
ラビアンジェ=ロブールは公爵令嬢ながら魔法も使えず、勉強や作法にも不熱心で無才無能と冷評されている。なにかにつけ母妹からは虐げられ、周囲にはバカにされているラビアンジェだが、案外と今の生活は気に入っている。
ラビアンジェの前々世は天才魔法師ベルジャンヌ=イェビナ=ロベニア。さんざん人々のために尽くしてきたが、最後は冤罪に陥れられて死んでいる。今では自分の功績が他人のものにされ、自分は「稀代の悪女」と怖れ蔑まれているのだから、本来なら復讐に走ってもいいのだが、前世を日本という異世界で過ごし、86歳で大往生しているので、そのせいかすべて鷹揚になっているのだ。
やろうと思えば今世でも魔法は勿論、王族相手のマナーでさえ完璧。世界の守り手である聖獣たちも、みんな彼女のお友だち。些細な苛めなど、目くじら立てるまでもない子供の悪戯。でも、直接的な暴力は許しません。人生経験豊富なお婆ちゃんに青臭いガキが勝てると思うなよ……。
「冤罪で処刑されて転生」も流行のパターンの1つですが、その後の世界に転生して戻ってくる前にワンクッション挟んで現代日本に転生して天寿を全うしたため、前々世の恨みも薄れ、多少のことはお婆ちゃん気分で許しちゃうヒロインの物語。なにもできませーんという体で、魔獣が跋扈していてトップクラスの騎士や冒険者を投入しても全滅を免れるのはほぼ無理という森の奥で愉しくキャンプするようなヒロインは、それはそれで怖いのだ。
近視眼的な王子や外面の良い妹などがヒロインに絡むたびに、滅ぼすなよ滅ぼすなよと読者の方がドキドキしちゃう話です。ウェブ版を蠱毒の箱庭編を中心にブラッシュアップして、読みやすくして1巻完結でも問題なくまとめているので、テンポが良くなった分割愛されたエピソードもあって痛し痒し。
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