試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

交通営団5000系5337[78F] 非冷房車 後期仕様 動力ユニット整備 (経年対策,車体側嵌合爪増設試行)

2017-01-19 21:21:14 | 5号東西線,営団線
再利用。

マイクロエース製交通営団5000系78F非冷房車後期仕様(5828)は61F非冷房車(5811)2編成を組替え組成した。
戸袋窓閉塞車が5両連なる編成見附が特徴で戸袋窓付車9両は東葉高速1000形12F増発予備編成(1120)へ集約している。
12Fは1126(←元5920←5922)だけが戸袋窓閉塞車で不都合無く組成できたが78Fの落とし穴は5337への動力ユニット搭載だった。


交通営団5000系78F 非冷房車 後期仕様。
78F:5828-5282-5655-5353-5119-5919-5337-5103-5284-5028

61Fは戸袋窓付車7両に戸袋窓閉塞車3両が組み込まれるB修繕開始前の標準的な編成である。
動力ユニットは戸袋窓付の5228(7号車)に搭載されていた。
78F化に伴い戸袋窓閉塞車の5337(7号車←5354:61F)が動力ユニット搭載に抜擢された。
しかしこれが思わぬ誤算を生んでしまった。


5337(78F:動力ユニット搭載車)。

東京地下鉄5000系63F冷房改造車(5813)は戸袋窓閉塞車の5234(7号車)が動力ユニット搭載車であった。
当然5337への動力ユニット搭載も不都合は無いと考えた。
動力ユニットの組み込みこそ行えたが車体との嵌合が甘くなった。
どうしても上方向にずれるため両面テープに頼り動力ユニットを固定していた。
今回の入場で動力ユニット整備に加え両面テープ固定補助廃止も併せて試行する。


入工中の5337。

先に78Fと前後して出場した61Fを種車とする東葉高速1000形1127(12F)の動力ユニット整備を行った。
LOTは同一で大きな差は無いと思い車体と分離している。
ところが5337の動力ユニットは純正グリス塗れだった。
ユニットカバーの表面まで油脂が回り込む状態でこれを見た時には唖然とした。
車体嵌合の補助をさせていた両面テープはこの時剥離している。


世代を感じさせる動力ユニット。

最近のマイクロエース製動力ユニットは品質向上が伺える。
61Fがリリースされた頃はそんな時代がやって来るとは思いもしなかった。
ユニットカバーを取り外すとそれを表すかのように劣化の進んだ導電板が現れた。
導電板,台枠は染み出た純正グリスで妙な艶が出ており絶縁シートも黄色く変色し掛かっていた。
ここまで酷ければ諦めもつく。
先ず導電板磨きから取り掛かり純正グリスを除去するため最初にクリーナーで拭き上げを行った。
使用したクロスはあっと言う間に茶色く汚れてしまい役目を終えた後はゴミ箱に直行している。
酸化状況は斑があり軽くラプロス#8000で研いだ上で3M製研磨フィルムで仕上げた。
最後にもう一度クリーナーで拭き酸化予防策を採っている。
これで輝く導電板に復活した。


分解整備中のFS-502動力台車(西船橋寄)。

ユニットカバーまで純正グリス塗れだったためFS-502動力台車は最悪の状態と頭に入れて作業に入った。
スパイラルギアカバーも油脂で光っており相当量のグリスが注入されたらしい。
FS-502動力台車を分解すると全てが輝いていた。
覚悟していた分だけ余裕は持てている。
地道に台車枠,ギアボックス等の脱脂を行った。
西船橋寄,中野寄とも状態は同じでギア類はクリーナー浸けとした。
純正のグリス除去を終えFS-502動力台車を組み立てる。
皮肉なことに清掃前より車輪の動きが軽くなった。
特に駆動不調は感じられなかったがグリスは相当な走行抵抗だったと思われる。
新たなグリスは何時も通りのタミヤ製を投入しギア周りの不安を一掃させた。


不自然な輝きが無くなったスパイラルギアカバー。

清掃を終えFS-502動力台車を組付ける際に台車枠外側の清掃を忘れていた事に気付いた。
余りに台車周りのグリス量が夥しく全てを終えたと思ってしまった。
苦手なユニバーサルジョイントが行く手を阻んだが単体での清掃を施した。
ゴミ箱行になったクロスはもう一度活躍の場を得ている。


整備を終えた動力ユニット。

動力ユニットは分解前と比べ物にならない状態に押し上げられた。
駆動試験を行ったところギア周りの騒音が小さくなっていた。
稼働状態そのものの変化は少ないが清掃時期が遅ければ不調に陥っていたと思われる。
マイクロエース製動力ユニット搭載車はギア周りからの騒音が大きくなり始めた時点で整備を行うのが無難だろう。


嵌合爪数の異なる側面窓セル (63F,78F:5234,5337)。

予定よりかなり遅れて両面テープ固定補助廃止に手を着けた。
5337で生じる動力ユニット嵌合の甘さは側面窓セルの嵌合爪が少ないためである。
5234(63F)の6箇所に対し5337は4箇所しかない。
たった2箇所の差が嵌合を甘くさせていた。
同じ戸袋窓閉塞車であり動力ユニット搭載車と非動力車で別部品化するとは思ってもいなかった。
5234と同等の嵌合精度を実現するには嵌合爪を増設するしかない。
保管品からグリーンマックス製嵌合爪を探り当てた。


車体に溶着させた追設嵌合爪。

使い古しの嵌合爪は粗雑な作業を表すかの様に長さがまちまちだった。
そのため一度動力ユニットを組込み車体の隙間へ押し込む方式を採っている。
挿入位置は5234を参考にした。
嵌合爪にはゴム系接着剤を塗布し動力ユニットの台枠部で止まる場所まで押し込む。
仮固定した嵌合爪を動かさないよう車体を撓ませながら動力ユニットを取り外す。
そして流し込み接着剤で溶着した。
これを都合4箇所に施し嵌合の甘さは廃されている。


嵌合爪を増設した5337 (5234,5337)。

現物合わせの作業ながら5234とほぼ同位置に嵌合爪が新設された。
追設した嵌合爪は再用品故に黄色5号の塗料が残る。
側面窓セル嵌合爪と増設嵌合爪の識別にはちょうど良いだろう。
なおマイクロエース製品向けではないため山が高く動力ユニットの着脱には一工夫を要する。
但し溶着させており脱落の心配は無いと思う。




5337(動力ユニット整備,嵌合爪増設施工)。

竣工した5337の外観は入場前と全く変わらない。
両面テープを廃止した代わりに増設嵌合爪が効果を発揮してくれたらしい。
経年劣化による粘着力低下はテープ類の宿命でありこれを廃せたのは大きい。
当然車体高調整も不要になり整備性は向上している。


5234+5337 (63F+78F:動力ユニット搭載車+動力ユニット搭載車)。

5234と動力車同士の比較では車体高が同じになった。
車体裾とボルスターアンカの位置関係も同等で違和感は無い。
ここで差が生じると手の打ちようが無かっただけに安心した瞬間でもあった。


5919+5337 (78F:非動力車+動力ユニット搭載車)。

編成を組む5919と並べても車体高はほぼ製品通りになってくれた。
元々動力ユニット搭載車がやや腰高になるためある程度の段差は避けられない。
この程度であれば文句無しと言えるだろう。
61Fを種車にした車両で唯一やり残していた両面テープ固定補助廃止が達成された。
出場時には対策を採れないと思っていた。
まさかの他社製で使用済だった嵌合爪が役に立つとは意外である。
何処で出番が廻ってくるか判らないが何でも保管しておくと良いことがあるらしい。
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