる。全国調査での成績は、保護者の所得や教育に対する姿勢と相関関係があると考えられることから、学校間の格差から地域間の格差が明確になる。そうすると、次のような支障が考えられる。
まず、成績下位校の児童生徒は自らの学校に誇りをもてなくなる。そのことにより、児童生徒の精神面に少なからず影響を与え、その健全な成長を阻害する。さらに、成績下位校の児童生徒は、生涯差別的な境遇におかれ、様々な場面で理不尽な思いをすることになる。
次に、所得の高い家庭は、成績上位校のある地域を選んで異動してくるようになり、ひいては不動産価格にも影響する。地域間格差が時間をかけてさらに助長され、地域社会の崩壊をもたらし、横浜の発展にとって障害となる。
(イ) 過度な競争とは、学校が点数主義になってしまうことだと考える。学校に成績向上のための有形無形の圧力がかかることが想像される。他都市では、教員が成績の悪い児童生徒に受検させないといった事例が、現実に発生している。
(ウ) 平成22年度から全国調査は抽出調査となるが、そうであっても、一定の範囲で順位付けすることにより、序列化や過度な競争のおそれがある。また、横浜市では、横浜市学習状況調査という独自の学力調査を市内公立小中学校の全学年を対象として悉皆で行っており、全国調査が抽出調査となった後も、引き続き全ての市内公立小中学校を順位付けすることが可能である。
(エ) 学校便りやホームページで学校別平均正答率を公表している学校は全体の一部であり、特に成績下位校での公表が少ないこともあって、現在公表している範囲の情報から序列化等の問題が生じているとは考えていない。
(オ) 鳥取県では、鳥取県情報公開条例(平成12年鳥取県条例第2号)を改正して全国調査の調査結果を開示しているが、同条例第18条の2で「学校の序列化、過度の競争等が生じることのないように当該全国学力調査情報を使用しなければならない。」と定めており、開示した調査結果が順位付けされてインターネット上に公開された場合は、当該条項を根拠に行政指導できるため、横浜市とは状況が異なる。
(カ) 他都市等の答申では調査結果開示の判断に至ったものがいくつかあるが、春日井市情報公開・個人情報保護審査会答申(平成20年11月10日諮問第10号)については、実施機関としては、毎年度調査結果を積み重ねると学校間格差が顕となってしまうのではないかと懸念している。また、埼玉県情報公開審査会答申(平成20年12月24日答申第135号)については、はっきりと全部開示とはされておらず、埼玉県教育委員会に裁量の余地を残している。
(キ) 京都府情報公開審査会答申(平成21年11月25日答申第70号。以下「京都府答申」という。)では、「学力が当該地域の経済的・社会的・文化的条件にかかわるものと捉えられることにより、平均正答率等の低い地域への偏見・差別を助長するおそれがある。」と判断しているが、学校の格差がそのまま地域格差につながることや地域格差を明らかにすることで偏見・差別を助長することなど、実施機関の考えと同様である。
(ク) 全国調査の調査結果を全校分公表している自治体としては、宇都宮市と墨田区があげられる。前者については、「話すこと・聞くこと」や「読むこと」といった分類別の平均正答率を公表しているものの、科目ごとの平均正答率を公表していないため、支障は少ないと考える。一方で、後者については、各校の科目ごとの平均正答率がそのまま公表されている。実施機関としては、将来このような情報が順位付けされてインターネット上に公開されて、子供の健全な発達の障害になることや、地域行政の崩壊につながりかねないと懸念している。
ただし、現時点で具体的に行政運営に支障があったという話は聞いていない。
ウ 当審査会は、以上を踏まえ、次のように判断する。
(ア) 実施機関は、実施要領には市町村教育委員会が個々の学校名を明らかにした公表は行わないよう求める記述があることを説明し、国会等での議論を踏まえて作成された実施要領の趣旨に反して本件申立文書を開示すれば、全国調査の実施方法に対する国民的な理解が得られなくなり、その結果、調査の適正な遂行に支障を及ぼすと主張するので、この点を検討する。
