情報公開制度について考える

情報公開審査会の答申などを集めて載せています。

東京都情報公開審査会 答申第409号 「株式会社○○東京支店に係る建築申請調査書」ほか11件

2008年03月28日 | 確認検査員の氏名/建築士の氏名
諮問第490号
答申


1 審査会の結論
「株式会社○○東京支店に係る建築申請調査書」ほか11件の一部開示決定において、実施機関が非開示とした部分のうち、別表に掲げる部分については開示すべきであるが、その他の部分については非開示が妥当である。

2 審査請求の内容
(1)審査請求の趣旨
本件審査請求の趣旨は、東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号。以下「条例」という。)に基づき、審査請求人が行った「株式会社○○東京支店(○○区○○○○)の建築計画に関連する文書一式」の開示請求に対し、東京消防庁消防総監が平成19年6月7日付けで行った一部開示決定について、その取消しを求めるというものである。

(2)審査請求の理由
審査請求人が審査請求書及び意見書で主張している審査請求の主な理由は、次のとおりである。

ア 条例の前文では、条例における解釈及び運用の基本原則として、「新たな時代に向けて地方分権が進展する中で、公正で透明な都政の推進と都民による都政への参加の促進により、開かれた都政を実現し、日本国憲法が保障する地方自治を確立していくことが求められている。情報公開制度は、このような開かれた都政を推進していく上でなくてはならない仕組みとして発展してきたものである。東京都は、都民の『知る権利』が情報公開の制度化に大きな役割を果たしてきたことを十分に認識し、都民がその知ろうとする東京都の保有する情報を得られるよう、情報の公開を一層進めていかなければならない。このような考え方に立って、この条例を制定する。」と定めている。情報公開を原則として認め、行政の透明性を確保することにより適正な権力の執行を担保することが、条例の趣旨であると考えられる。

イ 最高裁判所平成10年(行ヒ)第54号 公文書非公開決定処分取消請求事件 平成15年11月11日判決では、「個人に関する情報」の解釈として、
(ア)法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)の代表者に準ずる地位にある者以外の従業員の職務の遂行に関する情報は、その者の権限に基づく当該法人等のための契約の締結等に関する情報を除き、「個人に関する情報」に当たる。
(イ)法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)の代表者若しくはこれに準ずる地位にある者が当該法人等の職務として行う行為に関する情報又はその他の者が権限に基づいて当該法人等のために行う契約の締結等に関する情報その他の法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報は、「個人に関する情報」に当たらない。
(ウ)国及び地方公共団体の公務員の職務の遂行に関する情報は、公務員個人の私事に関する情報が含まれる場合を除き、「個人に関する情報」に当たらない。
と判示している。
第12期神奈川県情報公開運営審議会報告書(平成19年3月20日)でも、権限に基づいて当該法人等のために行う契約の締結等に関する情報は、個人情報でないとの判断を示している。
また、三重県情報公開審査会答申第271号(平成19年5月11日)では、法人等の代表者が職務として行う行為など当該法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報は、個人情報に該当せず、法人等の情報又は事業を営む個人の当該事業の情報の該当性を検討すべきであり、フェロシルトの土質試験の試験結果報告書に試験者等として記載された者の氏名を開示すべきであると判断している。

ウ 消防総監は、株式会社○○東京支店に関する文書に記載されている、建築主の電話番号、消防用設備の設計者の氏名と資格登録番号を、条例7条2号に該当するとして非開示とした。しかしながら、株式会社○○東京支店はオフィスビルであり、建築主の情報は、上記で述べた「権限に基づいて当該法人等のために行う契約の締結等に関する情報」であって、個人に関する情報ではない。また、電話番号は、株式会社○○のものが記載されていると考えられる。条例7条2号ではなく、3号の該当性を検討すべきである。

エ 練馬区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例では、建築計画の事前公開を義務付けている。建築主は、「建築計画のお知らせ」の標識に、建築主、設計者、工事監理者、工事施工者、建築計画の概要等の情報を記載して、工事の予定地に設置しなければならない。建築主の電話番号は、標識に記載され公にされている。

