「復活魔王はお見通し？１」 高崎三吉

『どこの世界に女と二人、田舎でのんべんだらりと暮らす魔王がいるのだ』
　だいたい力あるものがそんな隠居をしたら、すぐにろくでもない事件が起きるものだ。

　かつて世界を蹂躙していた魔王は、光輝魔術を操る勇者との戦いに敗れて滅び去ったが、それから幾年月が過ぎ、魔王の魂は少年ガーラスとして生まれ変わった。
　だが、再び世界を暗黒に染めるべく力を蓄えようとするガーラスの前に立ちはだかったのは、幼なじみのリータだった。彼女は常にガーラスにつきまとい、殺そうとしてもなぜか彼の暗黒魔術が通用しないのだ……。

　復活した魔王が、なぜか彼の周囲に集まる美少女たちの言動を理解できず、深読みしすぎて空回りする、勘違い系魔王の逆襲譚。周囲が主人公の言動を勘違いするのではなく、彼が周囲の言動を勘違いしまくります。人間の『負の感情』を糧とするため、他人から浴びせられる侮辱や嫉妬の感情はむしろご褒美なのに、悪口言われてニコニコする姿は端から見れば聖人か卑屈すぎるバカかというシチュエーション。
　ただ、リータの言動がいかにも「オレ様」タイプなので、あまり嬉しくないヒロインですね。そうでなければ話が動きませんけれど。

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