文部科学省は、全国調査の実施及び調査結果の提供に先立ち、実施要領及び通知を通じて、「市町村教育委員会は、域内の学校の状況について個々の学校名を明らかにした公表は行わないこと」を求めている。また、情報公開請求に対する対応としては、「文部科学省は、・・・行政機関の保有する情報の公開に関する法律第5条第6号の規定を根拠として同法における不開示情報として取り扱うこととする」ことを参考に、教育委員会等においても、「それぞれの地方公共団体の情報公開条例の同様の規定を根拠として、情報の開示により調査の適正な遂行に支障を及ぼすことのないよう、本実施要領の趣旨を十分に踏まえ、適切に対応する」ことを要請している。通知には、「国が行う本調査の結果の公表・情報公開については、これまでも国会等で広く議論が行われてきたところであり・・・」との記述があり、通知の添付資料である「別添2 調査結果の公表・情報公開に関する国会での主な質疑内容」及び「別添3 調査結果の公表・情報公開に関する中央教育審議会の答申等の記述」から、実施要領が作成された背景には、国会や審議会等において、全国調査の調査結果が公表されることにより序列化や過度な競争につながらないよう特段の配慮が必要であるとの議論が行われてきたことがうかがわれる。
しかし、実施要領には何ら法的拘束力はなく、鳥取地裁判決も指摘するように、「実施要領や国会等での議論があったからといって、これらにより学力テストの市町村別・学校別結果が公開されないことに対する(国会に代表される)国民の信頼が形成されていたとはいえず、仮に形成されていたとしても正当な信頼には当たらない」のであって、調査結果を「開示することにより、一般国民の信頼が損なわれるということは考えにくい」と認められる。
結局、実施要領等で調査結果を開示しないよう文部科学省から要請されていたとしても、横浜市の制度である条例の非開示事由である本号の解釈を左右するものではなく、条例に基づく開示請求について、条例上の非開示事由に該当するか検討した結果、横浜市の結論が実施要領と異なったものになったとしても、そのことのみをもって国民的な理解が得られなくなり、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとはいえない。
(イ) 実施機関は、本件申立文書を開示することによって、序列化や過度な競争が生じるおそれがあり、その結果、地域社会が崩壊したり成績下位校の児童生徒が生涯差別的な境遇におかれるといった支障が生ずるなどと主張するので、この点を検討する。
実施機関が説明する支障の例は、個々の因果関係自体は必ずしもあり得ないとまではいえない。しかし、説明全体としては、多数の因果関係をそれぞれの事象が発生する蓋然性を捨象して連鎖させることによって導かれ得る可能性のひとつを述べているに過ぎず、その結論自体がやや極端なこともあって、およそ具体的かつ合理的な説明とは認められない。
他の教育委員会において調査結果を公表又は開示している事例があるにもかかわらず、その結果として、序列化や過度な競争が生じて、全国調査の適正な遂行に具体的な支障があったということが報告されていないことも、実施機関の説明するおそれが、抽象的な可能性の指摘にとどまることを示している。
なお、実施機関の説明では、市内において、学年便り等やホームページによって科目ごとの平均正答率等を公表している学校が一定数存在するが、そのことによって具体的な支障は生じていないとのことであり、この点について実施機関に確認したところ、実施要領で「学校が、・・・自校の結果を公表することについては、それぞれの判断にゆだねること」とされているため公表しても問題はないとのことであった。しかし、複数の学校が自校の調査結果を公表すればその範囲で順位付けが可能であり、このことは平成22年度に抽出調査となった後も全国調査の調査結果を開示することができない理由として実施機関自身が説明している理由のひとつでもある。自校の調査結果を公表している学校が市内公立学校全体に占める割合は、抽出調査の対象となる学校が市内公立学校全体に占める割合と大きな差がないことからも、実施機関の説明が一貫性のあるものとは考えられない。
(ウ) 実施機関は、他都市における事例を取り上げて自らの主張を補強しているので、特に取り上げるべき点について検討する。
鳥取県では、鳥取県情報公開条例第18条の2で「学校の序列化、過度の競争等が生じることのないように当該全国学力調査情報を使用しなければならない。」と定めている。その趣旨は、調査結果が原則として開示されることを前提として、開示決定を受けた者に調査結果に係る情報を適切に使用することを求めるものと解されるが、当該規定が非開示情報を定めた同条例第9条第2項各号とは別の条文に置かれていることからも明らかなように、それ自体が非開示情報に係る判断基準ではない。
