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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「犯罪者書館アレクサンドリア」 八重野統摩

2014-06-19 | 本屋・図書館・愛書家
 死んだ親の借金の形に臓器売買のパーツにされてしまうところだった神田六彦は、夏目と名乗る女によって身請けされて彼女の経営する店で働くことになった。
 そこは犯罪者のみが集まるアンダーグラウンドな本屋だったが、常連達がシャーロック・ホームズを名乗る殺人鬼によって次々と消され始めていた……。

 美人の店長に拾われて非合法な書店に勤めることになった大学生が持ち込まれる謎を解いていく、安楽椅子探偵の書店ミステリ。ただし、殺し屋やら贋作屋やら解体屋やら運び屋やら顧客がすべて犯罪者なので、落ち着いた書店の片隅でのほほんとコーヒーを飲んでばかりのような話なのに、結果的に死屍累々。
 盗品でも稀少書でも無いのに、犯罪者向けに一般書を売る地下書店という設定には、意外とすんなり納得させられました。なるほどねーという感じ。つつきすぎなければ大丈夫。
 謎解きそのものは、ミステリ好きな読者ならメタ視点で見当がつくような気がしないでもないけれど、ひっそりと隠された、それでいて書架だけは膨大にある書店で落ち着いた会話が繰り広げられる雰囲気は大好物です。少なくともこの書店には、人気の新刊書はどれだけ発注をかけても送ってこない取次も、売れない本ばかり送りつけてくる無能な本部も、大規模書店に在庫が滞留してしまって中小書店に回す在庫もないくせに大規模な宣伝を仕掛けてくる出版社の営業も出てきません。
 アーミン、こわいけどかわいい。

【犯罪者書館アレクサンドリア】【殺人鬼はパピルスの森にいる】【八重野統摩】【メディアワークス文庫】【女には向かない職業】【さらば愛しき女よ】【シャーロック・ホームズの冒険】
コメント
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