オ 消防用設備の設計者の情報も、責任の所在を明らかにするため開示されるべき情報である。平成13年9月1日に発生した歌舞伎町ビル火災では、消防用設備の不備があったために大惨事を引き起こした。オフィスビルの消防用設備の設計者の情報を公にすることは、人の生命、健康、生活又は財産上の利益を保護するため、公益上必要であると、審査請求人は考える。条例7条2号ただし書ロの該当性について、ご判断いただきたい。

3 審査請求に対する実施機関の説明要旨
実施機関が理由説明書及び口頭による説明において主張している内容は、次のように要約される。

(1)本件対象公文書について
ア 建築申請調査書について
消防署長は、建築基準法6条に基づく建築確認時に同意を求められたときに、建築主事等から建築確認の申請書類を受け、火災予防の観点から同申請書類の内容審査を行い、同意するか否かの意思決定を行う。建築申請調査書は、同意の意思決定を行う際に作成される起案文書であり、東京消防庁火災予防規程に定められた様式である。

イ 防火対象物使用届出書
消防総監は、建築物の竣工後、その建物の使用開始前に、建築物等の所有者などから建築物の概要及び図面などの届出を受ける。防火対象物使用届出書は、その際に用いられる届出様式であり、消防機関が、この届出に基づき、消防関係法令の遵守状況についての書面審査を行うと同時に、現地において検査を実施する。

ウ 消防用設備等着工届出書
消防署長は、消防用設備等の設置工事を行う消防設備士から、工事を行う前に設置する消防用設備等の種類や工事の場所などの届出を受ける。消防用設備等着工届出書は、その際に用いられる届出様式であり、消防機関が、この届出に基づき、消防用設備等に係る工事計画が適法であるか否かの書類審査を行う。
なお、対象公文書のうち一部に出てくる工事整備対象設備等着工届出書は、平成15年5月、消防法が改正され、消防用設備等着工届出書の名称が、工事整備対象設備等着工届出書に変更されたものであり、内容は変更されていない。

エ 消防用設備等設置届出書
消防署長は、建築物等の所有者などから、消防用設備等の設置工事後、消防用設備等に関する図書を添付した届出を受ける。消防用設備等設置届出書は、その際に用いられる届出様式であり、消防機関が、この届出に基づき、消防用設備等が適法に設置されているか否かについて書面審査を行うとともに、現地において検査を実施する。

(2)消防設備士について
消防設備士とは、都道府県知事が、国家試験に合格した者に対して交付する消防設備士免状を有する資格者である。この資格を取得すると、消防法施行令で定める一定の消防用設備等の工事整備を独占的に行うことができるようになる。

(3)本件非開示部分と非開示情報該当性について
ア 建築申請調査書について
本件建築申請調査書の非開示部分は、「建築主」欄の電話番号である。
この情報は、個人に関する情報であり、特定の個人を識別することができる情報であるため、条例7条2号に該当する。

イ 防火対象物使用届出書
本件防火対象物使用届出書の非開示部分は、立会者及び副本受領者の氏名、工事施工者の責任者氏名及び届出者の印影である。
このうち、立会者及び副本受領者の氏名及び工事施工者の責任者氏名は、個人に関する情報であり、特定の個人を識別することができる情報であるため、条例7条2号に該当する。
届出者の印影は、開示されることにより、印章が偽造され、詐欺等の犯罪を助長するおそれがあることから、犯罪の予防及び財産への不法な侵害を招くので、条例7条4号に該当する。

ウ 消防用設備等着工届出書
本件消防用設備等着工届出書または工事整備対象設備等着工届出書の非開示部分は、消防設備士の氏名、住所、免状の交付番号、届出者である消防設備士の印影及び副本受領者の氏名である。
これらの情報のうち、消防設備士の氏名、住所、免状の交付番号及び副本受領者の氏名は、個人に関する情報であり、特定の個人を識別することができる情報であるため、条例7条2号に該当する。
また、消防設備士の印影は、個人に関する情報であり、特定の個人を識別することができる情報であるとともに、開示されることにより、印章が偽造され、詐欺等の犯罪を助長するおそれがあることから、犯罪の予防及び財産への不法な侵害を招くので、条例7条2号及び4号に該当する。