京都府答申については、調査結果について非開示の結論を導いており、その背景には答申が指摘するような「経済的・社会的・文化的条件」に対する配慮がうかがわれる。しかし、横浜市において京都府と同様の条件が存在し、かつ、本件申立文書の開示によってそのような条件の存在が顕在化することによって偏見・差別を助長することについて、実施機関から具体的な説明がない以上、京都府答申同様の非開示理由を採ることはできない。
(エ) なお、実施機関は、他都市において、教員が成績の悪い児童生徒に受検させない等といった事件があった旨説明しているが、そもそも公務員は法と良心に従い誠実に職務にあたることが強く求められるのであって、本号の「おそれ」の判断にあたっては、そのような公務員が不正を行うおそれを強調することは、たとえそのようなおそれの存在を否定できないとしても、およそ許されないというべきである。
(オ) したがって、本件申立文書を開示すると序列化や過度の競争が生じるおそれや国民的な理解が得られなくなるなど正確な情報が得られない可能性が高くなり、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとの実施機関の主張を認めることはできず、本件申立文書はその全部が本号に該当しない。
(4) 結論
以上のとおり、実施機関が本件申立文書を条例第7条第2項第6号に該当するとして非開示とした決定は、妥当ではなく、開示すべきである。
(第三部会)
委員 藤原静雄、委員 青木孝、委員 早坂禧子
《 参 考 》
審査会の経過
平成22年3月5日
横浜市教育委員会 様
横浜市情報公開・個人情報保護審査会
会 長 三 辺 夏 雄
横浜市の保有する情報の公開に関する条例第19条第1項の規定に基づく諮問について(答申)
平成21年10月28日教小中第3125号による次の諮問について、別紙のとおり答申します。
「平成21年度全国学力・学習状況調査の各学校の結果」の非開示決定に対する異議申立てについての諮問
別 紙
1 審査会の結論
横浜市教育委員会が、「平成21年度全国学力・学習状況調査の各学校の結果」を非開示とした決定は、妥当ではなく、開示すべきである。
2 異議申立ての趣旨
本件異議申立ての趣旨は、「平成21年度全国学力・学習状況調査の各学校の結果」(以下「本件申立文書」という。)の開示請求に対し、横浜市教育委員会(以下「実施機関」という。)が平成21年9月10日付で行った非開示決定(以下「本件処分」という。)の取消しを求めるというものである。
3 実施機関の非開示理由説明要旨
本件申立文書については、横浜市の保有する情報の公開に関する条例(平成12年2月横浜市条例第1号。以下「条例」という。)第7条第2項第6号に該当するため非開示としたものであって、その理由は次のように要約される。
(1) 本件申立文書は、一般に公開されることになると、序列化や過度な競争が生じるおそれや国民的な理解が得られなくなるなど正確な情報が得られない可能性が高くなり、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられる。
(2) 全国学力・学習状況調査(以下「全国調査」という。)は、文部科学省が年度ごとに作成する全国学力・学習状況調査に関する実施要領(以下「実施要領」という。)に基づいて行われているものであり、「平成21年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領」(平成20年文部科学事務次官決定)では「7.調査結果の取扱い」の「(5)調査結果の取扱いに関する配慮事項」において、「イ ・・・市町村教育委員会は、域内の学校の状況について個々の学校名を明らかにした公表は行わないこと」とあり、また、「9.留意事項」の「(8)調査により得られる調査結果の取扱い」においては、「イ 教育委員会等においても、・・・情報の開示により調査の適正な遂行に支障を及ぼすことのないよう、本実施要領の趣旨を十分踏まえ、適切に対応する必要があること。」とある。なお、「平成21年度全国学力・学習状況調査の結果の取扱いについて(通知)」(平成21年8月24日21文科初第6682号。以下「通知」という。)の中では「1 基本的な考え方」において「本調査に参加・協力した教育委員会は、実施要領を前提として調査に参加・協力したものであり、調査結果の取扱いについては実施要領に基づいて行うこと。」とされているほか、上記と同趣旨の内容が繰り返しうたわれている。
(3) 異議申立人(以下「申立人」という。)は、学校別の調査結果を「一般に公開」している自治体が幾つもあると主張しているが、実施機関が把握している範囲では、そのような自治体はごく一部である。
