試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

交通営団5000系5036[86F] 非冷房車 後期仕様 車体傾斜修正・床下機器配置変更試行 (パンタグラフ撤去車) ※TOMYTEC製

2020-01-14 23:40:34 | 5号東西線,営団線
1456。

TOMYTEC製交通営団5000系86F非冷房車(5836)の第二次整備は5036が最終入場車となった。
整備工程は5836(86F)に準ずるが回着当初から抱える車体傾斜の解消を試みる。
第一次整備時に改善を試みたものの従来製品で採り入れてきた対処方法は通用しなかった。


交通営団5000系5036 非冷房車(86F)。
※TOMYTEC製。

比較的簡便な構造が採用されているTOMYTEC製品での車体傾斜は決して珍しくない症状と言える。
大半は座席部品と台枠の組み直しにて改善が可能で5036も容易に解消させられると考えていた。
しかし従来方式は通用せず第一次整備での修正は打ち切りとなり対策を第二次整備に先送りしている。
5306(86F)から開始した第二次整備で車体傾斜解消策を探る算段は不発に終わり明確な答を得られなかった。
強いて挙げるとすれば台枠側面の湯口跡整形不良が気になった程度で非動力車8両は無難な竣工に至った。
結局極端な車体傾斜は5036だけで発生していたため5836以下8両(86F)の竣工過程を反映出来ない状況に追い込まれている。


入工中の5036

5036のユーザー取付部品は信号炎管,B形防護無線アンテナ,パンタグラフ台座用碍子の3種となる。
このうち信号炎管及びB形防護無線アンテナはKATO製を採用しマイクロエース製78F非冷房車後期仕様(5828)に揃える。
KATO製B形防護無線アンテナは取付脚を切除した発生品が充てられるが5836では位置調整に手こずった。
目算に頼る設置は屋根上見附を崩す要因になりかねず取付方法の見直しが決定した。
また5836,5925(86F)から捻出した部品を転用する床下機器配置変更も並行するため想定以上に工程数が増えてしまった。
地道に作業を進めていくしかなく先ずNカプラーSP化に端を発した運転台側車体の浮き上がり抑止から取り掛かった。


整形した座席部品と乗務員室仕切部品。

車体不等沈下は5836での構造解析にて乗務員室仕切部品と競合する座席部品が主因だったと判明した。
当然5036も同様であり座席部品,乗務員室仕切部品双方を5836用と同一形状に改めた。
ひとまず運転台側車体が浮き上がる症状は改善されたが車体傾斜解消には程遠く更なる対策を進めた。
乗務員室仕切部品を撤去した状態での装着試験では大幅な緩和が確認されたため台枠への細工は無意味に思われた。
そこで乗務員室仕切部品両側に着目し凸形成形部下端を約1mm程度引き上げている。
この施工で乗務員室仕切部品と台枠側板天面の接触が廃されたらしく車体傾斜はほぼ解消に至った。


大幅に配置が変わった床下機器(山側)。

5036の床下機器配置は5671,5125,5672(86F:3,5,8号車)と変わりなく全面的な見直しが必要となる。
山側,海側とも広幅箱形機器が目立つが5836,5925から撤去した床下機器部品は海側への起用しか考えていなかった。
何故か山側用が欠落しており手持ちの部品で賄えるか不安に駆られ床下機器配置変更を先行させた。
なおFS-502非動力台車は装着したままとし全体の釣り合いに注意しながら設置個所を定めている。
図面に倣い類似機器の取り付けを進めたところ元5836用床下機器部品は車体中央部だけの転用に限られた。
これ以外は細分化した5036用床下機器部品を寄せ集めた再現で押し通している。


完成した5036用床板。

海側に使用できる5036用床下機器部品は1器しか残らず元5836用,元5925用床下機器部品が中心となった。
所要の狭幅箱形機器は4器だったが台枠嵌合爪受位置や類似機器不足都合により5器が並べられた。
本来5000形,5100形,5600形にはC-2000形若しくはAR-2形空気圧縮機が搭載されている。
ところが86Fでは見事なまでに再現が成されておらず元5836用,元5925用床下機器部品でも代用が利かない。
また移設機器の一部は取付位置調整に伴い嵌合爪を切除して固定したため西船橋寄に中途半端な空間が生じてしまった。
止むを得ず元5925用床下機器部品から狭幅箱形機器を切り出し空気圧縮機の代わりとした。


