「辺境魔法学校１」 金暮銀

「小清水さん、想い出は想い出なんだよ。心の中にとっておくべきもので、幸せは自分で未来に見つけていくしかないんだよ」
　それが神宮寺の本音だが、彼女には言えない。

　西暦2003年、世界各国は魔法の存在を公式に認めた。魔法は新たな軍事技術であり、栄達の手段であり、ときには犯罪の道具となり、魔道師を育成する魔法大学は超難関校となっていた。
　2013年。高校２年生、神宮寺誠は家を飛び出て北海道に向かっていた。
　北海道にある辺境魔法学校は犯罪歴も学歴も不問。入学金も学費も必要なく、しかも正規のルートだと取得に10年かかる魔法を、およそ３ヶ月で学べるという、そこなら、彼にも魔道師になれる可能性があるのだ。
　しかし、辺境魔法学校では入学試験に合格できるのは５人に１人、卒業できる者は２０人中３人であり、それ以外の者はすべて死んでしまうということだった……。

　魔法学校ものは数あれど、その中でもとびっきりに非道い話です。ただ、単にダークなファンタジーというのではなく、ちらほら垣間見える「魔法の存在する現代社会の国際政治とか犯罪活動の殺伐さ」とか、そんな世界に生きる等身大の少女たちの姿が面白いのですね。ただ、この話だと成長するより先に壊れていっちゃうのが難ですけれど。

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