
主義主張の異なるトレヴァリンとコベットの共通意見。
果たして貧乏は、怠惰や不品行の結果なのだろうか。
15世紀、スペイン人によってヨーロッパにもたらされたジャガイモ。
面積当たりの収穫は小麦よりも遙かに良く、気温が低かったり土地が痩せていても短期間で栽培可能。しかも炭水化物はもちろん、ビタミンCやカリウムから10数種類のビタミンまで豊富な栄養素を含んでいて、それだけを食べ続けても生きていけるくらいの栄養価があるのだとか。
ところで、「種の多様性」という言葉があるのだけれど、いくら高性能でも同じものばかりだと、何か問題が起きたら全滅してしまう。機械だってそうだし、SF作品でクローンが否定される理由の1つでもあるのだけれど、同じことがジャガイモでも起こります。
1845年にアイルランドのジャガイモが胴枯病にかかり全滅してしまうのです。そしてアイルランドの農民はジャガイモしか食べるものがなかったのですから、瞬く間に飢餓が全土に広まります。飢餓を防ぐはずの作物が飢餓の原因となったという例。
それがアイルランド系移民が北米に多くなった理由ですし、アイルランドの独立運動が一気に拡大した根幹の原因でもあります。
産業革命から新大陸開拓まで、そんな歴史に影響を与えてきたジャガイモのエピソードの数々についてまとめた1冊。とはいえ、大半はアイルランドにジャガイモがいかに普及し、人口が増加し、そして一気に貧困と飢餓の時代へ突入したか。合間合間にナポレオン時代のジャガイモ普及とか、フィッシュ&チップと支持政党の差などなど。
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