付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「タンタロスの輪」 リチャード・エイヴァリー

2010-10-01 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
 映画『エクスペンダブルズ』が公開されてかなりにぎやかですが、自分にとって「エクスペンタブルズ」とは「コンラッド消耗部隊」シリーズ。どちらも、優れた能力を持っているけれど社会的には使い捨て可能な程度の価値しか認められていないメンバーが困難な任務に挑むという話。映画はミリタリー・アクション、こちらは宇宙開拓ものという違いはありますが。
 さて、この『タンタロスの輪』はシリーズ2作目。やっと気心知れたメンバーが、欠員を補充して新たな星へと送り込まれますが、またまた予想外の出来事が。
 衛星軌道上には無人の巨大宇宙船らしき人工物が、地上には謎のリング型遺跡と高度な兵器を使うサルのような生き物が……!?
 いったい、なんのために無人の調査船を先行させていたのでしょうか?

 もう、この巻でお約束パターンが確立されています。
 アフリカ系の狂気の天才カート・クワンゴが、周りの人間をイライラさせながらも、ありえない状況をすっきり分析。それを元にチームリーダーである宇宙軍の堕ちた英雄・コンラッド大佐が問題を解決しようと作業に入るのだけれど、結局、最後は特攻みたいな形になってバラバラな姿で回収。女医スミスが口汚く罵りながらつなぎ合わせている間に、ロボット部隊がルーチンワークで作業終了……という感じ。大雑把なまとめですけれど。(2007/08/23,2010/10/01改稿)

【タンタロスの輪】【コンラッド消耗部隊】【エクスペンタブルズ】【リチャード・エイヴァリー】【惑星開発】【良い話と悪い話】【ロボット】
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「偽物語(上)」 西尾維新

2010-10-01 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 誰かがタイマー録画していた深夜放送の『化物語~まよいマイマイ』が面白かったので、2枚目だけDVDを買ったら期待以上に面白く、ついつい全話購入してしまった勢いで、今まで手にも取らなかった西尾維新の原作を店頭で衝動買い……したら、続きでした。
 まあ、本編は映像で観てるからいいよね?とそのまま読了。
 阿良々木家の長女で中学3年生の火憐を中心に据えた第六話「かれんビー」を収録。格闘ゲームもかくやというデタラメな空手でデタラメな強さを誇る火憐の物語。

 火憐と月火の姉妹は「栂の木二中のファイヤーシスターズ」という通り名を持ち、日々正義のために戦い続けているが、暦はそんな2人の正義は偽物にすぎないと一蹴する……。
「あなたは死なないわ。私が守るもの」

「人間、知らないものは全て同じに見えるものだ。正しい評価を下すためには、知識と教養が必要なのだ」
 神原駿河の言葉。SFもBLもすべて同じ事だと。

 『化物語』の後日譚であり、新たな物語の幕開けのお話ですが、阿良々木暦はとことん落ちるところまで落ちてますねえ。
 周囲に困っている人がいたら無条件で助けようとする阿良々木は無私の滅私奉公の善意の人です。自分に相手を助けられる能力があるとかないとか、そんなことは気にしない。自分の行動が善行なのだという認識すらしていません。反射行動です。普通なら鼻持ちならないキャラになりがちです。
 ところがちゃんとバランスがとれているのですね。
 人格的に途方もなく“いいひと。”な一方で、性癖的にはとても“こまったひと”で、しかも自覚がないのですよね。他の話なら2話か3話で主役にぼこぼこにされて退場しそうです。ツンデレの美少女とつき合っているのに、超人な委員長が大好きで、小学5年生にはセクハラ三昧、妹たちをいつも馬鹿にして苛めている。すべて自然にして天然。阿良々木悪行録といったところでしょうか。だんだんダメな人になっていきます。

【偽物語】【西尾維新】【拉致監禁】【詐欺師】【ROD】【ダイの大冒険】【ツイスター】【デカマスター】【眼球を舐める】【ファーストキス】
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「クレイトスの巨大生物」 リチャード・エイヴァリー

2010-10-01 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
 エクスペンタブルズ・シリーズ(コンラッド消耗部隊)の1冊目。
 このコンラッド消耗部隊シリーズは創元推理文庫SFでは絶版。アマゾンの中古では1円の値段がついてトホホな状況ですが、話としてはかなり面白いのでお勧め。イラストをリニューアルしたらまだまだ売れると思うけどなあ。

 人類が太陽系をその版図に加えた時代。
 太陽系外の調査や入植も始まっていますが、まだまだコストもかかる上にリスクも高いのが現状。そこで、優れた才能や技術を持ちながら、犯罪者や政治犯など使い捨てても惜しくない人材を惑星開発の先遣部隊として投入し、本格的な入植の足場固めをおこなわせるようになっていました。
 チームのリーダーであるコンラッド大佐は、国連宇宙軍で功績をあげながら命令無視で軍法会議にかけられた、いわば堕ちた英雄。このコンラッド大佐が、バイオニック・ジェミーみたいにサイボーグになった女医インディラ・スミスや狂気の天才カート・クワンゴらの人間チームと自律式ロボットたちを率い、無人探査機が植民地として有望と判断した惑星へと乗り込んでいくのですが、植民に最適と言われていたのに巨大なミミズのバケモノが暴走しているし、部下は社会的に不適応な人間ばかりだし、ロボットは融通きかないし、隊長本人は偏執狂で特攻願望があるし……。

 宇宙植民SFというのはそんなに多くなくて、ニーヴン&バーンズ&パーネルの『アヴァロンの闇』とか、マキャフリィの『竜の夜明け』とか、ゴドウィンの『宇宙の漂流者』あたりがメジャーどころ(?)。星野之宣の『2001夜物語』はぎりぎり入る気がするけれど、『のび太の宇宙開拓史』とか『司政官』はたぶん違う。宇宙植民ではなく宇宙探検というともっと増えるのだけれどね。
 こちらは、一口で言うと「ワイルド7」の宇宙植民版。高度な技量を身につけたタフな元犯罪者や社会不適格者たちが、世界のより良き未来のために戦い、死んでいく話。宇宙植民の第一陣は、最新装備を用意したプロフェッショナル集団というのがあたりまえではあるけれど、そこに「こいつを信用して良いのか?信頼できるのか?」という要素を加えたところがポイントです。

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