エ 消防用設備等設置届出書
消防用設備等設置届出書の非開示部分は、消防設備士の氏名、住所、免状の交付番号、工事設計者の責任者、立会者及び副本受領者の氏名並びに届出者の印影である。
これらの情報のうち、消防設備士の氏名、住所、免状の交付番号、工事設計者の責任者、立会者及び副本受領者の氏名は、個人に関する情報であり、特定の個人を識別することができる情報であるため、条例7条2号に該当する。
また、届出者の印影は、開示されることにより、印章が偽造され、詐欺等の犯罪を助長するおそれがあることから、犯罪の予防及び財産への不法な侵害を招くので、条例7条4号に該当する。

4 審査会の判断
(1)審議の経過
(略)


(2)審査会の判断
審査会は、審査請求の対象となった公文書並びに実施機関及び審査請求人の主張を具体的に検討した結果、以下のように判断する。

ア 本件対象公文書について
本件審査請求に係る対象公文書は、株式会社○○東京支店(以下「本件建築物」という。)に係る「建築申請調査書(平成16年9月10日(同)第349 号)」(以下「本件対象公文書1」という。)、「建築申請調査書(平成17年4月8日(同)第9号)」(以下「本件対象公文書2」という。)、「防火対象物使用届出書(平成17年4月6日第8号)」(以下「本件対象公文書3」という。)、「消防用設備等着工届出書(不活性ガス(二酸化炭素)消火設備、平成 17年2月3日第169号)」(以下「本件対象公文書4」という。)、「工事整備対象設備等着工届出書(自動火災報知設備、平成17年2月15日第120 号)」(以下「本件対象公文書5」という。)、「工事整備対象設備等着工届(避難器具、平成17年3月1日第189号)」(以下「本件対象公文書6」という。)、「消防用設備等設置届出書(避難器具、平成17年3月30日第441号)」(以下「本件対象公文書7」という。)、「消防用設備等設置届出書(消火器、平成17年3月30日第441-2号)」(以下「本件対象公文書8」という。)、「消防用設備等設置届出書(自動火災報知設備、平成17年4月4日第4号)」(以下「本件対象公文書9」という。)、「消防用設備等設置届出書(誘導灯、平成17年4月4日第4-2号)」(以下「本件対象公文書10」という。)、「消防用設備等設置届出書(不活性ガス(二酸化炭素)消火設備、平成17年4月5日第4-3号)」(以下「本件対象公文書11」という。)、「防火対象物使用届出書その3(電気設備)(平成17年4月5日第2号)」(以下「本件対象公文書12」という。)である。
本件対象公文書1及び2は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)7条及び東京消防庁火災予防規程(昭和61年5月19日東京消防庁訓令第36号)7条に基づき、消防署長が、建築許可等について、建築物の建築確認申請について同意の可否を判断するため、その同意を要する建築物の申請書類を受けた場合に、その書類の内容審査に用いるために作成した建築申請調査書である。
本件対象公文書3及び12は、本件届出当時の火災予防条例(昭和37年条例第65号)56条に基づき、消防総監が、防火対象物を使用しようとする者から、あらかじめ、その防火対象物の所在、用途、収容人員その他当該防火対象物の使用に関して消防活動上必要な事項の届出をさせた届出書である。
本件対象公文書4から6は、法17条の14に基づき、消防署長が、消防設備士(甲種)から、消防用設備等又は特殊消防用設備等工事をしようとするとき、その工事に着手しようとする日の10日前までに、工事整備対象設備等の種類、工事の場所その他必要な事項の届出をさせた届出書である。
本件対象公文書7から11は、法17条の3の2に基づき、消防署長が、防火対象物のうち特定防火対象物等の関係者から、技術上の基準又は設備等設置維持計画に従って設置しなければならない消防用設備等又は特殊消防用設備等を設置したとき、検査をするためにその旨の届出をさせた届出書である。
実施機関は、本件対象公文書1及び2の「建築主」欄に記載された電話番号、本件対象公文書4から9及び11の「消防設備士」欄に記載された住所、氏名及び免状の交付番号、本件対象公文書3から6及び10から12の欄外に記載された副本を受領した者の氏名、本件対象公文書3、7及び9の欄外に記載された立会いをした者の氏名、本件対象公文書11の「工事設計者住所氏名」欄に記載された責任者の氏名、本件対象公文書12の「工事施工者責任者氏名」欄に記載された氏名、本件対象公文書4から6の届出者の住所、氏名及び印影を、個人に関する情報であり、特定の個人を識別することができる情報であるため、条例7条2号に該当するとして非開示とした。
また、実施機関は、本件対象公文書3から12の届出者の印影を、開示されることにより、犯罪の被害者になるおそれがあるため、条例7条4号に該当するとして非開示とした。
これに対し、審査請求人は、これら消防設備士の氏名などの情報を非開示とした点について、責任の所在を明らかにするため開示されるべきであると主張していることから、審査会は、実施機関が非開示とした部分の妥当性について判断する。