仮取付脚を設けたKATO製B形防護無線アンテナ。

5836でのKATO製B形防護無線アンテナ(保管品)設置は一旦ゴム系接着剤で仮固定した後に位置調整を行う煩雑な方式だった。
だが線路方向,枕木方向とも取付目安に乏しく指定位置への完全固定まで時間を要している。
そこで作業簡略化のためTOMYTEC製B形防護無線アンテナ用取付孔を活かす取付方式に変更した。
KATO製B形防護無線アンテナ台座裏面中央へΦ1.0mmのプラ棒を取り付け1脚嵌合に対応させた。
1脚嵌合はTOMYTEC製B形防護無線アンテナと同一だが剛性に雲泥の差があり単独固定には向いていない。
そのため屋根板への挿入後に流し込み接着剤を投入し5836と同程度の取り付け強度を確保した。


取り外し難かった前面腰板青帯部品。

同時にベンチレーター固定化,KATO製信号炎管・パンタグラフ台座用碍子部品取付を行った。
取付脚の長い碍子部品は軟質プラスチック製であり挿入角度を誤ると全体が座屈する癖があった。
折損には至らないと思うが念のため垂直を維持しながらパンタグラフ台座まで押し込む方式とした。
嵌合精度は申し分なく屋根上機器部品では珍しく固定化を必要としなかった。
車体は5836に勝るとも劣らない状態と言え塗料繊維片が各所で見受けられる有り様だった。
清掃対象には前面腰板青帯部品も含まれたが固い嵌合に行く手を阻まれ撤去入口から躓いている。


若干凹形に歪んでいた妻板(西船橋寄)。

取付脚を軽く押し込むだけで容易に取り外せた5836とは異なり浮き上がる気配が全く感じられなかった。
前面腰板青帯部品には前尾灯用のくり抜きが設けられているため強度は然程高くないはずである。
強引な撤去方法は折損が避けられないと思われ爪楊枝で腰板寄取付脚だけを押し出し切妻状に近付けた。
その後貫通扉寄取付脚と交互に爪楊枝を押し当て少しずつ前進させながら撤去まで持ち込んでいる。
取り付けも撓み易い前面妻板が障壁となり組み立て後に先送りし車体剛性向上を待った。
この際西船橋寄妻板が車体内側に入り込んでいると判り可能な範囲で矯正を行った。




5036 [83S [地下鉄 快速] 西船橋 地下鉄経由]:車体傾斜修正試行,信号炎管・B形防護無線アンテナ取付,黒Hゴム支持印刷補修,行先表示類変更施工。
※TOMYTEC製。


5836 [83S [地下鉄 快速] 西船橋 地下鉄経由]:86F(黒Hゴム支持印刷補修施工車)。
※TOMYTEC製。

全工程を終えた5036は車体傾斜が消え去り違和感の少ない仕上がりに達したと思う。
直前に施した西船橋寄妻板への湾曲修正も多少効果があった模様でTNカプラーSPと前面車体裾の位置関係は上々に見える。
貫通扉窓,前面窓黒Hゴム支持印刷は5836ほど乱れていなかったが一部に掠れが見られマッキーで補修した。
また助士側前面窓セル快速表示器直下には白色塗料の垂れがあったため爪楊枝式にて除去している。
5836での失敗を受け運行番号,行先方向幕は強制的に[83S 三鷹 地下鉄経由]表示へ変更となった。
なおステッカーは5836を踏襲し運行番号幕:マイクロエース製,行先方向幕:自作品とした。




5036非冷房車後期仕様(86F:運転台側床板嵌合修正,床下機器配置変更試行)。
※TOMYTEC製。


5028非冷房車後期仕様(78F:パンタグラフ撤去施工車)。
※マイクロエース製:10号車。

5036(86F)は86Fに組み込まれるM2車系で唯一となる床下機器配置変更試作車として竣工を迎えた。
入場前まで床下を占領していた広幅箱形機器は大半が姿を消し山側へ移設した1器が残るのみとなった。
結局5836,5925から捻出した狭幅箱形機器は全てが5036に取り付けられている。
所詮は代用再現でしかないが大幅に手を加えたなりの側面見附には到達したと思う。
製品仕様のまま竣工させた5125,5671,5672も見附を改めたいところだが如何せん部品が足りない。
しかも床下機器部品を溶着してしまったため無駄な抵抗はしない方向である。
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