(4) 申立人は、「10月末までに・・・今後の改善策について数値を用いるなどして保護者等に具体的に分かりやすく説明するように学校に対し数値公表を勧めているのである」と述べている。確かに「平成21年度 全国学力・学習状況調査結果の提供・公表日について(通知)」(平成21年8月13日教小中第2167号。以下「小中学校教育課長通知」という。)によって、各学校へは、全国調査の調査結果を「数値を用いてわかりやすく説明してください」と指示しているが、ここでいう数値とは必ずしも国語A・B、算数(中学校では数学)A・Bといった調査区分ごとの結果に限るものではなく、設問ごとの正答率や全国平均正答率との差、あるいは当該校での昨年度との差などの数値も含まれるものであって、一律に同じ数値の公表を求めている訳ではない。
4 申立人の本件処分に対する意見
申立人が、異議申立書及び意見書において主張している本件処分に対する意見は、次のように要約される。
(1) 本件処分の取消しを求める。
(2) 教育委員会や学校は、調査結果の数値を固定的なものと捉えるのではなく、変化するものとして考え、調査結果を活用して教育施策や教育内容の改善を図ることで、学校間や地域間の学力差の縮小解消をねらい、全体の学力向上を達成するべきであるし、それが全国調査の目的と考えられる。そうすると、文部科学省や実施機関が、調査結果の数値が固定され「序列化」されていくとして、本件申立文書を非開示とする根拠は怪しいものである。
(3) 「過度な競争」とは、保護者等が学校に対して調査結果の数値を上げるよう理不尽な要求をし、その結果学校がテスト対策に走った挙げ句不正行為を働くというような事態を想定しているとも考えられるが、実際に市内において「過度な競争」が生じている実例は報告されているのか。「過度な競争」が生じている具体的事例がなく、単に予想されるということのみを理由としてあげたのであれば、これは「知る権利」に対する甚だしい侵害である。
(4) 全国には、調査結果を一般に公開している自治体がいくつもある。これらの地域で、「序列化」や「過度な競争」が実際に起きているという情報を実施機関は把握しているのか。申立人は、全国調査の遂行に支障を及ぼす具体的な報告がされたとは聞いていない。本件申立文書を非開示とするなら、法的保護にあたる「おそれ」が生じた事実を実施機関は示すべきである。実施機関は、「対象行政文書は一般に公開されると調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」としているが、何ら具体的な根拠を示していない。
(5) 実施機関は、実施要領にも学校別の結果について公開しない旨がうたわれていると主張する。しかし、平成21年10月2日に鳥取地方裁判所は、「08年度全国学力・学習状況調査」のデータを非開示とした鳥取県教育委員会の処分を取り消したが、その判決文で、文部科学省の実施要領を非開示の理由としたことが誤りであることを指摘している(鳥取地判平成20年(行ウ)第2号。以下「鳥取地裁判決」という。)。
(6) 実施機関は、小中学校教育課長通知で学校に数値公表を勧め、市会での答弁で教育長が学校側に平均正答率の公表を勧めたことをはっきりと認めている。これを受けて相当数の学校が、保護者へ向けた学校便り等で、自校結果の数値を公表しており、しかも、その大半の学校が自校のホームページ上に、この数値を掲載している。
そのうち半数程度は各教科の平均正答率を公表している。実施機関が非開示の根拠とする実施要領には、「学校が、保護者や地域住民に対して説明責任を果たすため、自校の結果を公表することについては、それぞれの判断にゆだねること」と書かれている。真に実施要領を守るのなら、このような数値の公表を勧めることは完全に矛盾であり、実施機関の行っていることに一貫性は全く感じられない。
5 審査会の判断
(1) 全国学力・学習状況調査について
全国調査は、文部科学省が平成19年度から実施している調査であり、平成21年度の実施要領によればその目的は次のとおりとされている。
ア 国が、全国的な義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、各地域における児童生徒の学力や学習状況をきめ細かく把握・分析することにより、教育及び教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。
イ 各教育委員会、学校等が、全国的な状況との関係において自らの教育及び教育施策の成果と課題を把握し、その改善を図るとともに、そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。