イ 条例7条2号該当性について
条例7条2号本文は、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」を非開示情報として規定しており、同号ただし書において、「イ 法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」、「ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」、「ハ 当該個人が公務員等…である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」のいずれかに該当する情報については、同号本文に該当するものであっても開示しなければならない旨規定している。

(ア)本件対象公文書1及び2の「建築主」欄に記載された電話番号について
非開示とされている「建築主」欄に記載された電話番号は、審査会が見分したところ、審査請求人が主張するとおり、株式会社○○のホームページにおいて、会社の電話番号として公表されており、個人に関する情報であると認められないことから、条例7条2号本文に該当しない。

(イ)本件対象公文書4から9及び11の「消防設備士」欄に記載された住所、氏名及び免状の交付番号
消防設備士とは、都道府県知事が、国家試験に合格した者に対して交付する消防設備士免状を有する資格者である。
法17条の12は、消防設備士が、その業務を誠実に行い、工事整備対象設備等の質の向上に努めなければならない旨規定しており、法17条の5は、消防設備士の免状の交付を受けていない者は、消防用設備等又は特殊消防用設備等の工事(設置に係るものに限る。)又は整備を行ってはならない旨規定している。
非開示とされている「消防設備士」欄に記載された氏名、住所及び免状の交付番号は、個人に関する情報で、個人を識別することができるため、条例7条2号本文に該当する。
条例7条2号ただし書該当性について検討すると、本件対象公文書4から9及び11が実施機関に提出された平成17年当時の火災予防条例には、消防設備士の氏名及び免状の交付番号を明らかにする規定はなかったことが認められる。しかしながら、平成18年4月1日から改正された火災予防条例が施行され、火災予防を図るためには消防用設備等の工事、整備が的確に行われることが重要であるとの観点から、同条例63条の4で、防火対象物の関係者又は工事施行者は、工事現場の見やすい場所に、同条例が定める届出が受理された旨その他の事項を表示するものとすることが規定され、工事現場における届出等の表示の様式として、同条例施行規則別記第24号様式「消防関係法令による届出済票」で、消防設備士の氏名・種類・免状の交付番号が表示事項として記載されることとなった。
したがって、「消防設備士」欄に記載された氏名及び免状の交付番号については、現状において、すでに公にされている情報であり、また、当時においても公にすることが予定されている情報と評価できるため、同号ただし書イに該当すると認められ、開示すべきである。
しかし、消防設備士の住所は、法令等の規定により又は慣行として公にされ又は公にされることが予定されていないので、同号ただし書のいずれにも該当しないため、消防設備士の住所について非開示とした実施機関の決定は妥当である。

(ウ)本件対象公文書3から6及び10から12の欄外に記載された副本を受領した者の氏名について
非開示とされている副本を受領した者の氏名は、個人に関する情報で、個人を識別することができるため、条例7条2号本文に該当する。
また、副本を受領する者は、特に、受領者となるべき対象者が限定されておらず、さらに、法令等の規定により又は慣行として公にされていないので、同号ただし書イに該当せず、その内容及び性質に照らせば、同号ただし書ロ及びハにも該当しない。
しかし、審査会が、本件対象公文書5及び11を見分したところ、副本を受領した者の氏名は、これらの対象公文書中に記載された消防設備士の氏名と同一であり、消防設備士としての業務から受領者となっているものと認められる。したがって、前記4(2)イの(イ)で述べたとおり、同号ただし書イに該当すると認められ、開示すべきである。

