試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

交通営団5000系5028[78F] 非冷房車 後期仕様 車体傾斜緩和対策施工 (表示器用プリズムケース全面固定化)

2019-12-01 21:45:11 | 5号東西線,営団線
極端。

これまでマイクロエース製交通営団5000系61F非冷房車(5811)は3編成が導入された。
61F(初代)は製品仕様に従った61F非冷房車中期仕様(5811)として出場させている。
一方61F(二代目),61F(三代目)は78F非冷房車後期仕様(5828),東葉高速1000形12F増発予備編成(1121)へ改装となった。


交通営団5000系78F 非冷房車 後期仕様。
[78F]:5828-5282-5655-5353-5119-5919-5337-5103-5284-5028
※快速表示器撤去,B形防護無線アンテナ追設編成。

交通営団5000系東西線所属車は各年代により様々なバリエーションが存在した。
61Fは戸袋窓付車:7両,戸袋窓閉塞車:3両で構成される典型的な非冷房車7両編成を10両編成化した車両構成であった。
非冷房車編成の増強に当たり61F(二代目)と61F(三代目)同士で車両異動を行い61Fとの差別化が図られた。
2015年5月に出場した78Fは戸袋窓閉塞車が5両組まれる編成見附が特徴である。
更にTOMIX製B形防護無線アンテナを追設し行先表示類も自作[快速 中野 地下鉄経由 NAKANO]幕ステッカーにて後期仕様化した。
その後2017年1月には5337(78F)の動力ユニット整備が施され順調な成績を収め続けてきた。


入工中の5028非冷房車後期仕様(78F)。

比較的状態の良い78Fであるが導入当初から5028(78F←5011:61F)は激しい車体傾斜を抱えていた。
回着整備時に表示器用プリズムケース撤去を行ったためか5828(78F←5811:61F)まで同様の症状が発生する。
5011の状態もあり種車を由来とする現象と考え修正は半ば諦めていた。
先日マイクロエース製東京地下鉄5000系63F冷房改造車(5813)が入場した際に5013(63F)でも車体傾斜が発覚した。
5813(63F)の入場時にライトユニットが傾斜の原因だと判り5013は無事修正が図られた。
併せて表示器用プリズムケースの固定化が行われており5828,5028も同一方式での車体傾斜修正を試みる。


若干撓みが発生していた5028用床板。

2015年6月にTOMIX製PG16形パンタグラフへ換装された78Fだが5828,5028には入場機会が巡って来なかった。
5337の動力ユニット整備も単独入場であり5828,5028は傾いたまま約4年7箇月が経過しているため各部への悪影響が不安視された。
よってライトユニット及び表示器用プリズムケースへの小細工には拘らず完全に分解して原因を追求する。
先発入場車は種車の元5011時代から車体傾斜に苛まれ続ける5028とした。
床板の取り外しは至って順調と言え5013のようにライトユニットが転がり落ちる事も無かった。
一見無瑕に見えた5028用床板だったが分解を進めると長年の歪みが蓄積していた。


全ての部品が平行に揃えられた運転台側床板。

山側が下がる運転台側台枠はその捻れを記憶してしまいなかなか元に戻せない。
部分修正では全く埒が明かず全体に撚りを加え解消へと持ち込んでいる。
ライト基板集電脚も海側と山側の形状が異なっておりライトユニットを傾斜させる。
集電脚は山側の反力が強く釣り合いを保てない状態だったため海側と同一角度に改めた。
何故かウエイトだけは西船橋寄車端部の変形が見られ本直線状に整形した。
そしてライトユニット取付脚と台枠表面の取付孔をゴム系接着剤で固定し5813,5013用床板に揃えた。


側面窓セルも撤去した5828。

一応運転台側床板はライトユニット,台枠,TNカプラーSPが平行に重なる状態まで回復した。
続いて車体から側面窓セル,表示器用プリズムケースを撤去する。
この時期の製品にしては珍しく61Fは側面窓セルへの流し込み接着剤投入が成されていない。
戸袋窓,側扉窓黒Hゴム支持化施工後の取り付けが甘くなった可能性が否めず再着脱を行う。
表示器用プリズムケースは挿入のみに留められていたが車体を縦方向へ傾けるだけで脱落した。
幾ら側面窓セルを取り外した後とは言え余りの不安定さに唖然としている。