ウ 各学校が、各児童生徒の学力や学習状況を把握し、児童生徒への教育指導や学習状況の改善等に役立てる。
横浜市では、実施要領に基づき、横浜市立小学校6年生及び中学校3年生の教科に関する調査等を行っている。
(2) 本件申立文書について
本件申立文書は、平成21年度に実施された全国調査に係る横浜市内の市立小中学校の調査結果について、文部科学省が集計して実施機関に提供した次の書類である。
ア 平成21年度全国学力・学習状況調査 調査結果概況[国語A:主として知識]
イ 平成21年度全国学力・学習状況調査 調査結果概況[国語B:主として活用]
ウ 平成21年度全国学力・学習状況調査 調査結果概況[算数A:主として知識]
エ 平成21年度全国学力・学習状況調査 調査結果概況[算数B:主として活用]
オ 平成21年度全国学力・学習状況調査 調査結果概況[数学A:主として知識]
カ 平成21年度全国学力・学習状況調査 調査結果概況[数学B:主として活用]
なお、本件申立文書は、学校別に作成されており、平均正答率のほか、児童数(又は生徒数)、平均正答数、中央値、標準偏差、正答数分布グラフ及び正答数集計値が記載されており、それぞれについて神奈川県内及び全国の公立学校の平均と比較できるような構成となっている。
(3) 条例第7条第2項第6号の該当性について
ア 条例第7条第2項第6号では、「市の機関・・・が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、・・・当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」については、開示しないことができると規定している。
イ 実施機関は、本件申立文書を一般に公開すると、序列化や過度の競争が生じるおそれや国民的な理解が得られなくなるなど正確な情報が得られない可能性が高くなり、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、本号に該当し、非開示としたと主張しているので、当審査会では、平成22年1月8日に実施機関から事情聴取を行ったところ、次のとおり説明があった。
(ア) 各校の平均正答率を公にすると、学校間の格差が明らかになる。全国調査での成績は、保護者の所得や教育に対する姿勢と相関関係があると考えられることから、学校間の格差から地域間の格差が明確になる。そうすると、次のような支障が考えられる。
まず、成績下位校の児童生徒は自らの学校に誇りをもてなくなる。そのことにより、児童生徒の精神面に少なからず影響を与え、その健全な成長を阻害する。さらに、成績下位校の児童生徒は、生涯差別的な境遇におかれ、様々な場面で理不尽な思いをすることになる。
次に、所得の高い家庭は、成績上位校のある地域を選んで異動してくるようになり、ひいては不動産価格にも影響する。地域間格差が時間をかけてさらに助長され、地域社会の崩壊をもたらし、横浜の発展にとって障害となる。
(イ) 過度な競争とは、学校が点数主義になってしまうことだと考える。学校に成績向上のための有形無形の圧力がかかることが想像される。他都市では、教員が成績の悪い児童生徒に受検させないといった事例が、現実に発生している。
(ウ) 平成22年度から全国調査は抽出調査となるが、そうであっても、一定の範囲で順位付けすることにより、序列化や過度な競争のおそれがある。また、横浜市では、横浜市学習状況調査という独自の学力調査を市内公立小中学校の全学年を対象として悉皆で行っており、全国調査が抽出調査となった後も、引き続き全ての市内公立小中学校を順位付けすることが可能である。
(エ) 学校便りやホームページで学校別平均正答率を公表している学校は全体の一部であり、特に成績下位校での公表が少ないこともあって、現在公表している範囲の情報から序列化等の問題が生じているとは考えていない。
(オ) 鳥取県では、鳥取県情報公開条例(平成12年鳥取県条例第2号)を改正して全国調査の調査結果を開示しているが、同条例第18条の2で「学校の序列化、過度の競争等が生じることのないように当該全国学力調査情報を使用しなければならない。」と定めており、開示した調査結果が順位付けされてインターネット上に公開された場合は、当該条項を根拠に行政指導できるため、横浜市とは状況が異なる。
