
その『野獣の都』が、『野獣の都 永遠の戦士ケイン』とタイトル変更の3冊合本で復刻!……したけれど、イラストは松本零士じゃないです。イラストは最近のエターナル・チャンピオンシリーズでお馴染みの佐伯経多&新間大悟。なので、あえて松本版。
「理想というものがときによって血の忠誠心にまさる」
アルグズーン族のモヴァット・ジャルドの言葉。
シカゴ特殊研究所で物質移送機の開発をしていた若き物理学者マイクル・ケインは、その実験で見知らぬ平原に放り出されることとなった。送信機から受信機へと送り出されるはずが、太古の火星へと転送されてしまったのだ。
この奇妙な植物が生い茂る異世界でケインは、マントに拳銃と短剣を装備したベルトだけを身につけた全裸の美女シザーラと出会うのだが……
マンガ家をイラストレイターに起用してカラー口絵や豊富な挿絵を配し、物語では地球から異世界に転移してしまった理系主人公が、意外にも生身で戦っても強く、出会った美女と恋に落ち、敵だった戦士を友として大暴れする……というライトノベルの原型ともいうべき作品の1つ。
ちょっと今のラノベのパターンから外れてるなと思われるのは、美女と名声を手に入れた頂点で元の地球に引き戻されてしまう……ということ。1965年の作品だけれど、1917年の『火星のプリンセス』とか、この手の話は無慈悲な別れというのがお約束パターンみたいな気がします。それから恋と冒険に大活躍だけれど、銃のシステムや剣の形状には言及しても食事にはこだわりません。「変わった食べ物」「良い匂い」と描写されるだけで、間違ってもハンバーガーとか発明しません。主人公はアメリカ人だし。
これを最初に手に取ったのは、今は無き国鉄大府駅前の小さな本屋でのこと。電車の時間待ちでふらっと入って手にとって、そのオレンジイエローの表紙に打ちのめされてしまいました。しかも中イラストも松本節満載。スプリング形式のバネ銃と言いつつ、見た目はまるっきりコスモドラグーンですよ! 松本メーターも健在!!(2008/06/06 2012/04/26・2015/03/12改稿)
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