付け焼き刃の覚え書き

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「虚ろなる十月の夜に」 ロジャー・ゼラズニイ

2018-02-02 | ミステリー・推理小説
「達人というものは、手数をむやみに増やすのではなく、無駄を省こうとするものなんだ」
 番犬スナッフは猫のグレイモークにそう語った。あの教区司祭は好戦的プレイヤーだが達人ではないと。

 時はおそらく19世紀末。その10月は特別な月だった。
 扉を開けるのか閉じるのか。獲物を切り裂いて回るジャックと丘の上の魔女ジル、地下の棺桶に眠る伯爵、死体をつなぎ合わせて生み出された人造巨人、銀の銃弾を弱点とする獣に変化する男、狂える怪僧、いつしかロンドン郊外の集落に集まってきた謎の人物たち……。
 彼らはプレイヤーとして《開く者(オープナー)》と《閉じる者(クローザー)》に別れ、使い魔(コンパニオン)を駆使して10月最後の日に行われる儀式を賭けて相争う。だが、その過程で誰かが1人の警察官を殺害してしまう。
 その事件解決のために村に姿を現したのは、変装の達人にしてヴァイオリンの名手の名探偵だった。
 果たして、ハロウィーンの夜に門は開くのか、閉ざされるのか……。

 これまでさんざんギリシア神話やらインド神話やら各地の神話伝承をモチーフにした幻想的なSFを発表していたロジャー・ゼラズニイが、最後に手を付けたのはクトゥルー神話でした。
 特に名前は出てこないのだけれど、切り裂きジャックに吸血鬼ドラキュラ、フランケンシュタイン博士のモンスター、名探偵シャーロック・ホームズらが登場し、旧き神々の復活を巡って抗争を繰り広げる話なのだけれど、物語としてはジャックの飼い犬スナッフの語りで進むので、主な登場人物はネコにヘビにコウモリにリスにフクロウに……と動物モノの体裁です。ぜんぜんほのぼのしてませんけれど。
 ただ、ストーリーや設定が分かりにくいのはいつものゼラズニイ。かなり読み進めないと、どこで誰が何をしようとしているのか分かりません。語り手が犬だしね。

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