試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

交通営団5000系5337[78F] 非冷房車 後期仕様 車体高嵩下試行 (動力ユニット搭載車:導電板角度変更施工)

2019-12-03 21:38:40 | 5号東西線,営団線
検証。

マイクロエース製東京地下鉄5000系5234冷房改造車(63F:5813)は2016年9月に動力ユニット整備が行われた。
この際集電効率向上のため導電板両端部への整形を施したが余計な車体高上昇を招いただけに終わった。
結局全高を製品仕様に戻すべく2019年11月の導電板角度修正入場へと至っている。


交通営団5000系5337 非冷房車 後期仕様(78F:動力ユニット搭載車)。

元々マイクロエース製交通営団・東京地下鉄5000系列の動力ユニット搭載車は非動力台車に比べやや車体が高かった。
全高上昇へと直結した導電板角度変更だったが逆に車体高嵩下も不可能ではないと考えた。
一旦製品仕様に復した5234用導電板は予定を変更しユニットカバーとほぼ水平まで角度が寝かせられる。
この強引な試行が的中し5234の全高は非動力車並に落ち着き納得できる編成見附に達した。
竣工から約半月が経過したばかりだがFS-502動力台車の通電不良は一度も発生していない。
しかし5234に於ける試行結果は単なる偶然かもしれず第二次車体高嵩下対策試作車の追加竣工が決定した。


入工中の5337。

車体傾斜解消を狙った交通営団5000系5828,5028非冷房車後期仕様(78F:5828)はその目標に至らないまま作業が打ち切られた。
だが如何せん消化不良感が強く床板湾曲対策は5828,5028で続行し完全解消を図る方針に転換している。
そのため61F非冷房車中期仕様(5811),東葉高速1000形12F増発予備編成(1121←61F:三代目)の入場は先送りとなった。
必然的に第二次車体高嵩下試作車には2017年1月の入場で動力ユニット整備を終えていた5337(78F)が抜擢される。
5337(7号車)は集電効率向上対策が採られておらず製品原形を保つ導電板に手を加える初事例となった。


クリーナーの拭き上げ不足が露呈した5337用動力ユニット。

整備から約2年11箇月が経過した5337用動力ユニットは想定より導電板の状態が悪かった。
研磨後のクリーナー清掃が災いしたらしく導電板表面は斑模様に変色していた。
この惨状でも5337用動力ユニットは好調さを維持しており整備前の酸化とは異なると思う。
ただ現在クリーナー清掃は整備工程から外され導電板の研磨もラプロス#4000に変更されている。
よってラプロス#8000と3M製研磨フィルムで磨いた導電板は斑模様と共に再整備が決定した。
一度磨き直したせいか導電板が真鍮色へ復する時間は思いの外早く早々に導電板角度変更へと移行出来た。




角度が緩められた導電板端部(中野寄)。

5337用動力ユニットの導電板は前回入場後も焼き潰し固定が生き残ってくれた。
従って導電板端部は自由度が高くゴム系接着剤固定を採用した5234用動力ユニットよりも整形し易くなると思われた。
ところが焼き潰し箇所と導電板端部は比較的距離が離れておりピンセットの入力を受け流してしまう。
作業途中では逆に導電板角度がきつくなる事態が発生し5234用動力ユニットを下廻る進捗率となる。
一進一退ばかり繰り返す折り返し部への直接施工は諦め導電板狭幅区間全体を台枠側へ撓ませる手法に切り替えた。
ピンセットで導電板端部から狭幅区間を押し込む要領にてユニットカバー裏面との間隔を詰めている。


油脂を除去したモーター軸受部。

導電板の狭幅区間はユニットカバー裏面に対しなだらかな円弧を描く形状へと変更された。
台車集電板との接触部に限れば水平を保てているものの台枠への取り付けで偏位する可能性がある。
折り返し部手前の凹形整形部が逆方向へ押し付けられると車体高嵩下作用を無効にしかねない。
しかし焼き潰し固定をわざわざゴム系接着剤固定に格下げする利点が一切見当たらなかった。
最終的に5234用動力ユニットと異なる処理方式を採ったため第二次試作車独自の作業注意点が発生している。
なお5234と動力ユニット整備入場時期が近かった5337も一世代前の工程に留まっており追加施工を行う。


整備直後の状態を維持していたFS-502動力台車(西船橋寄)。

モーター周りは目視点検だけに留められており軸受部には油脂付着が見受けられた。
比較的症状は軽く極細綿棒とクリーナーで軽い清掃を施した後に注油している。
純正グリス塗れだったFS-502動力台車は徹底的に分解整備を行った記録が残る。
クリーナープールを持ち出した甲斐あってか金属部品の変色は発生していない。
プラスチック製ギア類も摺動抵抗が感じられる状態ではなく車輪回転は非常に軽かった。
5337の動力ユニット整備は経年対策が主眼に置かれたが一応その効果が実証されたと思う。


台車集電板と接触する導電板(中野寄)。

現行水準へと引き上げられた5337用動力ユニットであるが焼き潰し固定式導電板がどの様に作用するか判らなかった。
特に中野寄ユニットカバー表面には室内灯集電スプリング挿入口が設けられている。
ユニットカバー裏面は西船橋寄よりも複雑な成形が成されている上に導電板の狭幅区間と近接していた。
導電板が偏位してしまうと中野寄FS-502動力台車の通電不良を引き起こす要因になるかもしれない。
そのためユニットカバーは西船橋寄から嵌合を開始し中野寄導電板と台車集電板の状況が都度視認できる体勢とした。
中野寄ユニットカバーが嵌まる直前まで両者の接触を確認出来たが組み立て後の状態は掴みきれていない。




5337(車体高嵩下試行:導電板両端部角度変更施工)。


東京地下鉄5000系5234(63F:第一次車体高嵩下対策試作車)。

走行試験は当然の如く中野寄FS-502動力台車の通電状況確認が第一項目となった。
どうやら導電板を撓ませる整形方法でも問題無かったらしく2軸駆動に陥る事態は回避された。
モーター軸受部への注油も起動加速度向上へと結び付き思わぬ施工結果が得られた。
所定の整備を終えた動力ユニットだが5354(61F:三代目)を種車とする5337には独自の嵌合爪増設が施工されている。
61Fの戸袋窓閉塞車用側面窓セルは非動力車専用であり4点支持では動力ユニットを安定させられなかった。
発生品にて8点支持へ改めたものの2箇所の嵌合爪は採寸せずに追設したため車体不等沈下発生が懸念された。




5919+5337 (78F:非動力車+動力ユニット搭載車)。


東京地下鉄5000系5902+5234 (63F:非動力車+動力ユニット搭載車)。

粗雑な動力ユニット安定化対策だったが嵌合爪増設は台枠の正規位置が保たれた状態で行えたらしかった。
奇遇にも車体に溶着した嵌合爪と側面窓セル嵌合爪は同一高で揃っておりFS-502動力台車の装着具合に左右されない。
そのため車体と動力ユニットの相対関係は入場前から全く変わっておらず心配は杞憂に終わっている。
竣工した5337(78F)は極端な全高上昇を示していた5234よりも変化に乏しい仕上がりとなった。
だが確実に車体高は引き下げられ5919(6号車),5103(8号車)と雨樋位置が揃う編成見附へと至った。
5337でも同様の答を得られたため5234での車体高嵩下試行結果は必然だったと言えよう。
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