付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「かくして少年は迷宮を駆ける1」 あかのまに

2024-06-18 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「お前が、お前等が望まなくても俺がお前らを救ってやる。身勝手にな」
 ウルはお前の意思なんか関係ないとシズクに言い放った。

 あらゆる経済が迷宮都市を中心に回る、迷宮大乱立時代。
 名字を持たない流浪の民の少年ウルは、くそったれのオヤジのせいで窮地に立たされていた。金貨10枚の借金を残した父親があっさり死に、そのカタに妹アカネが売り飛ばされるというのだ。しかも、実はアカネは希少な精霊憑きで、買い取るには金貨1000枚の価値があるという。上級民でさえ一生かかって稼げるかどうかの金額だ。
 迷宮鉱山ケイカの管理権を手にしている金貸し屋【黄金不死鳥・クリード支部】を掌握したディズ・グラン・フェネクスに、ウルは自分が冒険者となり、黄金級に到達することで支払うと言い切ったのだが……。

 何も持たない最下層民なのに、なまじ孤児院で教育を受け、道徳を半端にたたき込まれてしまったために無法者にもなりきれない、良識を捨てられない少年が、迷宮攻略の中で自分の殻を破っていく物語。これだけ兄が頑張っているのに、幼い妹が「わたしおたかいな?」と若干他人事なのが泣かせます。ウル、がんばれと。
 イラストはきっちり描かれていて、派手な戦闘シーンからのんびり武器庫で装備を見繕うところまで、おっさんから美少女、モンスターから奇妙きてれつな武器まで網羅されてます。良いですね。
 普通に小説として語られてますが、ゲーム的に「迷宮鉱山ケイカ」とか場所が表示されたり、獲得した賞金やアイテムがゲームリザルト的に挿入されるのがちょいと違和感あります。この情報いる?と。

【かくして少年は迷宮を駆ける1~強欲の迷宮と借金まみれの新米冒険者】【あかのまに】【深遊】【MFブックス】【これは冒険の物語】【解せぬ】【賞金首】
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