「「ここは任せて先に行け！」をしたい死にたがりの望まぬ宇宙下剋上」のらしろ

　彼女を寝取られ自棄になった新人少尉ナオ・ブルースは、遅咲きの中二病の発症もあって『仲間を守ってカッコよく死ぬ』シチュエーションに憧れていた。
　そんなナオがエリート士官養成校を卒業して配属されたのは左遷部門の首都星域警備隊（コーストガード）。問題児の女性隊員ばかり30人を預かる臨検小隊の隊長になったのだが、いきなり与えられた任務が宇宙海賊との戦いが劣勢となった状況で撤退する味方の囮となるべく「内火艇で敵艦艇に乗り込み、海賊を制圧しろ」という無理筋なものだった。
　これぞ部下を守って死ぬチャンスと「俺にかまわず、逃げろ」と言い切ったのだが、血気盛んな部下たちは新任上官の言うことなど聞かず、率先して敵艦に突入していってしまう……。

　自殺願望のある困った新米士官が、幸いにも部下がダメ上官を無視して大暴れするところから始まる出世劇。もともと地頭も良く、いろいろあって思い切った（後先あまり考えない）選択肢をとれることから、腐敗した弱小王国の弱小警備隊から頭角を現していく立身出世もの。
　序盤のキモは、海賊から鹵獲してきた航宙駆逐艦〈シュンミン〉を足りない予算、短すぎる工期、ドックに空きのない状況で改装をしなければいけなくなってからの「なら勝手にやれということですね」と開き直って魔改造されていく顛末なので、ここは艦船をメインにしたイラストが１枚くらい欲しかったなあ（女性キャラの背景にかぶってシルエットもわからないものは勘定しないものとする）……。

「ええ、だってお金かけられませんので廃品利用しましたからね」

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