折損した車体中央寄表示器用プリズムケース取付脚。

だが5013にて表示器用プリズムケースが車体傾斜を招く要因になると掴めていた。
5028の極端なまでの傾きは固定しなかった表示器用プリズムケースが倍加させたと推測した。
固定化を行う前に流し込み接着剤投入痕が残る車体天井の平滑化へ着手している。
最も表面が荒れていた箇所は車体中央寄表示器用プリズムケース取付脚周囲であった。
ところがクロスが僅かに触れただけで取付脚は根元から折れてしまった。
恐らく元5011は初めからこの取付脚に瑕疵があり山側への傾きを抑えられない構造に陥っていたと思われる。


天井に直接固定された表示器用プリズムケース。

車体中央寄取付脚は表示器用プリズムケース固定化の命綱であり非常に痛い折損だった。
残念ながら生き残った側板寄取付脚への施工では全体の安定性を稼ぎ出せない。
路線変更に迫られた5028は先ず表示器用プリズムとケースのゴム系接着剤固定を強化した。
そして表示器用プリズム天面へゴム系接着剤を塗布し天井へ圧着する方式に切り替えている。
ただ1脚嵌合になってしまった表示器用プリズムケースは車体中央側を浮き易くする癖が生じた。
そのため完全に固着するまで手が離せず作業は一旦抑止状態へと陥ってしまった。


経年劣化は感じられなかったパンタグラフ撤去痕。

ようやく表示器用プリズムケースは微動だにしなくなり5813,5013と同程度の効果が期待できる状態まで到達した。
海側用側面窓セルを取り付けた際も車体中央側の位置偏位は発生しなかった。
ライトユニットからの入力にも耐えられる強度を持ち今後の取り扱いには支障しないと思われる。
なお接着固定も有り得た側面窓セルだが嵌合精度に問題は無く従前を引き継ぎ嵌め込んだだけとなった。
分解に併せて交通営団8000系12F冷房改造車東西線仕様(8012)の発生品で再現したパンタグラフ撤去痕を点検している。
碍子部品脚径と取付孔径は若干異なるが車体内側から押し出そうとしても爪楊枝の先端が負ける程強固に溶着されていた。




5028 [96S 快速 中野 地下鉄経由 NAKANO]:表示器用プリズムケース,ライトユニット固定化施工。


5028 車体傾斜緩和施工。

また脱落が相次いだTOMIX製B形防護無線アンテナを置き換えたKATO製B形防護無線アンテナの固定状況も確かめた。
取付脚を切除した接着固定だが流し込み接着剤併用式採用後の施工であり当面補強は無用だと思われる。
車体への細工及び点検を終えライトユニットが固定化された床板の装着に取り掛かった。
表示器用プリズムケースも同時固定となったため取り付けは両者の嵌合位置を基準とした。
車体傾斜角度は緩くなったものの5013の域には及ばずまだ傾きが気になる状態だった。
床板用側面窓セル嵌合爪は比較的車体中央寄に位置しているため運転台側床板の微調整を行っている。


5028 点灯試験[96S 快速 中野 地下鉄経由 NAKANO]:前照灯(表示器用プリズムケース,ライトユニット固定化施工)。


5028 点灯試験[96S 快速 中野 地下鉄経由 NAKANO]:尾灯(表示器用プリズムケース,ライトユニット固定化施工)。


5033 点灯比較[65S 快速 東葉勝田台]:83F(クロスポイント製行先方向幕ステッカー貼付車)。

床板整備完了時にはライトユニットからTNカプラーSPまでの配置が揃っていた。
この位置関係を崩してしまうと作業は振り出しに戻りかねないと思われた。
よって基本形態には手を伸ばさずFS-502非動力台車の締結調整にて更なる車体傾斜修正を目指した。
最終的に車体傾斜は収まったが前面車体裾とTNカプラーSPには微妙なずれが残る。
しかも西船橋寄妻面では完全解消へと至っているため課題は運転台側床板に絞り込まれた。
ただ現時点で考え得る手段は全て打ち尽くしており車体傾斜緩和を以て5028の作業は終了となった。


5028非冷房車後期仕様(78F:ライトユニット固定化施工)。

入場前から5028は安定した前尾灯点灯を維持しておりライトユニット固定化後も変わらなかった。
側面見附への副作用は無く現行方式の延長線上に立ち車体傾斜解消まで作業を進める。
次に入場させる5828も可能な範囲で修正を行う予定であり車体傾斜緩和に留めるかもしれない。
なお78Fは83F冷房改造車(5833←旧63F:5813)と共通の間接式表示器用プリズム減光対策が施工されている。
行先表示器の点灯照度差は83Fにクロスポイント製行先方向幕ステッカーを採用したためである。
この光量差異解消は車体傾斜以上に難しく永遠の課題になると思う。
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