(エ)本件対象公文書3、7及び9の欄外に記載された立会いをした者の氏名について
非開示とされている立会いをした者の氏名は、個人に関する情報で、個人を識別することができるため、条例7条2号本文に該当する。
また、立会いをする者は、特に、立会者となるべき対象者が限定されておらず、さらに、法令等の規定により又は慣行として公にされていないので、同号ただし書イに該当せず、その内容及び性質に照らせば、同号ただし書ロ及びハにも該当しない。
しかし、審査会が、本件対象公文書9を見分したところ、立会いをした者の氏名は、これらの対象公文書中に記載された消防設備士の氏名と同一であり、消防設備士としての業務から、立会者となっているものと認められる。したがって、前記4(2)イの(イ)で述べたとおり、同号ただし書イに該当すると認められ、開示すべきである。

(オ)本件対象公文書11の「工事設計者住所氏名」欄に記載された責任者の氏名及び本件対象公文書12の「工事施工者責任者氏名」欄に記載された氏名について
非開示とされている消防用設備等「工事設計者住所氏名」欄に記載された責任者の氏名及び「工事施工者責任者氏名」欄に記載された氏名は、個人に関する情報で、個人を識別することができるため、条例7条2号本文に該当する。
また、「工事設計者住所氏名」欄に記載された責任者の氏名及び「工事施工者責任者氏名」欄に記載された氏名は、実施機関において、連絡や調整が必要な場合に工事設計又は施工を行った法人の社員等の氏名を記載したものであるが、これは、法令等において責任者となるべき者が記載されているものではなく、また、法令等の規定により又は慣行として公にされているものではないので、同号ただし書イに該当せず、その内容及び性質に照らせば、同号ただし書ロ及びハにも該当しないため、「工事設計者住所氏名」欄の責任者の氏名及び「工事施工者責任者氏名」欄の氏名について非開示とした実施機関の決定は妥当である。

(カ)本件対象公文書4から6の届出者の住所、氏名について
非開示とされている消防用設備関係の届出者の住所、氏名は、個人に関する情報で、個人を識別することができるため、条例7条2号本文に該当する。
ところで、本件対象公文書4から6は、前記4(2)のアで述べたとおり、消防設備士が消防用設備関係の届出をする書類であり、届出者の住所、氏名は消防設備士のものである。
したがって、届出者の住所は、前記4(2)イの(イ)で述べたとおり、条例7条2号ただし書のいずれにも該当しないため非開示とした実施機関の決定は妥当であるが、届出者の氏名は、同号ただし書イに該当すると認められるので、開示すべきである。

ウ 本件対象公文書3から12の届出者の印影の条例7条4号該当性について
(略)


よって、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
瀬田 悌三郎、中村 晶子、中村 輝子、山田 洋

別表 開示すべき部分
本件対象公文書名開示すべき部分
本件対象公文書1・「建築主」欄の電話番号
本件対象公文書2・「建築主」欄の電話番号
本件対象公文書4・届出者の氏名
・「消防設備士」欄の氏名
・「消防設備士」欄の交付番号
本件対象公文書5・届出者の氏名
・「消防設備士」欄の氏名
・「消防設備士」欄の交付番号
・欄外の副本を受領した者の氏名
本件対象公文書6・届出者の氏名
・「消防設備士」欄の氏名
・「消防設備士」欄の交付番号
本件対象公文書7・「消防設備士」欄の氏名
・「消防設備士」欄の交付番号
本件対象公文書8・「消防設備士」欄の氏名
・「消防設備士」欄の交付番号
本件対象公文書9・「消防設備士」欄の氏名
・「消防設備士」欄の交付番号
・欄外の立会者の氏名
本件対象公文書11・「消防設備士」欄の氏名
・「消防設備士」欄の交付番号
・欄外の副本を受領した者の氏名

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