(カ) 他都市等の答申では調査結果開示の判断に至ったものがいくつかあるが、春日井市情報公開・個人情報保護審査会答申(平成20年11月10日諮問第10号)については、実施機関としては、毎年度調査結果を積み重ねると学校間格差が顕となってしまうのではないかと懸念している。また、埼玉県情報公開審査会答申(平成20年12月24日答申第135号)については、はっきりと全部開示とはされておらず、埼玉県教育委員会に裁量の余地を残している。
(キ) 京都府情報公開審査会答申(平成21年11月25日答申第70号。以下「京都府答申」という。)では、「学力が当該地域の経済的・社会的・文化的条件にかかわるものと捉えられることにより、平均正答率等の低い地域への偏見・差別を助長するおそれがある。」と判断しているが、学校の格差がそのまま地域格差につながることや地域格差を明らかにすることで偏見・差別を助長することなど、実施機関の考えと同様である。
(ク) 全国調査の調査結果を全校分公表している自治体としては、宇都宮市と墨田区があげられる。前者については、「話すこと・聞くこと」や「読むこと」といった分類別の平均正答率を公表しているものの、科目ごとの平均正答率を公表していないため、支障は少ないと考える。一方で、後者については、各校の科目ごとの平均正答率がそのまま公表されている。実施機関としては、将来このような情報が順位付けされてインターネット上に公開されて、子供の健全な発達の障害になることや、地域行政の崩壊につながりかねないと懸念している。
ただし、現時点で具体的に行政運営に支障があったという話は聞いていない。
ウ 当審査会は、以上を踏まえ、次のように判断する。
(ア) 実施機関は、実施要領には市町村教育委員会が個々の学校名を明らかにした公表は行わないよう求める記述があることを説明し、国会等での議論を踏まえて作成された実施要領の趣旨に反して本件申立文書を開示すれば、全国調査の実施方法に対する国民的な理解が得られなくなり、その結果、調査の適正な遂行に支障を及ぼすと主張するので、この点を検討する。
文部科学省は、全国調査の実施及び調査結果の提供に先立ち、実施要領及び通知を通じて、「市町村教育委員会は、域内の学校の状況について個々の学校名を明らかにした公表は行わないこと」を求めている。また、情報公開請求に対する対応としては、「文部科学省は、・・・行政機関の保有する情報の公開に関する法律第5条第6号の規定を根拠として同法における不開示情報として取り扱うこととする」ことを参考に、教育委員会等においても、「それぞれの地方公共団体の情報公開条例の同様の規定を根拠として、情報の開示により調査の適正な遂行に支障を及ぼすことのないよう、本実施要領の趣旨を十分に踏まえ、適切に対応する」ことを要請している。通知には、「国が行う本調査の結果の公表・情報公開については、これまでも国会等で広く議論が行われてきたところであり・・・」との記述があり、通知の添付資料である「別添2 調査結果の公表・情報公開に関する国会での主な質疑内容」及び「別添3 調査結果の公表・情報公開に関する中央教育審議会の答申等の記述」から、実施要領が作成された背景には、国会や審議会等において、全国調査の調査結果が公表されることにより序列化や過度な競争につながらないよう特段の配慮が必要であるとの議論が行われてきたことがうかがわれる。
しかし、実施要領には何ら法的拘束力はなく、鳥取地裁判決も指摘するように、「実施要領や国会等での議論があったからといって、これらにより学力テストの市町村別・学校別結果が公開されないことに対する(国会に代表される)国民の信頼が形成されていたとはいえず、仮に形成されていたとしても正当な信頼には当たらない」のであって、調査結果を「開示することにより、一般国民の信頼が損なわれるということは考えにくい」と認められる。
結局、実施要領等で調査結果を開示しないよう文部科学省から要請されていたとしても、横浜市の制度である条例の非開示事由である本号の解釈を左右するものではなく、条例に基づく開示請求について、条例上の非開示事由に該当するか検討した結果、横浜市の結論が実施要領と異なったものになったとしても、そのことのみをもって国民的な理解が得られなくなり、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとはいえない。
(イ) 実施機関は、本件申立文書を開示することによって、序列化や過度な競争が生じるおそれがあり、その結果、地域社会が崩壊したり成績下位校の児童生徒が生涯差別的な境遇におかれるといった支障が生ずるなどと主張するので、この点を検討する。
