
豪華客船エリス号が試験航海を兼ね、招待客を乗せてヨーロッパへと向かう。
その船上には、名探偵・荒城とその助手的ポジションに収まってしまった弁護士・殿島の姿があり、離れていく埠頭には便乗しようとしてつまみ出されてしまった隻腕の探偵・真野原の姿があった。
彼らを招くのは、伝説の犯罪者・夜叉姫からの挑戦状。
果たして名探偵たちは、夜叉姫の犯罪を食い止めることができるのか……。
戦後10余年を経過した日本から始まる、名探偵vs怪人の物語。
あいかわらず探偵の無能を示す死屍累々はいいのだけれど、良いキャラを簡単に殺しちゃうよね。他の作者の作品なら最後に必ずそれまでの苦労が報われるような、けなげに頑張るキャラはたいてい被害者名簿の常連。よもや悲劇のヒロイン撲滅委員会の仕業か!?
読者が推理することが前提の推理小説ではなく、名探偵が事件を解決する探偵小説なので、謎解きそのものはおおざっぱ。真野原自身、こんなのインチキと言い切っています。それを承知で、猟奇な怪事件とどこかおかしいのが180度回転してなんかカッコよく見えてきちゃった名探偵たちが活躍する、モダンレトロな冒険譚を楽しめれば儲けものです。
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