付け焼き刃の覚え書き

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「吸血鬼と愉快な仲間たち」木原音瀬

2023-09-20 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 そもそも噛んできた相手が悪かったらしい。アルは見知らぬ女に噛みつかれて自分も吸血鬼になってしまったのだが、昼間はコウモリ、夜は人間へと勝手に変化してしまって自分の意思で変身できない。しかも牙が生えていないので自力で吸血できないのだ。
 アルは飢えてコウモリ状態で迷い込んだ食肉会社の冷凍倉庫で氷漬けになり、日本に輸入されたところでゴミ扱いでこっそり捨てられてしまった。その後、夜になって自然解凍で復活したものの、精肉工場の女子トイレに全裸で出現したものだから、侵入した不審者として逮捕されてしまう……。

 昼は獣、夜は人間というと、ミシェル・ファイファーとルテガー・ハウアーが主演した映画『レディホーク』が真っ先に浮かびますが、獣に変身したら服が全部脱げ、元に戻ったら全裸というのはリアルですね……?
 半人前吸血鬼のアルが、日本に迷い込んだ警察官の青年に助けられ、そこから知り合いのエンバーマー(遺体修復師)に預けられるところから始まる物語で、伝奇コメディかなと思って買ったけど、ちょっと毛色が違います。机の上に置いておいたら妻が「コミック版が面白いよ」とひとこと。
 えっと、2006年からホリーノベルズで書籍版がスタートしたんだけれど、版元倒産で宙ぶらりん。でも、ファンの評価が高かったので2022年12月にコミカライズ(花とゆめコミックス)で再起動。そして、2023年7月から集英社文庫から一般文芸として復刻……一般文芸として?
 ああ、BL小説として評価されてるんですね。なるほど、それであおり文句に「事件に恋に大忙し」とあるけど、絡むような女性キャラがまだ出てないよね?と不思議に思っていたのも納得です。

【吸血鬼と愉快な仲間たち】【木原音瀬】【下村富美】【集英社文庫】【半人前吸血鬼アルの奮闘記】【連続殺人事件】【動物虐待】【冷凍蝙蝠】
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