実施機関が説明する支障の例は、個々の因果関係自体は必ずしもあり得ないとまではいえない。しかし、説明全体としては、多数の因果関係をそれぞれの事象が発生する蓋然性を捨象して連鎖させることによって導かれ得る可能性のひとつを述べているに過ぎず、その結論自体がやや極端なこともあって、およそ具体的かつ合理的な説明とは認められない。
他の教育委員会において調査結果を公表又は開示している事例があるにもかかわらず、その結果として、序列化や過度な競争が生じて、全国調査の適正な遂行に具体的な支障があったということが報告されていないことも、実施機関の説明するおそれが、抽象的な可能性の指摘にとどまることを示している。
なお、実施機関の説明では、市内において、学年便り等やホームページによって科目ごとの平均正答率等を公表している学校が一定数存在するが、そのことによって具体的な支障は生じていないとのことであり、この点について実施機関に確認したところ、実施要領で「学校が、・・・自校の結果を公表することについては、それぞれの判断にゆだねること」とされているため公表しても問題はないとのことであった。しかし、複数の学校が自校の調査結果を公表すればその範囲で順位付けが可能であり、このことは平成22年度に抽出調査となった後も全国調査の調査結果を開示することができない理由として実施機関自身が説明している理由のひとつでもある。自校の調査結果を公表している学校が市内公立学校全体に占める割合は、抽出調査の対象となる学校が市内公立学校全体に占める割合と大きな差がないことからも、実施機関の説明が一貫性のあるものとは考えられない。
(ウ) 実施機関は、他都市における事例を取り上げて自らの主張を補強しているので、特に取り上げるべき点について検討する。
鳥取県では、鳥取県情報公開条例第18条の2で「学校の序列化、過度の競争等が生じることのないように当該全国学力調査情報を使用しなければならない。」と定めている。その趣旨は、調査結果が原則として開示されることを前提として、開示決定を受けた者に調査結果に係る情報を適切に使用することを求めるものと解されるが、当該規定が非開示情報を定めた同条例第9条第2項各号とは別の条文に置かれていることからも明らかなように、それ自体が非開示情報に係る判断基準ではない。
京都府答申については、調査結果について非開示の結論を導いており、その背景には答申が指摘するような「経済的・社会的・文化的条件」に対する配慮がうかがわれる。しかし、横浜市において京都府と同様の条件が存在し、かつ、本件申立文書の開示によってそのような条件の存在が顕在化することによって偏見・差別を助長することについて、実施機関から具体的な説明がない以上、京都府答申同様の非開示理由を採ることはできない。
(エ) なお、実施機関は、他都市において、教員が成績の悪い児童生徒に受検させない等といった事件があった旨説明しているが、そもそも公務員は法と良心に従い誠実に職務にあたることが強く求められるのであって、本号の「おそれ」の判断にあたっては、そのような公務員が不正を行うおそれを強調することは、たとえそのようなおそれの存在を否定できないとしても、およそ許されないというべきである。
(オ) したがって、本件申立文書を開示すると序列化や過度の競争が生じるおそれや国民的な理解が得られなくなるなど正確な情報が得られない可能性が高くなり、調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとの実施機関の主張を認めることはできず、本件申立文書はその全部が本号に該当しない。
(4) 結論
以上のとおり、実施機関が本件申立文書を条例第7条第2項第6号に該当するとして非開示とした決定は、妥当ではなく、開示すべきである。
(第三部会)
委員 藤原静雄、委員 青木孝、委員 早坂禧子
《 参 考 》
審査会の経過
年月日 | 審査の経過 |
平成21年10月28日 | ・実施機関から諮問書及び非開示理由説明書を受理 |
平成21年11月6日 (第89回第三部会) 平成21年11月12日 (第156回第一部会) 平成21年11月13日 (第159回第二部会) | ・諮問の報告 |
平成21年11月20日 (第90回第三部会) | ・審議 |
平成21年12月3日 | ・異議申立人から意見書を受理 |
平成21年12月4日 (第91回第三部会) | ・審議 |
平成21年12月22日 (第92回第三部会) | ・審議 |
平成22年1月8日 (第93回第三部会) | ・実施機関から事情聴取 ・審議 |
平成22年1月22日 (第94回第三部会) | ・審議 |
平成22年2月5日 (第95回第三部会) | ・審議 |
平成22年2月19日 (第96回第三部会) | ・審議 |